秋山実写真集「鍛え造る」みすず書房2022年 解説担当土田昇による写真集の見方

2022年 みすず書房より、写真家秋山実氏の木工手道具の写真集「鍛え造る」が出版されました。https://www.msz.co.jp/book/detail/09086/ 刊行を記念して、解説を書きました土田昇が写真集の見方について、連続ツイートを致します。
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(有)土田刃物店 @tsuchidahamono

GW特別企画といたしまして、期間中毎日 秋山実先生の写真集『鍛え造る』についてのツイートをしていきたいと思っております。 テキストをお手元にご用意のうえ、お読みいただけますと、よりお楽しみいただけると思います。 #鍛え造る #秋山実 #みすず書房 #大工道具

2022-04-29 12:21:24
(有)土田刃物店 @tsuchidahamono

みすず書房刊 秋山実写真集 「鍛え造る」より  中や九助作 曲尺 #秋山実 #鍛え造る #大工道具 #みすず書房 #曲尺 twitter.com/tsuchidahamono…

2022-04-29 10:55:00
土田刃物店 🐈🐈‍⬛ @tsuchidahamono

長短枝表裏供、中央部に深めのスキクボミを樋状に通し軽量化と強靱化を同時になす。素材と熱処理の近代化により薄く軽く強くが実現する以前の創意。割竹の如くと是秀は形容 pic.twitter.com/S56nIkD1w2

2022-04-29 10:12:06
(有)土田刃物店 @tsuchidahamono

長短枝表裏供、中央部に深めのスキクボミを樋状に通し軽量化と強靱化を同時になす。素材と熱処理の近代化により薄く軽く強くが実現する以前の創意。割竹の如くと是秀は形容 pic.twitter.com/S56nIkD1w2

2022-04-29 10:12:06
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一文字型墨壺と大丸福蔵作墨壺を足してニで割ると津田燿三郎の一文字型となる。テキストP.11の3、P.167の165写真参照。 #鍛え造る #秋山実 #写真集 #みすず書房 #大工道具 #墨壺 pic.twitter.com/EssFVY00bL

2022-04-29 10:44:16
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いかなる工作においても荒木取りにおける工作精度が後の工程に影響す。高村光雲いわく「木寄師(木取り職)がまずかった日には仏師は手がつかぬ。」p17-19の9、10、11とp46-47の39、テキスト上の写真参照 #鍛え造る#秋山実写真集#みすず書房#大工道具 pic.twitter.com/9GLnTAUZbD

2022-04-30 09:24:29
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平治郎は大きな鋸にさえ細字銘を切る。板に狂いが出ぬように。鋭角に研いだ銘切鏨はコントロールが難しいはずだが曲線文字。是秀が手離しで褒める訳である。テキストP18とP19の銘ぶりを比較のこと。#鍛え造る#秋山実写真集#みすず書房#大工道具 pic.twitter.com/eNlju1SUrH

2022-04-30 09:51:33
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より多く打ちすぼめるなり切るなりすりおろすなりせねば尖り頭にはならない。その労の効用は使用時の手掛かりの良さばかりではなかろう。造る人と使う人の道具に対する意識の拮抗に美は産まれる。テキストP20とP202参照 #鍛え造る #秋山実写真集 #みすず書房 #大工道具 pic.twitter.com/i0KW4n2XGx

2022-05-01 09:02:06
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かつては使い減り寿命がつきようとしている平鉋刃の幅を詰め成形し直し台直し鉋とした.鉋刃の正常な最晩年と言うべきか。静かな世直し老人の映画「グラントリノ」(必見)に通じる。テキストP158-159参照 #鍛え造る #秋山実写真集 #みすず書房 #大工道具 pic.twitter.com/DoNKregFed

2022-05-01 09:18:52
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金床と金箸と火造り槌だけで鑿を火造ってにると、肩がだれ鋼が穂の途中までしか鍛接されない仕様に自然にゆきつく。方形断面の穂と円形断面の首との無理のない連結感は削りだされるのではなく、叩きだされてこそのものである。テキストP24から29の6本の鑿参照 #鍛え造る #秋山実写真集 #みすず書房 pic.twitter.com/9B9JRBdzfu

2022-05-02 09:05:26
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天然仕上砥石の質の良し悪しは形からも色からも判断しえない。震災時にどぶ川に名石を投げ入れ助けた砥石屋がいたり、戦災時に高村光太郎が作品は燃えるに任せ、砥石を抱えて避難したのは何故だろう。 #鍛え造る #秋山実写真集 #みすず書房 #高村光太郎 #砥石 pic.twitter.com/y7H7cMJqn7

2022-05-02 09:18:18
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大突鑿と叩き鑿という種類の違う、そして刃幅の違う、おまけに作者も別であるにもかかわらず肩のラインの完全な一致。だれ過ぎても張り過ぎてもいない美は道具の寿命が尽きようとしていてさえ堅固。刀工名門末裔が道具鍛冶分野の天才に真似ぶ。テキストP52-53参照 #鍛え造る #みすず書房 pic.twitter.com/PE75rj2dlW

2022-05-03 09:00:07
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垂直に振り下ろす作業に特化させると玄能は縦に細長い形のものが有利となる。ほぞ穴掘り専門大工の命より大切な道具。本来鑿の木製柄を叩くものゆえ刃物のような使用変形を免れる。ゆえに穴大工何代にも渡り受け継がれ胴中に鍛え文様が手擦れであらわれる。一つ二つの命より重くなる。 #鍛え造る pic.twitter.com/ZpDwotPr4p

