モータル・ニンジャ・レジスター #3
「デジタルワスプがハッキングでだいたいの内容を把握している。ニンジャスレイヤーでもガンドーでも構わん、再度印刷されたチラシを受け取りに来た時が審判の日だ。ニンジャスレイヤーなら殺せばいいし探偵野郎なら拷問してエサにした後ニンジャスレイヤーもろとも殺す。単純な話さ!」 24
2011-10-11 01:34:03◆引き続き定期post◆ (親愛なる読者の皆さん) 現在Twitter不具合でTL取得漏れが酷い。対策として当アカウントの更新tweetに通し番号をつけています。番号が飛んだ場合、当アカウントのプロフィールからtweetをご確認ください。今日は24まででした。 ◆注意喚起◆重点◆
2011-10-11 01:55:36キョート城、薄暗い渡り廊下を並び歩く二人のニンジャ……パーガトリー、そしてスローハンドである。闇によってその上半身はほとんど隠されており、外見的特徴は判然としない。二人のグランドマスター・ニンジャは歩きながらボソボソと用心深い言葉を交わす。 26
2011-10-11 14:44:20「既にトーメンターとビーフイーターも」「……速度……」「このペース。我々はまだまだニンジャスレイヤーを侮っておったか?ギルドのニンジャ資産への打撃は無視できん……」「待てパーガトリー=サン」スローハンドが足を止め、パーガトリーを制した。廊下前方に小柄なニンジャが立っている。 27
2011-10-11 14:49:38「ドーモ。御機嫌よう、お二方」ロード・オブ・ザイバツの懐刀、パラゴンである。腰の後ろで手を組み、闇の中、陰気な上目遣いで二人のグランドマスターを見上げる。「最近……特に親密のご様子ですな、お二方は」「ドーモ」スローハンドはあくまで無感情にアイサツを返した。 28
2011-10-11 15:00:42「……良くない事が起きておるのかな?」パラゴンは陰気に言った。「この数日のうちに結構な数のニンジャが死んでいる。おかしなリストの噂も聞いた。噂、噂だが」「……」スローハンドはパラゴンの不気味な視線を受け止める。パラゴンは続ける。「どうも、話が上まで上がって来ない気がしてな」 29
2011-10-11 15:10:51パーガトリーはスローハンドへ一瞬、視線を送った。スローハンドは滑らかに答える。「我々もまさにその話をしておったところ。そのリストに実際、私とパーガトリー=サンの名前もあると知ってね。つい先程の事だ。どの者かがボトルネックめいて、重大な情報を隠匿していた可能性がある」 30
2011-10-11 15:18:27「ほう!」パラゴンは目を見開いた。「そうだとすれば、実に不届きな者がいたものだ!」「全くだ」パーガトリーが瞬きしながら答えた。「ザイバツ全体の利益を損なう行いだ。現に、対策が取れぬまま何人も死んでいる」「実に!」パラゴンは頷いた。その目はパーガトリーを凝視している。 31
2011-10-11 15:30:06「だがご安心めされよ。不届き者の特定は実際済んでいる」スローハンドが言った。「数日以内に身柄を確保する。そして貴公にも報告できよう」「実に楽しみだ……!」パラゴンは頷いた。「ロードもお喜びになる。自己保身に堕して被害を拡大させたニンジャの居場所はザイバツには無いからな!」 32
2011-10-11 15:35:15……去り際のパラゴンが二人に向けた目は底なし沼めいて暗く、相手を震撼せしめる迫力を持っていた。弱者であれば失禁していただろう。だが二人とてグランドマスター位階のニンジャ。いっさいの感情を表に表す事は無い。彼が去ったのち、パーガトリーが口を開いた。「毒蛙め……」 33
2011-10-11 15:56:16そしてスローハンドに問う。「だが貴公『目星をつけている』とか言ったか?なにか策でもあるのか。それとも咄嗟の出任せか?実際パラゴンが嗅ぎ回ると厄介だぞ……」「安心せよ」スローハンドが答えた。「あの日マルノウチに行きながら、たまたまリストに名を書かれていないアデプトが一人いる」 34
