- uf_arkadia
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パッチの言う通り、パッチの存在に気づいた瞬間、★兎の暴走を抑えるためにヤマトが押さえつけていたようである。 「はあ、はあ、すみません少し取り乱しました。」 (少し?) パッチが離れて少し経った頃、★兎はいつもの調子を取り戻して話を再開する。
2022-04-30 21:42:00「ともかく、大変な事態にはなりましたが、成果は最高といっても過言ではないでしょう。一度の探索で四つの新エリアを発見することができました。改めてまとめますと、東は山岳エリア、西は海上エリア、南は湿地エリア、そして北は砂漠エリアが広がっていることがわかりました。」
2022-04-30 21:43:00「一気に四エリアの発見はすごい快挙だけど、次はどのエリアを探索するのかな?まさか全部まとめて探索はしないよね。」
2022-04-30 21:44:00「次の探索は砂漠エリアにしようと思います。わたくしが直接見ることができましたので、占いはもう済んでいます。今回このような事態があったとしても能力は積極的に活用していくべきです。」
2022-04-30 21:45:00「うむ、それが妥当じゃのう。じゃが、湿地エリアと山岳エリアについては下調べが可能であろうが、海上エリアに関してはどうするんじゃ?このままでは探索は無理じゃろうて。」
2022-04-30 21:46:00いつも通り★兎、ルナ、ネフェルの三人で話合いが始まる、自分達は三人が決めたことに従うだけでいいや…と話し半分に聞いていた者達に寝耳に水な出来事が起こる。 「ネフェルさんの言う通りです。なので、策は考えてあります。ヤンさん、憲史さん、そしてマルさん。」 「「「!?」」」
2022-04-30 21:47:00まさか自分達が何か指名されるとは思っていなかった三人がビクッと肩を跳ね上げる。 「な、なんだい★兎ちゃん、ま、まさか俺達が使えねえから海に飛び込んで下見行ってこいとか言うつもりじゃ……。」 「な、そんなの無理ですよっ!」 「わわわ私もそんなの死んじゃう!ウサギさん酷いですぅ!」
2022-04-30 21:48:00「話を拡大しないでください、わたくしがそんな鬼のように見えますか?」 「だってぇ…」 「皆さんには船を造ってもらいます。」 「「「へ?」」」 ★兎の提案を聞いた瞬間三人の脳裏に浮かんだのは…もしかして船造ってれば危険な探索に行かなくていい?
2022-04-30 21:49:00「それはダメです。」 「ちょっと脳裏に浮かんだ言葉否定しないでください!」 貴方達の考えなどお見通しですよと言わんばかりの態度で、★兎は否定する。
2022-04-30 21:50:00「しかし、あなた方三人は船造りに集中していただきたいため、探索の回数は可能な限り減らします。探索に行くのに否定的だったあなた方三人にとっては良いメリットだと思いますがいかがですか?」 「そ、それは…。」
2022-04-30 21:51:00確かに美味しい。★兎は探索に否定的な者達を有効利用できる、三人は行きたくない探索の回数が減る、互いにメリットのある話だ。 「その話のったぜ!もとより物づくりは好きだからな。」 ヤンが迷いなく引き受けると、それに続いて二人も賛同の声を上げる。 pic.twitter.com/2H7xrbwoxx
2022-04-30 21:52:00「ぼ、僕もそっちの方が役に立つと思うよ!」 「わ、私も同上です。」 「ご協力感謝します。それでは海上エリア探索用の船は宜しくお願いします。」 こうして、害は被ったものの、着実に前に進んだ状態で今日の活動報告は閉会となった。
2022-04-30 21:53:00「……ここは?」 「あ!目覚めた!」 「ひ、ひぃ……!」 「あ、いきなり大きい声出してごめんね。」 活動報告後も忙しなく看病していたプティが一早くブロンの目覚めに気付く。 「こ、来ないでっ……!」 「ブロンくん…。」
2022-04-30 21:55:00いつもの天真爛漫な彼の姿とは想像も付かない態度にプティは心を痛める。 プティもブロンにはトラウマがあることは薄々察していたため、目覚めてこうなることも想定していた。 しかし、実際ここまで自分が否定されるということは心に来るものがある。
2022-04-30 21:56:00「やめて、もう食べさせないで、縛らないで……死なないで……。」 「安心して、私は君に危害は与えない。それに、君は前世の君じゃない、今はブロンなんだよ。」 だが、このままブロンを放って置くわけにはいかない。プティは子どもをあやすように話しかける。
2022-04-30 21:57:00「ブロン……僕は……そう、ブロン。神様に貰った大事な名前。」 「うん、ルナさんもムギさんも心配していたよ。」 「ルナ、ムギ……ルナとムギ、僕と一緒に探検してくれた大事な友達……。」 「そうだよ、ルナさんとムギさん、それに皆も強いから死なないよ、大丈夫大丈夫。」
2022-04-30 21:58:00ブロンの頭に巡るNO NAMEに来てからの出来事。全てが新鮮で自由に駆け回る楽しさ、誰かと一緒に話せる幸福感。 「……うん、ごめんね、プティ。全部思い出した。僕の前世も全部。」 「ブロンくん……。」
2022-04-30 21:59:00まだ万全な状態とは全く言えないが、プティの言葉で話をするだけの余裕はできたようである。 「まだね、怖くて身体が震えるけど、皆の顔思い浮かべたらね、少しは大丈夫だって思えるんだ、不思議だね。」
2022-04-30 22:00:02「うん、それが仲間だよ。君はみんなの仲間なんだよ。怖い時は助け合い、楽しい時は笑い合う。悲しいことも辛いことも一人では乗り越えられないものもみんなと一緒なら乗り越えられる。」 前世が冒険家だからこそ仲間の大切さを誰よりもわかっているプティ。だからこそ説得力が違う。でも…… pic.twitter.com/Kor9Ocrge0
2022-04-30 22:01:00「なんかプティ……悲しそう?」 「!……なんでもないよ…。ブロンくんも少し落ち着いたようだし、私はルナさんとムギさん呼んでくるね。二人とも喜ぶと思うよ!」 そう言うと、プティは不自然にブロンが寝ている場所から離れ、ブロンの周りには人がいなくなる。
2022-04-30 22:02:00「仲間……僕にも仲間ができたんだ、大切な仲間が…。」 前世の辛い過去について思い出した、トラウマの克服もまだ無理だろう。しかし、同時に自分にはいつの間にかとても大切なものができていたことに気付くことができた。
2022-04-30 22:03:00ブロンにあるのは絶望だけでない、前世と違い信頼できる仲間という名の希望が彼の胸の内を温めていた。 「早くみんなに会いたいな。」 プティ以外の転生者と離れて半日も経っていないが、一秒でも早くみんなの顔を見たい気持ちでいっぱいになる。
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