2022-05-03 09:13:28
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(有)土田刃物店 @tsuchidahamono

関西出身の名人大工野村貞夫は戦中東京にろくな仕事がない故、木挽、杣屋技術修行のため東北に出向く。「手斧はつりでは負ける気はしなかったがマサカリ使いに関しては東北の職人には叶わない」と語る。西は手斧の文化、東はマサカリの文化とも。 #鍛え造る #みすず書房 #秋山実写真集 p39-40 pic.twitter.com/omldjDcmIo

2022-05-04 08:44:45
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(有)土田刃物店 @tsuchidahamono

小鉋刃に台が付き、台に角度治具たる枠部(バカとも)がさらに付帯する。枠部は角ダボを横に通し開閉する事で面幅を決定する。可動部にネジ等金物を使わぬ端正な姿ながら重切削具で、角面鉋は比較的厚い屑を出して使う。そして仕上げは切れる平鉋でなす。テキストP116-117 #鍛え造る #みすず書房 pic.twitter.com/i29GXjoSQs

2022-05-04 08:58:51
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(有)土田刃物店 @tsuchidahamono

@XZxzyQQkLZEdFJw これは平鉋刃の一か所だけ作用させる様式かな、それとも治具と鉋をずらすと刃の作用位置を変えられる方式かな。いずれにしろ角面鉋の枠傾斜とのシンクロが微妙で難しいんだよね。

2022-05-04 10:12:35
余計なお世話かも2 @XZxzyQQkLZEdFJw

@tsuchidahamono ですね きっちり固定せず少し曖昧にしながら平の鉋で仕上げて居ます

2022-05-04 10:14:41
(有)土田刃物店 @tsuchidahamono

錐は穿つ穴径や木質の違いにより様々な種類のものがあった。三つ目はストレート穴、四方は木釘用テーパー穴、剣錐は堅木木口用、、匙錐、鼠錐、坪錐、、どれも揉みつつ手に伝わる感触で対象木材への理解を深める。錐先に宿るのは作業者の鋭敏な感知システムである。 #鍛え造る #みすず書房 pic.twitter.com/5e24XwdQe5

2022-05-05 08:50:50
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戦災で焼身となり再生された道具が写真集には4点も取り上げられている。またすべて是秀作品である。双方が正義をふりかざすのが戦争。是秀の狂歌をあげる「政治屋と一字違いの鍛冶屋かな」テキストP86、p110、p130、p132、p199参照 #鍛え造る #みすず書房 #秋山実写真集 #大工道具 pic.twitter.com/7HNuLtO93Q

2022-05-05 09:01:11
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若年で高度な技術を身につけてしまう早熟はあまたあろう。26才にしての完成度と最晩年80才を過ぎて技術的劣ろえをみせぬ鑿の作例を比較してこそ工人是秀の特異がみえてくる。たった一人でヤスリとセンで仕上げているのである。テキストP80とp98を比較 #鍛え造る #みすず書房 #秋山実写真集 pic.twitter.com/7bF40B9wDv

2022-05-06 08:48:13
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ヤマハチという四国の台屋の屑排出穴と全体設計の卓抜もさることながら、この作里鉋は使用品である事が重要.刃の頭と刃を固定するクサビと台頭という槌で叩かれる部分に殆ど変形が見られない.台幅と刃幅を一致させる微加工のみ、スゲッ!テキストP70 #鍛え造る #みすず書房 #秋山実写真集 pic.twitter.com/8lKz0DbVtK

2022-05-06 09:00:54
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穂と首の境界(肩際)首とコミの境界(マチ)を直線上に揃えて並べて乱れなく配列出来る組鑿とは一つの過剰であるのかもしれない。使い始めれば刃幅によって使用頻度が異なるゆえ簡単にその調和は崩れる。未使用時の調和の緊張は乱調の予感に基づく。テキストP90 #鍛え造る #みすず書房 #秋山実写真集 pic.twitter.com/DRllFnKI7N

2022-05-07 08:52:03
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鋸で木材を切断する場合、木目に対して平行になすか垂直になすかで刃型が変わる。両刃鋸とは多くの場合その二種の刃型を一つの鋸板に備えさせものの事。縦挽鋸、横挽鋸を持ち替えず一丁で済ます事が出来る。進歩か堕落か近代化。テキストP170-171 #鍛え造る #みすず書房 #秋山実写真集 pic.twitter.com/cjyZsyIBly

2022-05-07 09:03:26
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(有)土田刃物店 @tsuchidahamono

連日のツイートを本日にて終了する。販促技と自覚しての加えて不慣れ甚だしいものにお付き合い下さり深謝の極み、礼として写真と実物を並べたショットを付す。うーむ写真のほうが立体的でボリュームが感じられるのは何故だろう。テキストP198 #鍛え造る #みすず書房 #秋山実写真集 pic.twitter.com/MHsj6RIZTl

2022-05-08 08:21:52
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(有)土田刃物店 @tsuchidahamono

猫ネタには敵わないゆえ猫にご登場ねがう。ちなみにこの写真集は土田一郎用。毎日天眼鏡片手に94才が熟読するゆえ表紙カバーが破れ和紙でウラウチし(本人セロテープでとめようとしてたんだぜ)厚紙で保護カバーを作ってあげる。誰よりも精読者たらんとす。 #鍛え造る #みすず書房 #秋山実写真集 pic.twitter.com/pudWpdEuMc

2022-05-08 08:34:19
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