うさぴょんの140字小説 まとめ
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山菜を取りに山に入ると一軒の小さな家を見つけた。俺が子供の頃住んでいた家と良く似ている。戸が開いて女が顔を出した。女はお袋と瓜二つだった。それも俺が子供だったときの若いお袋に。 「ああ、お帰りなさい」 女はこっちに手を伸ばした。女には影がなかった。
2022-08-10 22:19:08曲がり角から黒いモジャモジャがゴム毬が弾むように現れた。よく見たら犬だった。 「なんだ、犬か」 思わず呟いた。 「なんだ人間か」 犬もこちらを見て独り言つ。不思議そうにしばしばこちらを見たあと、踵をかえした。 犬の姿は墨を流したかのような暗がりの中に消えた。
2022-08-06 22:41:03ある男が銀行強盗をした。男は盗んだ金をバックにいれて竹藪に隠した。 数年たった。地下から突き上げてくる筍のせいでバックは数年かけて地表へと押し上げられた。バックの持ち手に筍が引っ掛かったままの状態でぐんぐんぐん延びていく。どんどん高くなっていくバックを誰もとることはできない。
2022-08-05 23:45:49誤字に気がついた。最後の一文がまちがっている。 花子さんの方が電話をかけたのに“メリーさんみたいに電話にでるのね”になっている。
2022-08-03 08:27:40花子さんが出てくるという廃校舎のトイレの写真をSNSにアップした。次の日、今はほとんど使っていない家の固定電話の呼び鈴がなった。受話器を取った。 「もしもし、わたし、花子さん。あのね、SNSで写真を拡散するのやめて欲しいの」 トイレの花子さんは、メリーさんみたいに電話に出るのね。
2022-08-02 23:36:18朝起きたら、兄が居なかった。代わりに兄のベットには大きな虫が、人間ほどのサイズの虫がいた。もしかして兄はカフカのグレゴールよろしく虫になってしまったのか…。そんな馬鹿なことがあるのだろうか。訳が分からなくなっている私の後ろで声がした。「ただいまー。殺虫剤買ってきたよ」
2022-07-31 23:38:32「あの二人は筒井筒のカップルだからとか言うときの筒井筒って何?」 「うーん。毛利蘭と工藤新一みたいな、金田一一と七瀬美雪みたいな関係性だよ」 「どこかにいくたびに何かに巻き込まれる間柄ってこと?」
2022-07-30 22:38:54本能寺の変で死んだ武士の霊が出るというアパートを借りた。夜、あたりが闇に包まれるとぼんやりとしたモヤのようなものか現れた。幽霊だ。「本能寺の変の真相について教えてほしい、本当に信長は死んだのですか」」 幽霊は首をかしげた。「さぁ。おら足軽なもんで」
2022-07-26 23:20:36幽霊が見えると言う友人に俺の守護霊ってわかる?と聞いてみた。 「うん。軍鶏だね」 守護霊が、軍鶏。 「守護霊がミコトンドリアとかよりはいいよ」 「ミコトンドリアよりいいけどさ」 この胸の奥のなんとも言えない感じをなんと言えばいいのか分からず窓の外を見た。入道雲がキレイだ。
2022-07-25 05:50:13友人と肝試しに行った。夜の墓場はひんやりして、気持ち悪かったがなにもあやしい事は起こらなかった。次の日、学校へ行く途中、肝試しに行った友人に会った。「おはよう。昨日はなにもなかったな」 「ああ、もしかして昨日のアレ、覚えてないの…」 それから友人はやけに俺につめたい。
2022-07-22 06:01:44「そうか…今のミャクミャクさまは人の形をしているのか」老人は目を細めた。「わたしがミャクミャクさまに会ったときは犬の形をしていたよ…」 「じさまはミャクミャクさまに会ったことあるの?」 「ああ…」 #140字小説
2022-07-20 07:41:54かささぎは組体操が得意だ。どんなフォーメンションもかれらにかかればものの1分もかからない。だが、かれらが一番得意なのは橋。そう、織姫と彦星が会うというあの天にかかる橋である#170文字小説
2022-07-07 23:25:54適当な空き缶に「天使入り」と札をつけて友人にわたした。ちょっとしたジョークのつもりだった。しばらくしてその友人とまた会った。彼は「天使をありがとう」と行った。そして空中に話しかけ始めた。#180文字小説# マイクロノベル
2022-07-04 23:21:28天使が海の底を覗き込むと、様々な形の深海魚が目に入った。目のない魚、岩みたいな魚、からだが細長い魚、深海魚は実に多彩で神の深意を感じられる。 天使は神に聞いた。 「神よ。どうして深海魚はあんな変な形をしているのですか」 神は答えた。「うーん、丁度あの時、酒に酔っていたからねぇ」
2022-07-01 03:19:08