稲川淳二の『つぶやき怪談』(2022.05.25)

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「見えますか？」 って、聞きました。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

明かりがついた瞬間、 洞窟の一番奥に、 チラッとなにか白いものが見えた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「なんだいあれ？」 と聞くと、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「もっと奥に入れ」 って、現地の人が言うので、 行って、驚いたんですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「真っ暗な闇の中に石が積んであって、 機関銃がこっちを向いてる。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そしてね、ヘルメットを被ったガイコツが、 その機関銃を握って、じっと私を見たんだよ、 稲川さん。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

これはまさに幽霊だよね」 その方、言いましたよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

戦争が終わって何十年、 彼は洞窟に立てこもって、 まだ、戦っているわけですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

機関銃をもって。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その執念はそれはそれで、 すごく凄まじく、恐いものですよね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

でもね、それ以上にですよ、 暗くて、入るのさえ、 いるのさえ気持ちの悪いこの洞窟にですよ、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

たった一人でもって、 何万というアメリカ兵と最後まで戦おうとした、 撃ち続けようとしたこの人の恐怖。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その恐怖はですね、 機関銃を持ったガイコツを見て、 私たちが感じる恐怖なんぞより、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

うんと強く、うんと深く、 恐いものだったんじゃないでしょうかね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そう思ったら、 「涙がでましたよ、稲川さん」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

って、言いましたね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

私ね、その時、思いましたよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（ああ、生きた霊ってあるんだな） って。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

もちろん、命はないんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

でもね、 「意志が生きている霊」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それはあるんじゃないかと思ったんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「つぶやき怪談」いかがでしたか？ 怖・楽しい時間を、 楽しんで頂けましたでしょうか？

稲川淳二 @Junji_Inagawa

喜んで頂ければ、何よりです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

不定期なんですが、 また「つぶやき怪談」やりますんで、 よかったら遊びにきて下さいね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

皆さん、節電には気を配って下さい。 そして、何か、自分が出来ることを、 試してみて下さいね。