うさぴょん140文字小説まとめ3

令和四年9月にTwitterに投稿した140字小説をまとめました。楽しんでいただけると幸いです。幻想成分多め。
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うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

自分の好きな夢を見ることができる機械が発明された。ビデオデッキ型の本体とヘルメットからなる機械で、ヘルメットを被って電源をいれると本体にセットされている夢が見られるのだ。様々な人が様々な夢が入ったカセットを売り出した。その中でも特に売れ行きがいいのは嫌な上司をこき使う夢だ。

2022-09-30 09:33:00
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

ついに、不老不死になる方法が開発され、沢山の人々が不老不死になった。しかし自慢話をせずにいられないらしい。人々は自分より年下を探して自慢話をはじめた。。そして全人類の中で一番、年下のわたしがその役目を担わせられている。  もう200歳なのに

2022-09-28 21:46:26
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

父の遺品の整理をしていた。灰色のコートが出てきた。XL。父は小柄なのに。人形や子供用の靴、積み木なども出てきた。どう考えても私のものではなし、父は近所の子供と遊ぶようなたちではない。じゃあ、これは何なんだ…。   そういえば数年前に幼児誘拐事件があったなぁ…。タバコが苦い。

2022-09-25 07:33:20
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

ある男が妻と喧嘩した。その夜、ビールがいつもより辛かった。妻に聞いてみるといつものにきまっているじゃないと答える。その次の日も、ビールが辛かったので男は恐ろしくなった。妻は自分に毒をもったのではと。数日後、ビール会社のニュースが流れた。「材料の配合ミスでいつもより苦いビールが…」

2022-09-23 06:04:05
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

最悪だ。役者になって十七年にもなる私がクライマックスで台詞を噛んでしまうなんて。新入りみたいなミスする年でもないのに。楽屋で頭を抱えているとマネージャーがやって来た。 「あの、さっきのクライマックスとっても良かったです。焦っている感じが」 そうだろう。本当に焦っていたんだ。

2022-09-15 22:23:59
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

「夢を見るんだ。後ろから誰かにドスンって撃たれる夢」 紗希は指で枝毛をいじくりながら僕の話を聞いていた。 「へぇ、それで」 その時、僕を撃った女が驚くほどお前に似ていたんだよ。紗希、そう続けようとして止めた。子どもの頃からよく見る夢に出てくる女によく似たお前、あれは過去?未来?

2022-09-14 19:16:42
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

「あなたはとても素晴らしい。今時、珍しく良心をお持ちだ。特別な力をあげましょう。どんな力が良いですか」と神を名乗る男が言った。僕は「宝くじの当選番号を事前に知りたい」と答えた。ぼくは宝くじの当選番号を事前に知る事が出来るようになった。しかし…良心が咎めて一度も宝くじを買えない。

2022-09-11 13:50:06
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

離婚届を役所に提出した。しばらくして役所から電話があった。 「戸籍上、あなたは結婚してないことになってます。」と。 あたしは数ヵ月前まで一緒にいた男の顔を思い浮かべる。ああ、あの男はいつも肝心なことを忘れる。出しておいてってあたし、頼んだのにあいつ、出してなかったんだわ。

2022-09-08 07:34:56
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

妻がいとおしそうに腹を撫でている。その腹はもうどこから見ても臨月だ。まだ三ヶ月なのに。 医者も看護婦も何も言わないのはどうしてだろう。 「もう。なんでこっちばかり見んのよ」 妻が微笑む。枯れる前の花のように美しく儚げに。妊娠してから妻は別人のように美しい。 「なんでもないさ」

2022-09-07 05:49:15
うさぴょん @y9DXXO4y8aRYHNC

何千年も石に刺さったまま剣が丘の上の町にあった。それを抜いたものは一騎当千の勇士になるとか。噂を聞いたオレは丘の上の町に来た。 剣の持ち手に手を掛けてぬこうとする。 「お止めなさい。若いの。」 振り向くと白髪の老人がいた。 「それは村の唯一の観光資源なんだ。ぬかれると困るんだ。」

2022-09-05 01:24:35