「ナイル川を渡るアリ」に感じる、創作実話的雰囲気。

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おばた @sho1_oba

小学校の頃、道徳の授業で「アリがボール状になって水に浮き、水面から出ている部分が交替しながら川を渡る」という話を習った記憶がある。 この話をふと思い出して、それは何という種のアリなのか、その生態がどんななのかを詳しく調べようと思って調べていたら、衝撃の展開だった。

2022-09-14 09:48:47
おばた @sho1_oba

この話自体は「ナイル川を渡るアリ」というタイトルで道徳の教科書に載っており、このタイトルでググるとこの話やそれを引用したブログだったり小学校の学校便りのPDFなどが引っかかってくる。 一方で、この種のアリそのものの話が全く出て来ないのである。画像検索の結果もイラストばかりだ。

2022-09-14 09:48:48
おばた @sho1_oba

それらしいのはアマゾン川のヒアリで、増水時などにお互いにしっかりと組みついて筏のような形になって、体表の撥水性を活用して表面張力でカタマリごと水に浮いて難をしのぐのだそうである。 このポイントは、全部浮いているので水中で犠牲になっている個体は基本的にはいない事である。

2022-09-14 09:48:48
おばた @sho1_oba

ちなみに、残念ながら魚の餌食になってしまうものはいるようで、全てが無事というわけではないようである。この「アマゾン川のヒアリの筏」については写真も動画もネット上に大量に出ているので、実在しているのは確かなようである。 このリンクはBBCの動画。 youtu.be/A042J0IDQK4

2022-09-14 09:48:48
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おばた @sho1_oba

一方で、上述の「ナイル川を渡るアリ」の話はボール状となって常時3分の2は水中に沈んでいて、順次水面に出るものが交替することで生きながらえるという話で、ボールを構成するアリはどの引用先でも3000匹とされている。「ナイル川の川幅は広い所で50~60km」とも書いているものもある。

2022-09-14 09:48:49
おばた @sho1_oba

この道徳話の要点は、「誰かがズルをして水面にずっといようとしたら他の個体が死ぬ。結果としてボールは瓦解して自分も死ぬことになる。だから皆で等しく苦難を負い、共に乗り越えていこう」という道徳的な説教話になるのであるが、そもそもその存在がはっきりせず、実在していない可能性がある。

2022-09-14 09:48:49
おばた @sho1_oba

アマゾン川とナイル川は全く別だし、ヒアリと「ボールになるアリ」は水を渡る方法も異なる。 これは可能性だが、そもそもそんな「ボールになるアリ」は存在しないのではないだろうか? アマゾンのヒアリをベースに誰かが創作した「いい話」、かつて話題になった「創作実話」のような雰囲気がある。

2022-09-14 09:48:49
おばた @sho1_oba

その真偽はまだ定かではないが、知っている人がいたら是非教えて欲しい。 何らかの生物の生態から勝手に何かしらの教訓を得ることは別にいいと思うし、道徳の話に仕立て上げることもまあ別にいいと思う。 ただ、無いものをあたかも実在するように装って話すことは非常に非道徳的ではないかと思う。

2022-09-14 09:48:50
おばた @sho1_oba

何かしらの説法の為に捏造された「いい話」みたいなのは、漢字の成り立ち(字源というらしい)とか芸能人の逸話とか色々存在するが、偉そうに語るならそもそも捏造をするなと言いたい。 聞かされた子供が強い関心をもって深く調べた結果その捏造の事実に直面した時、その子は大人への信用を失う。

2022-09-14 09:48:50
おばた @sho1_oba

捏造された「いい話」では、『水からの伝言』や『江戸しぐさ』みたいなのが有名だけど、もっといろいろと存在しているんじゃないかと思う。 わざわざ捏造しなくてもいくらでも説法なんかできそうなものだけど、そうしないと説得力がないとか思うのかな?だとしたら、そいつの説法力が低いだけ。

2022-09-14 10:09:01