邦題に悩んでいたエルロイ新作『BLOOD'S A ROVER』。やはり『アメリカン・××』にすべきかなあと煩悶に次ぐ煩悶。
2011-04-28 13:25:09前作はフランス版のためにエルロイが命名した『Aamerican Death Trip』を使用。当時、第三作フランス版は『American Madness』になると言われてました。でも『アメリカン・マッドネス』は日本人の耳にはイマイチ安い。
2011-04-28 13:25:58大枠のみ。『BLOOD'S A ROVER』は、前作での公民権運動に相当するのが、過激な黒人活動グループ(ブラック・パンサーなど)と共産主義運動です。つまりは「白人の国」としてのアメリカの最末期。そこに中米はドミニカの問題がからむ、という大枠です。
2011-02-18 00:16:53で、『BLOOD'S A ROVER』だから『アメリカン・ブラッド』?でも安直だよな、ということでエルロイ代理人に相談すると、「私がつけるなら『American Chaos』だね」との答え。音で「アメリカン・ケイオス」は悪くないんだけどカタカナ『アメリカン・カオス』はカッコ悪い。
2011-04-28 13:26:33数日えんえん悩み、RiotとかRevoltとかいろいろ考えるもイマイチで、ある日、「そうか、今回は集大成的にスケールがでかいし、エルロイによるアメリカ現代史の総決算みたいなもんだし、前作から10年もあいだが空いてしまってる。ならば――」と思って、
2011-04-28 13:28:45そう決めたあとしばらくして、アマゾン・フランスを何かのついでで除いたら仏題も『Underworld USA』でやがった。もっと早くフランス版を確認しとくんだった。
2011-04-28 13:31:58
ついでにいうとドミニカ共和国でトルヒーヨが倒れたあとの時代を扱っているので、話題作『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』(ジュノ・ディアス/新潮社/こちらはトルヒーヨ時代について描かれてます)とシンクロするところもあります>エルロイ長篇。
2011-05-02 17:59:16@kkkbusters エルロイ新作は7月下旬予定で、現在、あのデッドパンで暴力的な原文と訳文を対照しつつ編集中です。邦題は『アンダーワールドUSA』で進行しております(決定ではありません)。他社の本ではありますが、デニス・レヘイン新作もスゴい傑作でした!!(エルロイ担当編集者)
2011-05-13 17:17:24
『アメリカン・デス・トリップ』日本版の発売日に9.11が起こって、10年ぶりの続編刊行を前にしてビンラディン殺害とはね。暗合というのはあるものだ。そしてとってもアメリカだ。
2011-05-03 00:11:30
エルロイ『アンダーワールドUSA』編集作業、終盤に。あらためて読むと、これ、エルロイの中でかなりロマンティックな作品な気がする。ギシギシ軋む帝国主義の超=暴力と、その渦中にいる奴らの(ギリギリの)ロマンティシズムがせめぎあっている。
2011-06-15 17:00:56そしてエルロイ作品を駆動するのは、よく言われる「妄執」よりも、「罪悪感」と「贖罪への衝動」なのかもしれないなと――とくに新作に関しては――思った。罪悪感のもたらすデスペレーションが男たちを殆ど純愛と言ってよさそうなほどの恋愛に走らせている。
2011-06-15 17:03:35いわゆる「腐読書」的な観点からも『アンダーワールドUSA』はおすすめなんでは。オッサンに萌える方とかに特に。ドワイト・ホリーさんがね。泣かせます。エルロイなので脇筋には勿論、男×男もありますし。
2011-06-15 17:09:44ドワイトだけじゃなく、ウェイン・ジュニアも新顔の20代の探偵見習い(覗き好き)も、LA/ヴェガス/ドミニカ/ハイチを駆け巡る悪行の片棒をかつぎながら、罪悪感に心身ともにやられて、恋愛に救済を求めて泣かせるのでした。>『アンダーワールドUSA』
2011-06-15 17:10:06
弊社のPR誌「本の話」用に『アンダーワールドUSA』をめぐるデイヴィッド・ピースによるジェイムズ・エルロイ・インタビューを翻訳&編集中。おもしろいなこれ。作品を読んだあとに読むとなお興味深いと思います。
2011-06-30 15:22:13そして、もしや、とおれも思っていたけど、『アンダーワールドUSA』がDT小説/DTノワールであることもエルロイ自身の発言で裏づけられた。
2011-06-30 15:22:24もともとエルロイの10-20代の生活は、犯罪者的であると同時にDT性をこじらせたような側面もある(覗きと下着泥棒の常習者だったわけで)。
2011-06-30 15:23:21