未完成の理想郷3話「黒い」

0
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「よし!この調子なら!」 回復能力持ちが現れたことにより、マルガリィタの作業スピードが上がる。 「あと一押し、この悪い子にすら見せられないそんなやり方で…」 「あわわ、ルナ!なんで目を隠すの!?」 「あるじ!?か、回復がやりにくいにゃ!」 「グロイグロイグロイグロイグロイグロイィ!」

2022-05-31 22:22:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

ぎゃあぎゃあと騒ぎながら、一時間程経ったころ、 「「「「く、くっついたああああああ!」」」」 「ふぅ、な、なんとかなりましたぁ。」 「すごい!すごいよ!マルガリィタさん!」 「え、えへへぇ、たまたまですよぉ。」 「ん、ぐうう…。」 「ヤマトさん!大丈夫!?まだ起き上がっちゃ駄目だよ!」

2022-05-31 22:23:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「……僕、今回は、ちゃんと守れた?」 「?…うん、おかげでみんなかすり傷の一つも負ってないよ。助かった、本当にありがとう!」 「……よかっ…た。」 そう言葉をこぼし、再びヤマトは眠りに落ちた。

2022-05-31 22:24:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「なるほど、ボスと遭遇したのですね。」 「うむ、不意をついて一撃は入れられたが、結局ヤマトの麻痺も完全には作用していなかった。今までの魔物がかわいく見える程、かなりの強者であったのう。」

2022-05-31 22:26:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「あれと一対一で対面したらと思うとゾッとするよ。転生者半分が揃っていたにも関わらずこんな現状だしね。全く、あれがボスか…。あんなのがまだあと4体…あいつを仕留められなかったのは痛いかもね。」

2022-05-31 22:27:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「いや、あやつはまだ余力を残しているように見えた。深追いしていたら全滅になったやもしれん。」 「ま、まじかぁ…ミシュカトル君に感謝しなきゃだね!」 「それよりも問題なのが…。」 ★兎がボスについて事情聴取をしていたが、結局帰って一から作戦を練るしかないであろう。

2022-05-31 22:28:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

それよりもまず、解決していない問題があった。それは、 「結局ここはどこなのでしょう。」 「え、★兎君も迷ったの!?」 「お恥ずかしながら…。」 「でも大丈夫であろう、マルがコンパスを作ることになっておったからのう。残業になるが、よろしく頼むぞ、マル!」

2022-05-31 22:29:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「え!わ、わたしこんなに働いたのに、まだ働くんですかぁ!ブラック労働反対です!断固拒否します!深く傷つきました!もうやってられません!失礼します!」 そう言って全速力で逃亡するマルガリィタ。 「え、えぇ……ちょ、ちょっと待ってよマルガリィタくん!あ、ちょ、ちょっと、足はええ!」

2022-05-31 22:30:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「逃がすな!マルを捕まえないと帰れんぞ!早く捕まえるのじゃ!」 「そ、そうだよ、やばっやばい、ほ、ほんとに待ってマルガリィタ君!君がいないとみんなミイラになってしまうよ!」 突然のマルガリィタの逃亡に唖然とした後、命懸けの鬼ごっこが始まったのだった。

2022-05-31 22:31:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「あ、あれぇ、こ、ここは、ど、洞窟?」 勢い余ってかなりの距離を走ってきたマルガリィタは眼前に広がる洞窟を呆然と眺めていた。 まるで終わりが見えないかのようなその洞窟の奥からは、不気味な魔物の発したであろう声が聞こえてくる。 「ひ、ひいぃ!」

2022-05-31 22:33:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

入口に立つだけでもかなりの恐怖が伝わってくる。こんな場所をいつかは探索しないといけないのだろうか。 「洞窟エリア……ですかぁ…」 この先を進むことよりもコンパス作りをすることを選んだマルガリィタはとぼとぼと来た道を引き返していったであった。

2022-05-31 22:34:00