喜多野土竜先生に聞いてみた、マンガや絵画による右脳・左脳論。あれこれ。
- nagasimayosiaki
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ベティ・エドワーズ著『脳の右側で描け』は優れた教本で自分も愛読している本なんですが、個人的にはちょっと問題があると思っています。例えば小学生低学年の段階で「さ」と「ち」・「イ」と「ト」を混乱させる生徒が一定割合いるのですが、これは左右の認識能力が未発達だからです。
2011-09-18 17:54:26よく見れば、微妙なバランスが違うはずなんですが、子供の大雑把な認識能力では、鏡に写った同じ字に見えてしまいます。逆に、その違いをキチンと把握できるタイプってのは、実は画家としての才能があるタイプなんですね。ちなみに、自分は小学校3年ぐらいまで、鏡文字のミスをやっていました。
2011-09-18 17:56:57『脳の右側で描け』は左右や上下を反転させたえを描かせて見ることで、右脳の能力を引き出すドリルがあるのですが、絵でつまづくタイプの投稿者はだいたい、ここで混乱を起こします。思うに、これは人間の脳が複雑な物から単純なものを抽出する能力(単純化の能力)があるからなんでしょう。
2011-09-18 18:00:37たとえば、天井の木目が人間の顔に見えて怖くなったとか、心霊写真とか騒がれるのはだいたいが、樹の葉の影の重なりの中から、人間の顔っぽいものを、抽出してしまうからなんですね。細部を見れば、人間の眼や耳としては、ずいぶんとバランスがおかしいのですが。そこはアスキーアートと同じ。
2011-09-18 18:03:28これは絵だけでなく、例えば川のせせらぎとか複雑多様な音があるのですが、川の側でウトウトしていると「おはよう」と声を描けられた気がしてハッとした、なんて伝承は世界各国であります。多様な音の中から、その国の言語で「おはよう」に近い音を拾って、つなぎあわせてしまうんですね。
2011-09-18 18:05:26虫の声も、日本人と外国人では右脳と左脳での処理が違うんですね。外国人は虫の声は右脳で処理するけれど、日本人は本来ロジカルな左脳で処理します。でも、日本人自身は「我々は虫の声という情緒的なものを左脳で処理するので和歌や俳句の文化が発達した」なんて、永く気づきませんでした。
2011-09-18 18:08:26マンガ家もそうで、だいたいの人は「さ」と「ち」を混乱することない人がほとんどで、逆に混乱しちゃう人が理解出来ない。また、ロジカルな思考に慣れた欧米人には右脳で絵を感じることはすごく有意義でも、左脳で虫の声や雨音を情緒的に受け止める日本人には、かえって混乱する場合が多いようです。
2011-09-18 18:10:49マンゼミでも何回も書いていますが、優れた名著でも、与える段階を間違ってはかえって有害になります。なので、参考文献ではあえて外したものは数多くあります。マンゼミを読んだ上で、また自分の下記のツイートを知った上で『脳の右側で描け』を読めば、弊害はだいぶ少なくはなりますが……。
2011-09-18 18:13:45昼間の鏡文字についての補足。子供だと、左右の違いのみならず、6と9を別に認識できないとか、上下の錯誤も多いですね。その視点で行くと、アルファベット。対称形が多く、そのような錯誤を犯しやすい文字は意外と少ないかも。それでもNの傾きが逆だったりとか、そういうミスは起こるようです。
2011-09-19 01:58:42@mogura2001 姉が子供の頃は鏡文字を書いていました。姉は左利きでマンガを書いていました。左利きのピカソは鏡文字が有名。漫画家の左利き率は高いと聞きます。理屈っぽい話が好きなので、右利きの漫画家と左利きの漫画家の作風が知りたいです。お時間がある時にリプを下さると幸いです。
2011-09-19 02:17:16@mogura2001 先のリプ、失敬しました。ダビンチでしたね。右利きの私は、顔の左半分が書けなくてイラストを書くのが嫌になりまして。片岡鶴太郎は絵画を書く時は左手を使うと聞きます。この科学理論は何なんですかね? 経験上の見解をツイートしていただけると幸いです。
2011-09-19 02:23:29@nagasimayosiaki 作風は意味が違うので難しいですが。文字はロジカルに左脳で処理するわけですが、その機能が未発達な子供は鏡文字を書いたり混乱が起きるわけです。左利きは右脳が活性化されるので、芸術家には多いと言われますが、比率的に多いだけで絶対数が多い訳ではないです。
2011-09-19 09:56:51@nagasimayosiaki 一般人で1割程度の左利きが芸術家だと2割になるとか、そういう傾向はあるようですが、コレはプロ野球選手が左利きが3割とか4割になるのと同じで、多数派の中で少数派が有利、というだけの気がします。理由は簡単で、漫画も描きやすい顔の方向があるからです。
2011-09-19 10:06:08@nagasimayosiaki 右利きだとフェルメールの『真珠の耳飾りの少女』のような顔の向きが描きやすいんですが、左利きだとその逆に。右利きの比率が多い中で左利きだと、日頃見慣れない顔の向きを見るので、読者にインパクトを残すことになります。コレはページ構成とも関わってきます。
2011-09-19 10:23:02@nagasimayosiaki コレは飯の種なので詳しく描きたくないのですが(笑)、漫画の絵は右ページと左ページで、実は役割が微妙に異なります。あるタイミングであるページにある向きの顔をはめ込むと、読者の印象が大きく変わってしまうんです。その時に、左利きだと有利な面があります。
2011-09-19 10:26:48@nagasimayosiaki ただそれは、左打者のほうが一塁ベースに近い分、セーフティバントに成功率が右打者より高い、というのと同じで、鈍足の左打者より俊足の右打者のほうが、成功率自体は高い、というのと同じです。ページ内構成論を知らないと、宝の持ち腐れなのは同じです。
2011-09-19 10:30:18@nagasimayosiaki ただそれは、左打者のほうが一塁ベースに近い分、セーフティバントに成功率が右打者より高い、というのと同じで、鈍足の左打者より俊足の右打者のほうが、成功率自体は高い、というのと同じです。ページ内構成論を知らないと、宝の持ち腐れなのは同じです。
2011-09-19 10:30:18自身の現時点での結論では「右利きだろうが左利きだろうが、凄い奴は凄い奴」。自身の特性を知って才能をうまく活かすのがよろしい。つまり正しい努力が必要。
ピカソやダビンチなど有名人に目が行きがちですが、右利きの天才肌もいたでしょう。左利きは珍しいから記録されるパターンかと。(※剣豪の宮本武蔵は左利きという説があります。多くの水墨画を残し、空間認識をつかさどる右脳は死闘で研ぎ澄まされたのかもしれません)
左利きの小説家は夏目漱石ぐらいしか知らないのですが、昔は右利きに強制されるのが主流だったので、「悪筆な文豪は天性的には左利きの可能性も考えられる」な話も聞きます。