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『ゴールデンカムイ』最終章に追いつくまで
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chicken_edda
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杉元が「生き残った」ことを持て囃した人々はいた(いる)けれど、杉元に「自分(の気持ち)を認めて(許して)やりなさいよ」と諭したのが、殴り合いの暴力を「自己表現」だと語った岩息だというのはなるべくしてなったことだとは思うけどやっぱりとても切ないな 切ない
2021-06-19 13:45:11![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
私は思うんですけど、杉元って彼自身の身体能力や信念や色んな天運が合わさって、巡り巡って「生き残って来た」男ですよね でも、彼が生き残るのに実は他人はあんまり関係がないのでは、とも思うんです 彼の行動原理の中にはガッツリ「この人のため」という根っこがあるにもかかわらず、
2021-06-19 13:57:44![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
目指そうとする理想の未来図の中に、自分の姿は入ってないんですよ杉元佐一 寅次の遺言を果たして、梅ちゃんの目を治したとして そこに自分の居場所はない
2021-07-30 08:37:02![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「梅ちゃんが知ってる俺はもうこの世にいないのだろうか」と自問してしまったあの一瞬の帰郷から、彼は他でもない自分自身が行き着く未来からも、帰れる場所からも、何もかも切り離され、いまの彼は自分の肉体にしか拠り所がない生きる亡霊のような存在になってしまった
2021-07-30 08:37:53![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
杉元佐一の「不死身性」は、だから力強く生き抜き今を踏破する彼の意志と肉体の頑健さを根底にしながら、しかし杉元佐一が「自分自身」をもはや「死んだいのち」のように扱う一瞬があるからこそ成立する非常に危うい二面性を持っていると感じます 死んだ者はもう2度と「死ぬ」ことはないのですからね
2021-07-30 08:45:37![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
ただ、それでも「生き残ってしまった」者としての杉元が「生きて」果たそうとする誓いは非常に切実なものなんですけど、だからこそ彼の肉体は「親友の遺言」をこの世に繋ぎ止め実行させしめる他者(親友)の願いの器でしかなかったという痛々しさ、かなしみがある 杉元がアシリパさんに出会うまでは
2021-07-30 08:50:50![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
私は、『ゴールデンカムイ』に出てくる男たちって大なり小なりみんな自分の過去を清算したり、失った何かを取り戻したり、あの時手に入らなかったものを手に入れたいがためにアイヌの金塊を手に入れようとしてるところがあると思ってるんですよね
2021-07-30 09:00:42![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
自分の人生の赤帳簿をたちどころに「御破算」にして莫大な利子と釣りつきで積年の願いを叶える大博打として金塊探しに乗り出してる節がある でも杉元佐一には「「自分」」の願いがない 彼はずっと誰かの願いが叶うことを助けようとしているばかりじゃないですか 寅次の、梅ちゃんの、アシリパの……
2021-07-30 09:08:08![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
金カムのストーリー上に起きた転機は山ほどあるけど、個人的にアシリパさんが杉元がいつかこうなれたらいいって未来に思いを馳せてくれた吹雪の夜は最も重要な転機の1つに数えていいと思ってる 親友も故郷もなくした戦争の後、誰かの未来の青写真の風景に杉元が入りこむ余地はなかったから…ずっと…
2021-08-27 01:02:25![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
杉元自身が自分の未来、将来という時間で生きる自分を人生の勘定に入れてない(ように思える)から存在する問題でもあるんだけど、杉元は過去にも未来にも居場所がない人間ですよね……故郷に帰ってさえ彼を待つ家族も友もなく、かつての思い人の目を治せてもそこに見返りはないしそもそも求めてない…
2021-08-27 01:14:52![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
行くあても帰る先もない杉元は、「今」という時間の上で宙ぶらりんになってたんですよ…… 行くあてが無いってことは未来のあてがないってこと 帰る先がないのは心の拠り所として戻れる過去もないってことだから、「杉元佐一」自身が何処かへ向かうことも辿り着くことも出来ない存在だったってこと…
2021-08-27 01:21:53![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
その杉元に対して「過去」の「あなた」(元の自分)に戻れる「未来」がある という杉元自身のあしたの可能性を示すアシリパさんですよ…… 同時に、その「未来の杉元」の隣には自分がいることを疑いない当たり前のこととして語るのアシリパさんは……