2011-10-11 16:21:45「なに?」パーガトリーはスローハンドを見た。スローハンドは目を細めた。そして超然として言った。「我らは其奴のせいで、今回の件も寝耳に水だった……ゆえに、対策や報告が遅くなった……そういう事だ」「貴公……」「フフフフ……そしてニンジャスレイヤーには同時に三人を差し向けた……」 35
2011-10-11 16:26:46「コマーキノー、ンー、シネマーダヨー」「アカチャン……」「ミスジーノー、イトニー」林立する広告ビジョンはオイランがジョッキになみなみと注がれたビールを持って笑う映像を揃って流し、スピーカーからは呪術めいた宣伝BGM。「ハースゴイ、ナンカスゴーイ、ケモビール、ダヨネー」 37
2011-10-11 19:05:48しらじらしく青空の絵がペイントされた頭上の隔壁にも広告は輝き、人々を落ち着かせない。装甲ワゴン車の車内にもケモビールの物憂い歌は届いてくる。ディヴァーラー、サンバーン、センチュリオンはむっつりと黙っている。運転者はクローンヤクザ、シメジは簀巻きのままシートの後ろだ。 38
2011-10-11 19:09:30「この角を曲がると目的地です」カーナビゲーションを左目にインプラントしたクローンヤクザはハンドルを操作しながら告げた。「よオし!」助手席のサンバーンが拳を打ち合わせる。「ケチな路地だな。見ているだけで錆臭くてたまらんぜ」ディヴァーラーが鈑金工場の並ぶ道路沿いを見て呟いた。 39
2011-10-11 19:19:33「錆か……ニンジャスレイヤー……我が古代ローマカラテの拳の錆にしてくれる」センチュリオンは熱に浮かされたような口調で呟く。「ンー!ンーッ!」シメジは再び猿轡を噛まされていた。ワゴン車の前方に、つつましいチョウチン看板が見えてくる。「シメジカンパニー」のカタカナミンチョ文字。 40
2011-10-11 19:29:42「オタッシャデー」三人のニンジャを降ろすと、ワゴン車はしめやかに走り去った。サンバーンが簀巻きのシメジを山賊めいて担いでいる。ディヴァーラーがタバコを一服し、道路に投げ捨てた。「シミったれた印刷所だなァ?これがお前が守りたかったなけなしの財産か」「ンー!ンーッ!」 41
2011-10-11 19:37:29「結局死んだら終わりだな、エエッ?」とサンバーン。「ンー!ンーッ!」「自覚が無かろうと、ザイバツに楯突いた者はこうなるのだ。ニンジャでないという事実……それだけで貴様らは等しく原罪を背負っている。諦めろ」とセンチュリオン。「ンンーッ!」シメジは悔し涙を流すしかない。 42
2011-10-11 20:45:04三人のニンジャはノシノシと、ガレージめいたトタン屋根の印刷所建物内へ入ってゆく。作戦はシンプルだ。この一時間後のウシミツ・アワーに、ニンジャスレイヤー、もしくはガンドーが、追加発注していたチラシを受け取りに来る。そこで見出されるのは床で簀巻きにされたこのシメジというわけだ。 43
2011-10-11 20:50:22シメジは餌だ。簀巻きの内側には、かつてイッキ・ウチコワシのテロリストであったニンジャ、アブサーディティが設計したシート型爆弾がノリマキめいて巻かれている。現れたのがニンジャスレイヤーであれば、シメジもろとも爆破して殺す。ガンドーならば囲んで警棒で叩き、気絶させて拉致だ。 44
2011-10-11 20:59:33「どっちにせよお前の人生は今日で終わりだ!」心底面白そうにディヴァーラーはシメジを罵った。「こいつをそこに捨てろ、サンバーン=サン!」作業机の上を指さす。「後はそこらに隠れて待つべし!」「ヨロコンデー!ハッハハハ……ウォッ!」シメジを担いでいたサンバーンの笑いが遮断された。 45
2011-10-11 21:37:09