「経済学的な家族ツイート」まとめ　その２８

本の虫（本体） @honnomusi

経済学的な窃盗団１：ほの暗い会議室。人影が円卓を囲む。そこにドアを開けて一人の男が入ってきた。団員「おはよう、諸君。」団員は手に持ったファイルをメンバーに回してゆく。団員「今回の案件について手短かに説明しよう。ターゲットは中学生の少女。毒物によって同級生の一人を殺した。」

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経済学的な窃盗団２：夜、パトカーが後輩を乗せて出発する。それを遠方から双眼鏡で確認するメンバーの一人。団員「彼女はこれだけの重大な罪を犯したにも関わらず、少年法に守られて名前が明かされることはない。子供を亡くした両親は何も悪いことをしていないのにだ。」

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経済学的な窃盗団３：高層ビルの屋上から銃で狙うメンバー。目的の位置に達した瞬間、発射する。網が投げかけられ、車の前方を覆う。コントロールを失った車はガードレールに激突する。団員「罪を犯した年齢によってその刑罰が変わる。両親の悲しみは埋められることはない。これは著しい不平等だ。」

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経済学的な窃盗団４：どこからともなくメンバーが現れ、車の中から後輩を連れ出す。数日後、テレビの放送をジャックし、少女の顔写真が全国放送にさらされた。世論はたちまち沸騰し、後輩の家族には無数の社会的制裁が下される。その後、同じ会議部屋で、写真に収められた彼らの戦果がボードに張られる

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経済学的な窃盗団５：団員「我々は機会の不平等、資源配分の偏りを徹底的に忌避する。しかし、残念なことに政府はこのような現実に対して有効な手段を講じることができていない。税金を上げれば金持ちは海外に逃げ、年金を削ろうとすれば高齢者の猛反対にあう。人はみな自己利益の追求ばかりだ。」

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経済学的な窃盗団６：団員「そのため、我々スナッチャーズは、誰かの代わりに再分配を決行する。金を、者を、時間を、チャンスを、誰かから取り、与えるのである。」会議室の全員が席を立ち、胸に手を当て、一緒に声を張り上げる。全員「今日も世界に再分配を！」そう、言い終わった瞬間・・・。

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経済学的な窃盗団７：会議室の窓が割れて、机が飛び込んできた。全員が窓から離れる。突然のことに動揺する団員たち。ゆっくりと会議室のドアが開く。そこには、バットを持って仁王立ちする転校生の姿があった。全員の顔を見回すと、邪悪な笑みを浮かべる。転校生「茶番は終わりだ、跪け偽善者ども」

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経済学的な結婚記念日１：父・母「乾杯」ある日の夜、父と母がビルのレストランでグラスを合わせる。父「もう15周年か。早いもんだね。」母「そう？私はいろいろと思い出すことがあるけど。」父「へえ、例えばどんな？」母「２人で夜景を見に行ったときのこと覚えてる？」父「さあ、何だったっけ？」

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経済学的な結婚記念日２：母「私が奇麗な夜景を見て喜んでたら、あなたが隣から『知ってるか？百万ドルの夜景というのは人々の残業でできているんだぜ？』って言ったの。」父「ああ、ムードぶち壊しだって怒ってたな。」父は口元を拭う。父「でも、俺はむしろそのことのほうが感動的だったけどな。」

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経済学的な結婚記念日３：母「どういうこと？」父「みんなが顔を歪めながらやってる残業が、知らず知らずのうちにあんなに奇麗な景色を作ってるんだよ。工業化で都会の空から星は消えたけど、代わりに地上にたくさんの星が生まれた。今日も曇り空や大気汚染に関係なく瞬いてるよ。」

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経済学的な結婚記念日４：母「ずいぶんと上手い言い訳ね。じゃあ、キレイな夜景のために残業して稼いでくれる？」父「まっぴらごめんだね。もうそんな時代じゃないし。」母は声を上げて笑う。父「でも、まあ・・・」父は母の顔を見据える。父「家族のためなら、できるかな」

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経済学的な戦隊もの１：アトラクション施設で、息子たちはステージ上のヒーローショーを見る。「いくぞ、変身だ！」怪人「俺たち合わせて・・・」レンジャー＋怪人「経済戦隊カセグンジャー！」レッド「おい、ちょっと待て、何が俺たち合わせてだ、お前怪人だろ。しかも俺を差し置いてセンターだし」

