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シン・ウルトラマン 感想

私的メモ
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リンク 映画『シン・ウルトラマン』公式サイト 映画『シン・ウルトラマン』公式サイト 『シン・ゴジラ』の製作陣が、あの“ウルトラマン”を描く。混迷の時代に生きるすべての日本人に贈る、エンターテインメント超大作。大ヒット上映中 17 users 7296




最初から次々ネタバレします。未鑑賞の方はご注意を。

河樹 彬 @e_rewhon

シン・ウルトラマン、観てきました。面白かった。「総集編」「ファンムービー」「映画的ではない」といった評判をきいて不安だったものの、いや、実際に観てみると、明確に一つのテーマを巡る「作品」で、しかもこのテーマはウルトラマンでなければ描けない。予想以上に「面白い映画」でした。

2022-05-30 07:43:10
河樹 彬 @e_rewhon

人類という生物の生態を「分かり尽くしている」メフィラスと、人類という友人のことが最後まで「分からない」ウルトラマンとの対比。ウルトラマンは徹頭徹尾罪深く、慈悲深く、彼という鏡を経由する事で「ウルトラマンに(まだ?)なれない」我々を描く。面白い。

2022-05-30 07:43:10
河樹 彬 @e_rewhon

古来から「人は神の御心を知らぬ」という警句や「人は神に罪を負う」という発想は存在すれど、「人の不可解さゆえに人を好きになってくれる神」、そして「日本人を殺した罪を背負いつづけてくれる神」なんて、なんて奇妙な神様を日本人は発明したのだろう。

2022-05-30 07:43:10
河樹 彬 @e_rewhon

加えて、以前から「人類とウルトラマンの関係には、理想化された日米関係への願望が投影されているのでは」との論があった。本作品で「宇宙人」は、外国人ならぬ「外星人」と呼ばれ、ウルトラマンも一外星人にすぎぬことが強調されている。人は外圧により「幼年期の終わり」を迎えるのだ。

2022-05-30 07:43:11
河樹 彬 @e_rewhon

本作のウルトラマンは「人類の進歩」に希望を託していた。この点も初代マンの「明るさ」をきちんと引き写している(とすれば、今後この希望は試練に晒されるだろう)。

2022-05-30 07:43:11

(以上、いろいろ言葉足らずでしたが)

一本筋が通った「面白い映画」でした。

「天使が人間になる」物語。
いいかえれば「子供が(子供を守る)大人になる」物語。

途中「天使(ウルトラマン)と悪魔(メフィラス)」が対比されることで、天使であることの意味や、人間になることの意味も分かりやすく描かれています。
素直に感動できました。



鑑賞後は、観た人の感想も面白い



『子供』に向けた映画

どうそく さんのツイートを見て

@madanaizo

シン・ウルトラマン。うちの両親(NOT特撮映画好き)にも好評だったけど、それは「怪獣映画って、こんなもんでしょう?」という「見下し」のうえに存在する「面白い」だった。女が巨大化する?宇宙人達が居酒屋で酒を飲む?「バカバカしくて面白い(今時こんな変な映像が見れて最高!)」という感じ。

2022-06-02 12:07:56

私も、シン・ウルトラマンは「バカバカしくて面白い怪獣映画」だと思います。いわば「子供向け」で、同じ庵野・樋口作品でも、「大人向け」なシン・ゴジラとは正反対。

スタッフは「子供に向けた」映画を作ろうとして、見事に作り上げたのであって(そのことは冒頭数分間の映像を観るだけで明らかです)、そして、そのことにはちゃんと意味があったのだと私は思います。

以下、そんなツィート。

河樹 彬 @e_rewhon

シン・ウルトラマン。確かに「怪獣映画って、こんなもん」と、素直に楽しめた。冒頭数分の怒涛の映像で「この映画のリアリティレベルはこの辺り」と教えてくれる。上手い。 非日常と日常が同居する風景は、子供だった頃の感覚を思い出させてくれる。 >twitter.com/madanaizo/stat…

2022-06-03 02:43:26
河樹 彬 @e_rewhon

怪獣特撮という寓話でしか描けない風景がある。 同じように悲惨なストーリーであっても、もしも『故郷は地球』のジャミラや『怪獣使いと少年』の宇宙人が「ただの大人」だったとしたら、『故郷』や『怪獣使い』は、あれほどの名作たりえていただろうか?  私は疑問に思う。

2022-06-03 02:43:26
故郷は地球

佐々木守,高野宏一,実相寺昭雄,末安昌美

怪獣使いと少年

上原正三,東條昭平,大木淳,円谷一,斎藤進,橋本洋二

河樹 彬 @e_rewhon

もしも怪獣寓話の世界でなければ。 私は、復讐鬼と戦う隊員達にも、秩序のために老人を撃つ警官達にも、大人の事情やら魅力やらを感じていたかもしれない。 だが、そうしたピカレスクロマンの中には、『故郷』や『怪獣使い』を見終わった時に感じた「悲しさ」など、存在する余地がないだろう。

2022-06-03 02:43:27
河樹 彬 @e_rewhon

それは「子供じみた」悲しさである。 ウルトラマンは昔から「子供っぽい」世界だった。多くの怪獣も、隊員達も、ウルトラマン自身も。 彼らは、大人の「お約束」からは遠い場所にいる。

2022-06-03 02:43:27
河樹 彬 @e_rewhon

シン・ウルトラマンでも、ウルトラマンは子供っぽい。それは彼が純粋だからではない。彼が「境界人」だからだ。 彼が『野生の思考』を読みふけるシーンは印象的だ。彼ら人類学者は、未開にも故郷にもどちらにも属すことができない。原住民から見れば、彼らはひどく子供っぽく映るらしい。

2022-06-03 02:47:18
野生の思考

クロード・レヴィ=ストロース,大橋 保夫

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