うさぴょんの140字小説 まとめ
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指輪が欲しかった。なので町外れの小さな荒れた社に「指輪を下さい」と願った。すると次の日、指輪を拾った。その次の日も指輪を拾った。そうして拾った指輪が10個になったので専門家に鑑定してもらうことにした。「これ、全部オモチャ。一文の価値もない」 まったくそそっかしい神様もいたもんだ。
2022-06-23 05:21:05弟の声が父に似てきた。声だけじゃなく、歩き方もすこし猫背な所も。親子だから似るのは当たり前じゃないかって思うかもしれない。だが弟が父に似てきたのは一週間ぐらい前からだ。わたしと弟が父をたべてから #140字小説 #140文字小説
2022-06-17 23:45:02抽象絵画の巨匠から画商のところへ白い絵の具で端から端まで塗られたキャンパスが届いた。画商は頼んでおいた新しい絵が届いたと喜んだ。数日後、巨匠から画商へ電話がかかってきた。「すまない。間違えて描きかけの作品を送ってしまった」#140文字小説 #140字小説#マイクロノベル
2022-06-11 22:52:53水面に波紋が広がる。波紋の中から人魚が身を起こした。上半身だけを水の外へ出し。青い瞳の人魚は私を見て笑った。犬歯が大きかった。人魚はぱっしゃんという音ともに身を翻し水中に潜った。私は思わず人魚を追いかけようと水に足を突っ込んだ。水は私の踝までしかなかった。
2022-06-10 23:33:03「ただいま」ドアを開けて旦那が帰ってくる。私はおもいっきり彼の胸に顔を埋める。鼻につくへんな匂い。やっぱりこの人、外に女がいるんだわ。私は彼の腕を甘噛する。怪我しないぐらいに弱く、反省を促すぐらいに強く。 「やっぱり犬はいいなぁ」旦那は私の頭をなぜる。
2022-06-05 07:57:08うちの家の天井裏から物音がする。どうせ鳩だろう。そう思って天井板を動かして覗いてみたらそこに女の顔があった。女は血のように赤い唇を歪ませて笑った。 # #140文字小説
2022-05-31 21:01:27居間の壺の中から声がする。のぞいてみると叔父と大伯母が差し向かいで酒を飲んでいた。叔父は半年前に、大伯母は十五年前に死んだ。叔父も大伯母も本当にいい顔をしている。酒のみは死んでもなおらないんだなぁとしみじみ思った。#140文字小説#140字小説
2022-05-26 06:34:09わたし、自撮りが下手なんです。自撮りすると手がぶれてしまって顔が二つあるように見えるでしょ。えっ。普通は手がぶれても顔が二つに見えることはないっですって。それじゃ…。
2022-05-12 23:14:23私の趣味は偉人の墓参りだ。今日はとある山の小さな墓に来た。私が墓を拝んでいると白いワンピの少女がやって来た。こんな山間にあんな少女が…背中がゾッとした。「へぇ私が見えるんだ…」少女は大きな瞳で私をじっと見る。「やめなさい」住職の鋭い声がした。「すみませんね。娘が」
2022-05-09 04:34:09「こないだ、助けてくれてありがとうヨハン」「何が?」「新宿で不良に絡まれた時、助けてくれただろ」ぼくは新宿にも行ってないし、不良から彼を助けたりもしてない。 ぼくと同じ顔、同じ声で暮らしている奴が、いるらしい。けどあいつの方が評判がいいのは不気味だ。#呟怖
2022-05-07 23:08:25公園のベンチで飯を食っていたら鳩がやって来た。隣のベンチのやたら身なりのよい少年がぶつぶつ文句を言っている。 「鳩は嫌いかい」 とわたしは少年に訪ねた。 「ええ。僕の前世は鳩に食べられて終わったのです。ぼくも鳩だったのに」 少年は突然くるっゆーと声をあげ両手を広げ走り出した #呟怖
2022-04-29 06:06:19