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経済学的な戦隊もの２：怪人「何だ、その青臭い区別は。善と悪は表裏一体だろ。それにほら、不景気が続いてるだろ？だから、俺たちもこういうところに出張しないとメンバーの人件費負担しきれないんだよね。」レッド「え、何そのリアルな話・・・」怪人「いやあ、景気の前に善も悪もないんだよ」

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経済学的な戦隊もの３：怪人「俺も前は先輩の部屋に間借りしてたんだけどさ、前のレンジャーが退治してくれたから、空いたポストに収まることができたわけだよ。」ブルー「ああ、それは羨ましいな。うちは設定上絶対に生き残るからどんどん大所帯になるんだよな。だから、新人はこうして出稼ぎを…」

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経済学的な戦隊もの４：怪人「うん、新陳代謝が進まない組織は辛いよな。」怪人はどこからともなく酒を取り出す。怪人「まあ、飲めよ。しかし、仕事する上でモティベーションは大事だからな。別の場所を賃貸して独立したらどうだ？」レッド「おい、ちょっと待て、俺とお前らは敵同士だろ？」

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経済学的な戦隊もの５：レッド「俺らにアドバイスなんか与えていいのか？」怪人「いやいや、お前らが簡単に負けたら俺らも地上波に出れないからな」ブルー「え、宣伝効果狙い？」怪人「実はな、若い人間の中には変わり者もいて、お前らよりも悪役の俺らのことを格好いいと思う人間もいるんだよ。」

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経済学的な戦隊もの６：怪人「このルートで来るやつはなかなか優秀でな、次なる幹部候補生も育ってるぜ。それに、お前らだって、俺らが悪さしないと仕事なくなるだろ？実績積んでかないと出世できないしな」怪人はレッドの肩に手を置く。怪人「まあ、持ちつ持たれつなわけだし、これからもよろしくな」

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経済学的な戦隊もの７：レッド「ああ、まあ、こちらこそ・・・トウッ！」怪人「うわ、不意打ちか！汚いぞ！」レッド「俺らは正義の味方だ、お前らと手を組む訳にはいかないんだ（立場上な）！」怪人「こっちこそ、お前らとはやってらんねぇぜ（立場上な）！」

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経済学的な戦隊もの８：司会のお姉さんがやってくる。お姉さん「さあ、（立場上）良い子のみんな〜、敵をやっつけるためにヒーローを応援しようね。せーの、」妹「カセグンジャー、頑張れ〜！」無邪気に叫ぶ妹を見て、微笑む息子たち。

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経済学的な戦隊もの９：ショーが終わり、食事をする息子たち。息子「でも、あんなのヒーローショーやっちゃっていいのかね？」父「あっちのほうが市場に求められてるってことでしょ。彼らもやっぱり消費者のニーズに合わせなきゃいけないんだよ。」息子はニヤリとする。息子「・・・立場上ね」

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経済学的な再スタート１：息子「こんにちは、息子です」転校生「こんにちは、転校生です」息子「久々の再開だね」転校生「全くだ。待ちくたびれたぜ」息子「本編は確か犯罪組織と立ち向かい始めたところで終わってたっけ？」転校生「そうだな」息子「ところでさ、人はどうして罪を犯すのかな？」

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経済学的な再スタート２：転校生「それ以外じゃ食えないからじゃないか」息子「なるほど、それは一理あるね。他に選択肢がないからやった。インセンティブがないと罰せられるリスクを冒してまで犯罪には手を染めないよね」転校生「たまに遊びでやるアホもいるけどな」

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経済学的な再スタート３：息子「それだって快楽がリスクを上回るという計算のもとでの、合理的な行動だよ。まあ、そこでのリスクが引く見積もられている可能性もあるけどね」転校生「随分と犯罪者に肩入れするんだな」息子「いや、経済学をもとに彼らの思考回路を探っているだけさ。」

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経済学的な再スタート４：息子「それに、合理的っていうのは褒め言葉とは限らないよ」転校生「ほう、経済学ってのは犯罪者みたいな考え方をするのか」息子「法制度を絶対視しないという点ではそうかもね。イノベーションを阻害するといって規制に反対することもしばしばだし。」

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経済学的な再スタート５：息子「一方で、経済原理は犯罪者の間でも健在だ」転校生「法律が仲裁してくれないから、利害調整はずっとシビアだもんな」息子「さて、雑談はこれぐらいしにして、そろそろ本編にいきましょうか。経済学的な家族、スタートです！」