【創作企画】第2夜 誘う双つの黒点より【リグレット・カレイドスコープ】

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【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

先程の識圜の声よりも、5倍は不機嫌そうな声の主は累だ。親友と一緒に“嫌です”を貼り付けたような顔をしていて、ジリジリとむび助のいる舞台の方へ足を踏み出している。 そんな2人を横目で見ながら、凪は小さな声を上げた。

2022-09-25 21:24:29
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「……お化け退治……って、どういう……?」 「お化け退治はお化け退治だよ。 君たちには、これから武器をあげるからさ。夜の学校に蔓延るわる〜〜いお化けたちを、倒してほしいな〜〜って言うやつ!」

2022-09-25 21:25:20
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

淡々と話しつつ、むび助の語尾は明るくなる。赤いスカーフを揺らし、光の元でくるくると嬉しそうに身体を動かす黒い鳥はまるで子供のようだ。 …しかしそんな子供を、大きな影が取り囲む。

2022-09-25 21:26:28
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「なるほどなぁ〜〜…つまり?勝手にここに俺様たちを連れてきて?鍵をぜーんぶなくして?学校から出られなくした上に、そ〜のなんだかよく分からねぇ妄言に付き合えってか?」 「適当言ってんじゃね〜〜よ、焼き鳥にすっぞ?」 「いいなぁ、俺様ちょうど腹減ってんだよな」 pic.twitter.com/nwHE9ZdlQ8

2022-09-25 21:27:25
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【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「イヤーッッッ!!!ち、治安悪〜〜〜い!!!!」

2022-09-25 21:27:33
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

いつの間に舞台の上に上がり込んだのか、識圜と累がむび助の傍にしゃがみこんでいる。 ケラケラと半笑いでからかうようにしているが、声音はどこか面倒事に巻き込むなという怒りが垣間見えた。

2022-09-25 21:28:47
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

ジリジリと自分の方に近づく手を恐ろしく思ったのか、むび助は翼を広げてわーっと飛び立つ。 大きな彼らをすり抜けて舞台から離れていった。

2022-09-25 21:29:59
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

累の軽い怒号が響く中、彼が向かった先は────。

2022-09-25 21:31:08
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「………………………………………………ちょっと」

2022-09-25 21:31:44
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「いやぁ、ここは落ち着くなぁ」 「……なんでオレの上に飛んでくるわけ」 pic.twitter.com/2f9OrdZD0G

2022-09-25 21:32:35
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【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

漆彩透の頭の上だ。 不機嫌そうに彼が突っ込むが、むび助は意に介さない様子で落ち着き払っている。 足もしまい込んで、彩透の頭の上を巣にしたかのように満足気な笑みを浮かべて座っていた。

2022-09-25 21:34:17
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

右京がいる手前、わっと追い払うことも出来ず、彩透は大人しく自分の頭の上にいる鳥に冷静に言葉を返すことしか出来ない。 そうして舞台の上でまだ怒りの目を向けてくる2人を見ないふりしながら、むび助はおっ!と声を上げた。

2022-09-25 21:35:02
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「僕の話を信じてもらうために、まずは武器を配らないとね! コウジツキ タイヨウ!君ちょうどいいもの持ってるからそれ出して!」 「えっ、お、オレ?」

2022-09-25 21:36:18
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

突然名指しで呼びかけられ、困惑しながら自分を指差す太陽の肩に、焔楽がそっと手を置いて柔く掴む。 怖い目だな〜と内心苦笑いしつつ、むび助は「そうだよ」と羽を人間の腕のように伸ばして太陽の背中にある『それ』を指した。

2022-09-25 21:36:50
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「背中に背負ってる竹刀!ほら出してみて」 「お、おぉ……?」

2022-09-25 21:37:56
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

太陽は言われるがまま、背中に背負っていた竹刀袋から、竹刀を取り出す。剣道部であるからか、それに愛着があるからか、太陽は結構な頻度で竹刀を持ち歩いていた。 むび助に見えるように、自分の眼前に竹刀を掲げると…むび助は「ほいっ」と小さく羽を動かした。

2022-09-25 21:38:39
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

────瞬きをして次の瞬間には、その竹刀はもはや本来のそれではなかった。

2022-09-25 21:39:57
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

思わず感嘆の声を漏らす太陽。 彼が手にしていた“竹刀”は、形を変えていた。 それは明らかに、打刀と呼べるものへと変わっていたのだ。赤色の柄に向日葵の模様が彫られ、炎を模した赤い飾りを吊るした銀色の刃を持つそれは、刀鍛冶も驚くであろう程に美しい。

2022-09-25 21:41:39
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「こ、これ……使っていいのか!?」 「いいよ〜!君のための武器、だもんね!これでお化け退治してくれたらぜーんぜん」

2022-09-25 21:43:00
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「やった!!する!!お化け退治でも人体模型退治でもなんでもする!!」 「ちょ、先輩…、…………」

2022-09-25 21:43:27
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

自分の武器、と言われて図に乗ったのか、むび助のお願いを安請け合いする太陽に、焔楽が慌てて声をかける。 が、あんまりにも嬉しそうにしているので苦言を呈すことも出来ず押し黙ってしまった。

2022-09-25 21:43:47
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

その光景を目にしていた他の者たちも、その“武器”を見た事で喋るカラスの妄言ではないことを悟り始めたのか、誰も否定の言葉を言わなかった。 そしてその沈黙を承諾と取り、むび助は彩透の頭の上で調子よく話し続ける。

2022-09-25 21:45:15
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「オウガミ カザキ!カシワバ ナギ! 君たちもコウジツキ タイヨウと同じ色をしているね。 君たち3人が扱う色は“火”……だよ!」

2022-09-25 21:46:00
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