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四の舟×おろし丸によるスケッチブックリレー小説 ねぎくが~クリスマス編~

スケッチブックの知識必須。加えて、カップリング妄想好きな人向け。二か月前ですが、根岸君と空閑さんのクリスマスエピソード。
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四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 部屋の中が一瞬で真っ暗になる。「空閑?」 「ちょっと待ってて・・・」 なにやら、空閑はごそごそとやっている。俺は足下で寝ているユタンポを足でちょいちょいいじくって待っていると、ボッと、マッチの明かりが灯った。

2011-10-01 01:12:01
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 揺らめく火の光が、空閑を映し出していた。「……メリークリスマス、根岸ちゃん。」「…メ、メリークリスマス……」揺らめく火の先で、空閑がにこ、と笑った。

2011-10-01 01:16:21
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 空閑はテーブルの上にいつの間にか出されていた、ケーキのろうそくに火を灯した。ケーキの上では、かわいらしい家のそばで、小さなサンタクロースとトナカイがにこやかな顔をして踊っている。そして…家の屋根のチョコのプレートには、「だいちとこかげ」と刻まれていた。

2011-10-01 01:21:58
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「…空閑」「ごめんね、デザートは後でにしたかったんだけど……我慢できなかったわ」視線をそらしながら、空閑はそう言った。

2011-10-01 01:23:40
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「ろうそく、どうするか…」 「根岸ちゃん、一息に消しちゃったら?」 「それじゃなんだか、誕生日みたいだな…」 「…それもそうね」 「じゃあ、提案だ」 「なにかしら?」 「…今日はオレにとっても、空閑にとっても記念日だからよ。一緒に、一息に火を消そうか?」

2011-10-01 01:28:33
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「…素敵ね。」そっと、空閑が身を乗り出した。「ねえ、根岸ちゃん。」「なんだ?」「……なんでもない。」「なんだよ」「…早く、消しましょ。」蝋燭の火は、ゆらゆらと揺れていた。

2011-10-01 01:32:08
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「そうだな…じゃあ、いっせーの、で消すぞ」 「ええ…」 「いくぞ。いっせーの ふ」 チュッ 息をふきだそうとした俺の頬に、柔らかな感触がした。「なっ、なっ!?」 ろうそくの炎は俺の息で消えてしまった。隣にいた空閑が口を開く。 「…クリスマスプレゼントよ」

2011-10-01 01:35:51
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「……」「……ご飯、冷めちゃうわよ。」何を言えばいいのだろうか。答えなんか何処にもない。ただ、自分が先ほど何をされたかを理解しようとすればするほどに、顔がどんどんと熱くなっていくのを感じていた。

2011-10-01 01:39:49
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko その熱さも、空閑の手料理を食べているうちに徐々に落ち着いていった。やはり、空閑の料理はとてもうまい。いつだったか、弁当を作ってくれたことがあったが、その時の味もなかなかのものだった。今宵の晩餐は、その時よりも遥かにおいしくなっていた。

2011-10-01 01:44:43
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 料理の美味しさが、緊張をほぐしていたのか、8割が立食べ終えた頃にはもう和やかなムードが漂っていた。「空閑、お前本当に料理うまいんだな」「…慣れてるだけよ。」

2011-10-01 01:45:58
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 空閑は照れくさそうに顔を俯かせた。くそっ。かわいいな、こいつはよ・・・。そこで、俺もはたと気がついた。―プレゼントだ。 この雰囲気なら、プレゼントを渡せる。そう思ったこれは、カバンの中をごそごそやり始めた。

2011-10-01 01:48:47
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「く、空閑!」「どうしたの根岸ちゃん…?」「……二つ目のクリスマスプレゼントだ。受け取ってくれ。」そう言って俺は持ってきたプレゼント――小さな箱を、渡した。空閑はそれを受け取ると、びっくりしたような顔を見せた。

2011-10-01 01:50:51
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「…これって」 「開けてみてくれ…」 空閑が頷く。包み紙を解いて、箱の蓋を開く。空閑が、中のものを取りだした瞬間、俺の緊張は最高潮に達していた。 「…ハンカチみたいね」 そう、ハンカチだ。「あら。ハンカチに何か書いてあるわ…」 それが、俺の気持ちだ。

2011-10-01 01:56:09
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「『…ずっと、一緒に……』……!!」そう、それこそが俺の気持ちだ。心の底から、そう思ってその字を書いた。正直、上手な字でもないし一度洗ってしまえばすぐに落ちてしまうような字だが、俺の心までそんな簡単に消えるわけはない。

2011-10-01 01:57:52
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「…」 空閑が目を見張ってハンカチを眺めている。どうしたんだろうか。下手な字であきれているのだろうか…? すると、空閑はおもむろにハンカチを両手でやさしく握りしめて、胸元に持っていく。「空閑…?」 声をかけると、小さな返事が返ってきた。 「…ありがとう」

2011-10-01 02:01:03
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE はらり、と小さな涙の一滴が溢れて落ちた。「根岸、ちゃん……根岸、ちゃ……」震える声は、段々とその言葉を紡げなくなる。気がつくと俺は椅子から立ち上がり、空閑を抱きしめていた。とくん、とくん、とその小さな体から鼓動が伝わってくる。

2011-10-01 02:05:11
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「ずっと、一緒にいてね… 約束よ…」 涙を流しながら、嗚咽を漏らしながら、空閑は言葉を紡いでいく。そんな空閑をやさしく抱きしめて、俺は空閑の頭を撫で、言葉をかける。「ああ…、きっと来年もそばにいるさ…」 「いや… 再来年も… 一緒にいてくれなきゃいや…」

2011-10-01 02:08:10
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「…空閑」「……ねえ、根岸ちゃん、あのケーキのプレートをなんでああ書いたか、分かる?」「…なんでだ?」「………名字が変わっても、一緒にいたいから…」その声は、消えてしまいそうなほど小さかった。

2011-10-01 02:11:09
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「そうだな、きっとその時も、一緒にいような…」 「約束よ…」 腕の中の空閑を抱きしめながら、俺は窓の外を眺めた。外は雪が降り始めていた。しんしんと、静かに雪は降っている。この雪を来年も、再来年も、空閑と一緒に眺めていたいか…。 答えは決まっている。

2011-10-01 02:15:36
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 「空閑……いや、木陰……」「……大地、くん」空閑がそっと、眼を閉じた。「……メリークリスマス、木陰。三つ目のクリスマスプレゼントだ。」 そう言って、大地はそっと木陰の唇に自分の唇を重ねた。 そとでは静かに、雪が降っている。

2011-10-01 02:19:06