戦争取材における「制約」と「成果」のお話

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安田純平 @YASUDAjumpei

戦争の現場は取材規制だらけで、それもいちいち「ここはだめ」とか国中に書いてあるわけがなく、取材どころか単に歩いているだけでも軍や警察が来て問答無用で拘束されることが珍しくない。報道規制なんて次元ではなく、隠密行動しているスパイを全て見つけ出して殺すくらいの感覚で見張っている。

2022-05-18 11:43:40
安田純平 @YASUDAjumpei

特に独裁国家の場合、現地人は自宅の中だろうと大統領の批判でもすれば秘密警察に捕まって拷問死するレベルで見張られている。そんなところで取材してればたちどころに知られるわけで、一度も軍や警察に拘束もされずに取材している人というのは、当局が「いいよ」と言うものしか取材しない人ってこと。

2022-05-18 11:50:20
安田純平 @YASUDAjumpei

拘束といっても15分ですんだり、数時間とか数日かかったりといろいろ。現場取材の人たちはいちいちそういう経験を公開してこなかったので、見ている側は、取材規制が何もないか、現地人の誰もが怯える秘密警察の監視をかいくぐる超A級スパイレベルの記者だけが現場に行くのだと信じてしまっている。

2022-05-18 11:56:40
安田純平 @YASUDAjumpei

どこでどう拘束されたかを公開することは、その現場の取材規制がどうなっていて何を取材でき、何をできないのかを明らかにするということ。記者は取材の「成果」だけを発表するものだと記者自身も見る側も多くが思っているが、これを公開することは「成果」に対する信頼性を高めることになるはず。

2022-05-18 12:09:28
安田純平 @YASUDAjumpei

ジャーナリストビザを持っていれば取材が自由にできるなんてわけがなく、ビザ申請の時点から規制の中に入って常時監視される対象になるということ。ビザあれば捕まった時にスパイ容疑が晴れやすいかというと、ジャーナリストのふりしたスパイと言われて何年も拘束とかもあるからなんとも言えない。

2022-05-18 12:42:11
安田純平 @YASUDAjumpei

滞在中に拘束されなかったとしても、自分が取材したり会ったり連絡取ったりした相手が芋づる式に監視対象にされていて、自分が拘束されていないのは優秀だからではなくて単に泳がされて利用されていただけ、という感覚は持っていたほうがよいと思っています。

2022-05-18 12:58:57