稲川淳二のつぶやき怪談 まとめ 6

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稲川淳二 @Junji_Inagawa

と聞くと、自分の近くまできて座ったんで、自分も起きて座った。その時、何か変な感じがした。すると、内山君が話し始めた。 #kaidan6

2010-04-27 22:12:41
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『俺さ、エア・マットに腹ばいになって、水を掻いて、沖に向かっていたんだよ。するとうまい具合に、流れに乗って勝手にエア・マットがどんどん進んで行くんだ・・・。』 #kaidan6

2010-04-27 22:13:30
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『俺は、夏の陽差しを全身に受けながら、流れに任せて、気持よ~く揺られていたよ。そのうち、((どのくらいきたんだろう?))と、振り返って見たら、もう岸はだいぶ遠くて、ずいぶん沖まできてしまった事に気が付いたんだ。』 #kaidan6

2010-04-27 22:14:49
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『俺は急に不安になってきて、慌てて足をバタつかせて、両手で水をバシャバシャと掻いて、エア・マットの向きを変えて浜に戻ろうとしたんだ。だけど、全く進まないんだ。それどころか、ますます流されてゆくんだよ。』 #kaidan6

2010-04-27 22:15:20
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『陸が小さく遠ざかってゆくのさ。そうするうちに海面が次第にうねってきて、エア・マットが大きく揺れ出したんだ』 #kaidan6

2010-04-27 22:15:51
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『うねりに乗って、 ぐーっ ともち上げられたかと思うと、今度は一気に  ぐーっ と波間に沈んで、また  ぐーっ ともち上げられて右へ行ったり左へ行ったり、激しく揺れるんだ。俺は海中に落されないように、エア・マットに必死にしがみ付いていたよ。』 #kaidan6

2010-04-27 22:16:17
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『その時だっ!不意に何かの気配を感じたのさ。』 #kaidan6

2010-04-27 22:16:46
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『そいつは自分の近くにいるようだった。。。。。』 #kaidan6

2010-04-27 22:17:09
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『大きくうねる海面を見回したよ。ところが何もいないのさ。。。。いや、そうじゃない?!そいつは、すぐ近くの見えないところにいるんだ!という事は、自分のすぐ真後ろか、自分が腹ばいになっている、、、、、』 #kaidan6

2010-04-27 22:17:44
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『このエア・マットの真下にいる・・・・・・・!!!!と思った途端に恐ろしくなった。』 #kaidan6

2010-04-27 22:19:57
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『と、その瞬間、    エア・マットの下で何かが動いたんだ!』 #kaidan6

2010-04-27 22:20:20
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『やっぱり下に何かいる。。。ここから早く離れようと、両手で水を掻くと、指に何か絡みついてきた。変な感触がして、水中から手を引き上げてみると、』 #kaidan6

2010-04-27 22:20:42
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『長~い髪の毛なんだよ、  人の髪の毛・・・。  誰もいない海の真ん中でだぜ・・・。』 #kaidan6

2010-04-27 22:21:13
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『((こりゃ何だっ))と思ったよ。』 #kaidan6

2010-04-27 22:21:38
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『その時、視線の端にエア・マットの両端を掴んでいる、青紫に変色した人の指が見えたんだ。思わず喉の奥で声にならない悲鳴を上げたよ。それが生きてる人間のものじゃない事は、ひと目でわかった。熱い陽を浴びながら、俺のはゾクゾクと冷えてゆくのを感じたよ。』 #kaidan6

2010-04-27 22:22:01
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『今、自分が腹ばいになっている、エア・マットの裏側に、死体が張り付いているっ!と思ったら、恐怖で頭がいっぱいになって、どうにか振り払おうと、、、、ただもう闇雲に手足をバタバタバタバタとバタつかせてると、』 #kaidan6

2010-04-27 22:22:41
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『うねりでもち上げられたエア・マットが、 バタンッ と裏返って、俺が海中に落ちて、エア・マットの下になっちまった。マットの縁を掴んで、海面に顔を出そうとすると、頭が上がらない。なおも上げようとしても上がらない、俺は焦ってきた。水中から上を見上げると、』 #kaidan6

2010-04-27 22:23:08
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『エア・マットの縁から、、、、、、  腐った女の顔が覗いて、白目を剥いて、水の中の俺を   ジッーーー  と見下ろしているんだ。』 #kaidan6

2010-04-27 22:26:21
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『((苦しい。息が出来ない・・・))海面に出ようと、必死にもがいたよ。その時、女の長い髪の先が、水中まで垂れ下がっているのが見えたんだ。』 #kaidan6

2010-04-27 22:26:53
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『俺は咄嗟に、その髪の毛を掴むと、思いっ切り、、、、、、』 #kaidan6

2010-04-27 22:27:22
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『    グーーーーーーーーーーーーッ   』 #kaidan6

2010-04-27 22:27:47
稲川淳二 @Junji_Inagawa

『すると、 ズルズルッ と腐った頭から抜け落ちたんだ。そして、次の瞬間?!   女が、俺の頭を掴んで暗い海中に ググググーッ と沈めていったのさ・・・・・・』 #kaidan6

2010-04-27 22:28:56
稲川淳二 @Junji_Inagawa

と言って、『・・・・・・ フフッ ・・・・・・』 と小さく笑って、内山君は部屋を出て行った。 #kaidan6

2010-04-27 22:30:15
稲川淳二 @Junji_Inagawa

(ああ、シャワーを浴びて着替えるんだろう・・・)  彼は待つうちに眠ってしまった。 #kaidan6

2010-04-27 22:30:41