茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの「日本はそのうち売るものがなくなる」

脳科学者・茂木健一郎さんの10月1日の連続ツイート。 茂木さんが心の中で感じている危機について。 外貨が稼げなくなったら、日本人は食えない。だからこそ、新卒一括採用や、連帯保証人制度など、日本社会の偶有性への適応を妨げている愚行は、一刻も早く廃止しなければならない。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 本日は、私の心の中で感じる危機について!

2011-10-01 08:24:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

にう(1)小学校で、日本は加工貿易だと習った気がする。外国から材料を輸入して、それを加工して外貨をかせぐ。明治以来、そんな生き方だった。最初は繊維から始まって。戦後は、家電製品や自動車を輸出して、日本は食糧やエネルギーを買うお金をかせいできた。

2011-10-01 08:26:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

にう(2)だからね、バブルの頃、私たちトレンディー、なんて感じでチャラチャラ外国に出かけている女たちを見ていて、お前らいいか、お前らの遊ぶ金は、真面目なメーカーのおじさんたちが稼いでいるんじゃ、と大滝秀治風に心の中でつぶやいていたものである。

2011-10-01 08:27:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

にう(3)ところが、最近、日本は売るものがなくなってきた。本当に、外国に輸出するものがなくなってきた。ここに、私は国家的危機を察知する。これからも、食糧やエネルギーを買うお金を稼ぎ続けられるのかどうか、父ちゃんは給料を持ってくるのか、国の「家計」の危機が 迫っている。

2011-10-01 08:29:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

にう(4)変調は、インターネットやグローバル化が始まった頃に兆した。日本のメーカーは、情報ネットワークと結びついてこそ付加価値が生まれるという新しい文明を、理解しなかった。あるいは、理解しても適応する能力がなかった。話題になる新製品はほとんど米国発。

2011-10-01 08:30:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

にう(5)半導体などのディヴァイスをつくり、売る能力はあるかもしれない。ところが、それを組み立て、システムとして付加価値をつける能力がない。iPadやKindleなど、クラウド環境と結びついて人々を惹き付ける商品をつくるソフト技術者の層がなく、文化もそれに適応していない。

2011-10-01 08:31:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

にう(6)新卒一括採用や、年功序列の人事体系、不動産の賃貸に「連帯保証人」を要求する愚など、日本の社会のマインドセットが、外国人を含む優秀なIT技術者を流動的に受け入れる体制になっていない。iPadやKindleを支える、クラウドの情報環境など、日本から出ようがない。

2011-10-01 08:33:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

にう(7)優秀なコンテンツを生み出す人たちはいる。漫画やアニメがその象徴。ところが、これらのコンテンツをグローバルに流通させるプラットフォームをつくる能力がない。もたもたしている電子書籍も、アマゾンやアップル、グーグルに間違いなく全部持っていかれてしまうだろう。

2011-10-01 08:34:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

にう(8)今のところ安泰に見える自動車産業も、電気自動車になり、自動車のIT化が進み、グーグルが研究しているような自動運転や、ITSシステムの構築が進むと、日本の企業が世界標準のプラットフォームを生み出す能力は、まず期待できないということになるだろう。

2011-10-01 08:35:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

にう(9)つまり、日本はそのうち売るものがなくなる。外貨を稼ぐ手段を奪われる。最大の原因は、ネットとグローバル化の本質である「偶有性」を理解しない、日本社会の遅れたマインドセットにある。新聞やテレビは既存のパイを守るのに必死だが、そのパイ自体が消滅しようとしているのだ。

2011-10-01 08:36:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

外貨が稼げなかったら、日本人は食えない。だからこそ、新卒一括採用や、連帯保証人制度など、日本社会の偶有性への適応を妨げている愚行は、一刻も早く廃止しなければならない。以上、「日本はそのうち売るものがなくなる」ことについての連続ツイートでした。

2011-10-01 08:37:44

 おまけ  今日のクオリア日記

茂木健一郎 @kenichiromogi

クオリア日記 その一連の流れと、リズムと同じ調子で、薫は最後の花束を受け取ったのだった。 http://t.co/GsMeljZa

2011-10-01 08:21:19