2021-08-27 01:28:04![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
言葉が適切かは自信がないけど、あの吹雪の夜に、杉元は(他者から)「ゆるされた」んですよね もはや「別の人間」に成り果てた今の自分も過去の自分に立ち返ってもいいこと、何もかも失くして何を持つこともない自分にも未来という時間が残されていることを「ゆるされた」ように感じたのかなって……
2021-08-27 01:38:38![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
ゆるされた、よりは「ひらかれた」かもしれない…… 自分はそうしてもいいってことを、そうあれたらいい(けど出来ない)って理想を、「あぁ、自分にもこういう気持ちがあったんだ」ってことを目の前に「啓かれ」たようなね
2021-08-27 02:35:14![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
とっくの昔に杉元がなくしたと思っていた感情とか、何かの資格(とでも呼ぶべき彼なりの「人間的」な適格性)をアシリパさんに「見つけてもらった」のが何よりの転機じゃなかったかという話なんですけど、アシリパさんに杉元の何かを救いとらんとする自覚があるか、かなりぎりぎりの「転機」でもある
2021-08-27 14:43:27![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
でもあの夜の2人の会話、最後にアシリパさんに「いいな?」って念押しされた杉元は恐らくその問いに答えてないんですよね アシリパさんが自分の目の前にひらいてくれた愛しい過去への憧憬を、未来の青写真を、杉元は涙の浮いた目元を覆うことで「見なかった」のだろうというひどく切ない行き違いがある
2021-08-27 17:34:21![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
あの夜の言葉がアシリパさんからの一方的な約束に終わってしまったのだろうことを確信するのは網走襲撃時なんですが、杉元は機に乗じてアシリパさんから自分を「引き剥がす」行動を起こしてるんですよね……「いつか俺が邪魔になるはずだから」って 杉元の未来の青写真に、杉元自身の姿は無いのですよ
2021-08-27 17:43:21![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
アシリパさんが当たり前に杉元が死なずに生き残り、杉元が帰る故郷を共に見る自分の存在を隣に置いている可能性を知ったから 余計にもう自分の人生にアシリパさんを深入りさせちゃ駄目だって杉元がアシリパさんを引き剥がそうとする 「見れる」未来が2人違いすぎることをありありと知ってしまったから
2021-08-27 21:11:27![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
こその転機…… 杉元はウィルクに掴みかかって「あの子を俺たちみたいな人殺しにしようってのか」「誰かが戦わなきゃならんかもしれん」「でもそれはあの子じゃなくたっていいだろう」ときつく問い糾すけど、アシリパさんにはただ無垢な名もなきアイヌの娘として暮らす「幸福」を杉元は願ってるけど、
2021-08-27 21:11:28![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
杉元は……この自分の傲慢さに気づくんだろうか…………という懸念も強く抱いている 杉元の気持ちは痛いほどわかる みんなそうだよ……「アシリパさんには山で鹿を獲って 脳みそを食べて チタタプしてヒンナヒンナしていて欲しいんだよ」ってみんな思ってる 少なくとも私はそう思ってる
2021-08-27 21:11:28![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
でも現実そんな甘かねぇというのを杉元の目の前のウィルクは身をもって知ってるんですよ ただ身のまわりの家族や仲間と一緒に生き抜ければそれでいいという時代は、アイヌの人々にとっては「終わりつつある時代」そのものとして迫りつつある
2021-08-28 09:56:59![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
だからウィルクはこれまで「そうあればそれでよかった」ひたむきな生き方、理想なんてお花畑のためじゃない「現実」の未来のために娘まで巻き込んでやって来たわけじゃん たとえウィルク自身が辿り着けなくても誰かが少しでも望ましい「未来」を現実に出来るように
2021-08-28 09:58:16![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
そのために人生かけた地獄めぐりしてきたようなウィルクに対してあの言葉をかけてしまったのが杉元なの、もしもあのすんでのところでウィルクが退場しなかったら、ウィルク対杉元でアシリパさんをめぐった並行線ののっぴきならない泥試合になってた可能性がある……と思うと下手したら「和人」に
2021-08-28 10:30:02![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
地雷踏み散らかされたウィルクがさらに話と派閥をややこしくしかねない瞬間にその脳天撃ち抜いて永遠に口を封じた尾形……というか………………の、野田サトル先生……漫画が鬼のように上手くて普通に怖くて泣いてる あの時点では言葉を重ねれば重ねるほどウィルクは杉元にさめていっただろうからね…
2021-08-28 10:32:43