国連のトランスジェンダーの説明に書かれている「アンブレラターム」についての誤解とこの概念がつくられた経緯について

国連のトランスジェンダーを説明するページに登場するトランスジェンダーの「アンブレラターム」という概念。この概念に異性装者を表す「クロスドレッサー」がなぜ含まれているのか、西田彩ゾンビさんの解説をまとめました。
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国連のトランスジェンダーの説明原文

リンク UN Free & Equal UN Free & Equal | Definitions People use a wide variety of words to describe themselves and their identities, and it's important to respect the terms, names and pronouns people use. 1 user

国連のトランスジェンダーの説明の誤読に注意

リンク Anno Job Log 国連のトランスジェンダーの定義。クロスドレッサーの誤読に注意。 - Anno Job Log 原稿を書いた後も、「オートガイネフィリアが含まれるという言説はどこから生まれるのか」というのが謎だったので、ずっと考えていた。ちょっと謎が解けた気がするので、解説したい。 まずは、よく引用される、国連のトランスジェンダーの定義。 www.unfe.org >Transgender (sometimes shortened to “trans”) is an umbrella term used to describe a wide range of identities whose appearance

国連のトランスジェンダー定義を読んで「クロスドレッサー」という用語が含まれていると、誤読し、autogynephiliaと近似の意味で理解しうるということもおこるのだろう。

ただ、やはりそれは誤読であり、ここでのクロスドレッサーcrossdresserは「非定型的なジェンダー・アイデンティティを持ち、異性装をする人」という意味だろう。

西田彩ゾンビさんによるアンブレラターム概念の歴史解説

西田彩ゾンビ @zonbi

@kambara7 @takitaro2 @ono_tomoya 補足。90年代「トランスジェンダー」という言葉は、ジェンダーに非順応な多様な人々を包括したトランスジェンダーコミュニティを指す言葉としても定着していました。そうした人々は差別や暴力の対象となっており、多数の相談を受けて1994年サンフランシスコ人権委員会が差別の実態を調査しました。

2021-10-06 22:12:39
西田彩ゾンビ @zonbi

@kambara7 @takitaro2 @ono_tomoya サンフランシスコ人権委員会の調査報告書で、ジェンダーに非順応な表現・表象・生活などで差別や暴力を受けていた各グループを見渡せるように作られたのが「トランスジェンダーアンブレラ」です。 ですので、クロスドレッサーもドラァグクイーンもトランスセクシュアルも傘の下に並んでいるのです。

2021-10-06 22:14:18
西田彩ゾンビ @zonbi

@kambara7 @takitaro2 @ono_tomoya 国連のページに記載されている「トランスジェンダー」も、トランスジェンダーコミュニティを指す包括的な使用方法で使われています。 ですので、その説明の中にTransman・Transwoman(トランス男性・トランス女性)のことが説明されているのです。こちらが日本におけるトランスジェンダーを指します。

2021-10-06 22:21:49
西田彩ゾンビ @zonbi

@kambara7 @takitaro2 @ono_tomoya このように、もともと差別や暴力を受け公的サービスからも排除されていた人々の各グループを見渡すために作られたトランスジェンダーアンブレラが、今ではトランス女性を差別し排除するために利用されています。 どれほど醜悪なことでしょうか。

2021-10-06 22:27:08
西田彩ゾンビ @zonbi

@kambara7 @takitaro2 @ono_tomoya また、こうした経緯で作られたトランスジェンダーアンブレラに「オートガイネフィリア」を付記して捏造した画像を使ってトランス排除のために使う人もいます。 また、神原弁護士が引用されてた紫色のアンブレラは、ジェンダースタディで使われているもので、こちらが原典です thegenderbook.com/the-pages

2021-10-06 22:30:50
西田彩ゾンビ @zonbi

@ono_tomoya @kambara7 @takitaro2 この話には全て参考文献があります。 1994年に作成されたサンフランシスコ人権委員会の報告書も手元にあります。

2021-10-06 22:31:49
西田彩ゾンビ @zonbi

@ono_tomoya @kambara7 @takitaro2 こちらがサンフランシスコ人権委員会の報告書です。 この69ページに歴史的にも初出となるトランスジェンダーアンブレラが掲載されています。 このアンブレラは、サンフランシスコでセラピストとして働いていたルアンナ・L・ロジャースが考案し、タリア・グラベルが作成しました。 pic.twitter.com/9SS6NdLlAe

2021-10-06 22:42:04
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西田彩ゾンビ @zonbi

@ono_tomoya @kambara7 @takitaro2 国連のトランスジェンダーを説明するページやトランスジェンダーアンブレラを悪意で解釈し、トランス女性たちに誹謗中傷を行うならず者がいます。 トランス女性達はその属性に単純化され、個別具体的な人間性や日々の生活は剥奪され、謂れのない誹謗中傷を受けています。これは差別そのものです。

2021-10-06 22:54:09
西田彩ゾンビ @zonbi

@ono_tomoya @kambara7 @takitaro2 歴史的な経緯も知らず、勝手な解釈のもとドヤ顔でトランスジェンダーアンブレラや国連ページを振りかざし殴りかかってくる連中に恐怖し苛んでいた無実で善良なトランス女性たち、もう恐れる必要は一切ありません。

2021-10-06 23:10:30
西田彩ゾンビ @zonbi

@ono_tomoya @kambara7 @takitaro2 更に補足しておきます。 日本でトランスジェンダー(形容詞)が説明されるとき 「出生時に割り当てられた性別とは異なる性自認の人」 「出生時に割り当てられた性別とは異なる性別を生きる人」 といった説明が主になされます。この「異なる」という部分こそが包括性を示しています。

2021-10-06 23:25:06
西田彩ゾンビ @zonbi

@ono_tomoya @kambara7 @takitaro2 この”異なる”となっている部分が 「”反対の”性自認の/性別を生きる」である場合はトランス男性・トランス女性を指し、 「”典型的な男女に区分されない”性自認の/性別を生きる」の場合はノンバイナリーやXジェンダーなどを指します。 このように、包括性が担保された説明の仕方となっています。

2021-10-06 23:31:05
西田彩ゾンビ @zonbi

@ono_tomoya @kambara7 @takitaro2 トランスジェンダーアンブレラや国連ページを見た時に ①「これはどういった概念や説明なのかな?」と更に調べ学ぶのか ②「これはトランス排除に利用できる!」と使い始めるのか そうした分岐点にこそ本音と偏見が露呈します。差別したいという意識があるから、悪意で解釈し差別に利用するのです。

2021-10-07 12:09:30