夏休みとくべつ読み切り【痛快ファンタジー活劇 ご存知!エルフ三人娘~夏の浜辺の幽霊騒ぎ~】
- suzumeninja
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夏休みとくべつ読み切り【痛快ファンタジー活劇 ご存知!エルフ三人娘~夏の浜辺の幽霊騒ぎ~】 (実況感想ハッシュタグは #エルフ三人娘 だと後で拾えるので嬉しい)
2022-08-27 22:06:35「うみの香りがすゆ……」峠の街道から海岸を見下ろす三人組。鼻をヒクヒクさせているのは、ミスリル銀の保管箱を背負う、ズングリとしたポテサラエルフのポテチ。顎の力が弱く舌っ足らずで、ポテトサラダを主食とするエルフだ。
2022-08-27 22:08:21「波の音がここまで聞こえそうだぜ」耳を澄ますのは、胸にサラシを巻いて竹の軽鎧に身を包む、ギザギザ歯で長身のバンブーエルフ、メンマだ。バンブー林で鍛ええられた聴力は、かすかに届く海の音を耳に捉える。
2022-08-27 22:09:51「ほらほら!あれだよあれ!」元気にぴょんぴょん跳ねながら船を指差すのは、ボサボサの金髪に簡素な貫頭衣でニコニコ笑う、クソバカエルフのハカセ。クソバカエルフなんて名前だが、別名”森の賢者”とも呼ばれる叡智に満ちたエルフだ。
2022-08-27 22:10:49彼女たち三人は、ヒューマンならざる旅エルフである。各地でヒューマンと交流し、時には手助けをすることで、エルフがヒューマンの良き隣人であることを知らしめるという任務があるのだ。だが、今回はちょっと息抜きといったところで……。
2022-08-27 22:12:21「よっしゃ!乗り遅れないように急ごうぜ!」「「おー!」」メンマの号令に、三人は道を急ぐ。今回の目的地は船に乗って移動する、リゾート地の離島だ。夏の暑い時期には各地から観光客が訪れる名所である。
2022-08-27 22:14:48三人は他の観光客と一緒に船に揺られることしばらく。波は穏やかでトラブルもなく、船は無事に利用にたどり着いた。「うおー!青い空!」メンマは快晴の空を見上げる。「白い砂浜……」ポテチは波が打ち寄せる砂浜を見る。「緑のワカメ!」ハカセは海中の海藻を見た。
2022-08-27 22:18:40そう、ここはワカメエルフの里なのだ。エルフの里といえば閉鎖的なイメージがあるかもしれないが、必ずしもそうとは限らない。この島は貿易船や観光着を受け入れており、それ自体がヒューマンとの良好な関係を築く要因となっているわけだ。
2022-08-27 22:20:38「ようこそ~ワカメビーチへ~」だいぶおっとりとしたワカメエルフが三人を出迎える。ワカメエルフは半水生のエルフであり、海中での活動に適応した結果、全体的にふくよかなエルフが多い。そして、海藻栽培という気の長い生業ゆえか、性格もゆったりした傾向があるとか。
2022-08-27 22:23:29「手紙を出してたメンマとポテチとハカセだ」「お待ちしてました~楽しんでいってくださいね~」「ああ、お言葉に甘えさせてもらうとするよ」メンマはギザギザの歯を煌めかせて笑う。「あのあのー!」ハカセが元気に手を上げる。「例のアレ、さっそくお願いしまーす!」
2022-08-27 22:27:00「は~い。どうぞこちらへ~」ワカメエルフは三人を建物に向かって案内する。「なあ、わざわざ着替える必要あるか?」なんとなく気乗りしていなさそうなのはメンマだ。「必要必要!ポテチもそう思うよね?」「んゆ、せっかくだし、経験してみるのも悪くないと思ゆ」「そんなもんかねー……」
2022-08-27 22:29:21「そんなもんだよ!」ハカセは率先してワカメエルフの後についていく。そして、三人は建物内部に案内された。「どうぞお好きものを~」「「「おお……」」」そこには、様々なデザインの水着が用意されており、着替える用の部屋も併設してあった。
2022-08-27 22:31:31ワカメエルフは海中での生活のため、水着の発展が早かった。地上生活用の服とは異なる、海中に特化した服は、ワカメエルフにとっては必要不可欠な衣類だ。
2022-08-27 22:33:12クソバカエルフには、多くの文化に触れて体験し、叡智を高めたいという、本能のようなものがある。今回、水着を着てみたいと言い出したのは、当然ハカセだ。
2022-08-27 22:35:07「いろいろあって迷ゆね……」ポテチは水着をじっくり見る。ポテサラ道具を始めとする様々な道具を使うポテチにとって、水着の造形や道具としても利便性など、気になるところが多くあるのだろう。
2022-08-27 22:37:06「ま、アタイはどれだっていいんだけど……」「そんなこと言わずに、ほら、アレとかどう?」冷めた目で水着を見渡すメンマに、ハカセが一つの水着を指さした。「ほう……こりゃあ、いいじゃねえか」どうやら、メンマのお眼鏡にかなう水着があったらしい。
2022-08-27 22:40:53それからいろいろあって、三人は順番に選んだ水着を披露することになった。「一番手はアタイだ!これでも拝みやがれってんだ!」着替え室の扉が開き、水着を来たメンマが飛び出した!「「これは……」」ハカセとポテチが息を呑む。
2022-08-27 22:44:11「いつもとあんまり変わんないゆね」ポテチの言う通り、メンマの水着はサラシのように巻かれた海藻とハーフパンツ。バンブー鎧を脱いだ普段着とあまり変わらないといえば、実際そのとおりだ。「変わらないのがいいんだよ。水中でも普段どおりの動きやすさ。それが一番ってな!」
2022-08-27 22:46:20しかし、バンブー鎧が無いことで、いつも以上に鍛え上げられた肉体が良く映えている。太陽に照らされた腹筋が、バンブーを噛み砕く筋力を表しているかのようだ。
2022-08-27 22:47:55「つぎはポテチの番だゆ。ふふふ、ポテチのないすばでぃを見せてやるゆ……」なんだか気合の入ったポテチが着替え部屋をと入っていく。……そして数分後。「これが理想の体型ってやつだゆ!」水着を来たポテチが飛び出した!「「これは……」」メンマとハカセが息を呑む。
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