【この世の斜面で】福間健二 #k2fact343

9月18日から27日まで。スタートした18日は、聖蹟桜ヶ丘の「ケトルドラム」で三回やる講座「いま詩をどう書くか」の二回目の日。いま、ほんとうにどう書くのか。リアクションのある受講者に話しながらなにかつかみたいというのが、正直なところ。講座が終わってからいろいろ考える。相当いいところまで行った先の、どう伸びるか、どう飛ぶかについて「技術の先へ」というテーマを一応出しているが、もうひとつ思いあたったのは、 「自分だけが困っているのではない」ということ。自分だけではなく、彼も、彼女も、飛べずにいる。そこに契機が出てくる気がした。この「この世の斜面で」は、自分が古い殻を破っていないと思い知るまでの十日間だったが、ぼくだけがそうなのではないという思いに後押しされて素直に書いた気がしている。 続きを読む
0
福間健二 @acasaazul

何から生まれた。水を含まないものからではない。暗い湾に沿って歩き、声をかけられた。朝ごはんごちそうになって、なにか修理してほしいものないですか。なかったけれど、畑を手伝った。小鳥がいて、砂漠からの知的な使者とタバコを吸った。音楽、そして手を握った。(この世の斜面で1)#k2fact343

2022-09-18 13:22:57
福間健二 @acasaazul

倒れるもの。眠ってしまうもの。自分も危うい、そんな季節。いや、自分のことはどうでもいいと青い滴に気づかされるまでの、地中海。作業中だろうが、遠くに見える女性はタンクトップ着ている。ゆっくり、ゆっくり歩いていって挨拶した。きょうは風向きが安定しないね。(この世の斜面で2)#k2fact343

2022-09-19 11:46:11
福間健二 @acasaazul

もう信号を探さない。キスをして、汗を感じて。飛ばされる帽子を追いかけ、果実のバケツをひっくり返して。ひとりの男性がよみがえる。男性だからというわけじゃなく、レスビアンの伝説よりも難民たちの収容センターがあることの方が大事だという島のことを彼は語った。(この世の斜面で3)#k2fact343

2022-09-20 11:41:39
福間健二 @acasaazul

あら、晴れてきた。さっきまでフィルチュを弾いていた人が窓の外を見て、カサブタむりに剝がしてはいけない。作らないほうがよかった装置でも利用はできて、労動、感情、島々、なにか掘り起こせばいいわけじゃない。質問の必要もなくなる道端は、いるだけで気持ちいい。(この世の斜面で4)#k2fact343

2022-09-21 14:08:32
福間健二 @acasaazul

ご苦労さまでしたくらいは言って、期限切れの濃度。肩と膝を一緒に動かせる社会主義。思い出せないことにいつまでもこだわる場合じゃないのだが、死者をめぐる話題というもの。知らなかったのかい、お腹が空いてないときに人の姿になる空の雲を見ているのが楽しいこと。(この世の斜面で5)#k2fact343

2022-09-22 13:13:20
福間健二 @acasaazul

図書館の本のページを破りとる主人公にイライラしました。愛護協会、本のそれもあっていいですね。慎重な発音でゆっくりとだが消えた内面を探す古風な人たちの東北地方。一番別れやすいのはどれでだれの見ている夢によみがえるのか。ゴロゴロすることで整う部分がある。(この世の斜面で6)#k2fact343

2022-09-23 19:40:04
福間健二 @acasaazul

このまま押したら三人がいつか二人に、さらにひとりになる凹凸をなぞるのか。でも、片方の爪先が出会う泣かない理由。吃音の振付師をにっこりさせるには日本海側とか太平洋側とか言ってられない。「岩木山のすそ野を歩いて初尾花の美しさに目を見張った」と友の葉書に。(この世の斜面で7)#k2fact343

2022-09-24 17:18:19
福間健二 @acasaazul

人に会う詩。読むとまるで翼が生えたようになって座っていられなくなる。ファランドール踊る人たちを怖がるな。もう一度大きく傷ついてもいいじゃないか。夢の弘前で再会した彼はそんなことも言った。東北、ぼくは無料で借りられる自転車で斜面をくだって、そこにいた。(この世の斜面で8)#k2fact343

2022-09-25 12:44:50
福間健二 @acasaazul

大雨のなか、深夜になっても繁盛しているサンドイッチ屋さんがあって、そこで夜働くのはどうだろうかと思う扉を閉じずにいると思いがけない人の消息がわかることもある。騙されてばかりいる人。ノートに鉛筆で難しい数学の問題を解く。いまはコラッツ予想の証明に挑む。(この世の斜面で9)#k2fact343

2022-09-26 16:23:39
福間健二 @acasaazul

じゃなくて、どんな数もコラッツ予想の通りになるのを確かめてるだけ。落ち着くよ。ぼくもやった。落ち着いた。で、みんなが言ってるのはぼくが古い殻を破ってないってこと。偶数なら2で割って奇数にはどこかで聞いた不満を歌う。普通においしいサンドイッチに負ける。(この世の斜面で10)#k2fact343

2022-09-27 10:39:56