【創作企画】第6夜 金糸雀色の散骨花【リグレット・カレイドスコープ】

【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

🕊第6夜🕊 pic.twitter.com/bo04CozR0r

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口元を押えて、控えめに。

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誰にも言えないから、隠し持って。

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どうしてこんな自分になってしまったんだろう、という微かな疑問はあっても。 それを嘆いたりはあまりしなかった。

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ただ、誰かに嫌われることを怯えてひた隠しにするだけ。

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熱くて息の上がっていく中、あの日目の前で見たそれに。

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口角が上がるのを感じながら。

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木曜日。 四限の授業の終わりを知らせるチャイムが響き渡る。机にあった筆記用具をそっと端において、和気春馬はそっと息をついた。

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先日の戦闘を未だに引きずっている彼は、しばらくぼうっと正面の黒板を見つめていた。

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……そうこうしている内に、いつも通り…彼の足音が席の近くまで来る。 同時に上から降ってくる声は、どこか震えていた。

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「……お疲れ、春馬」

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親友のその声に引き戻されて、ようやく春馬はそちらを見た。

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「あ…はい、お疲れ様です。そろそろ来るかなと思ってました」

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自分の鞄から弁当を取り出しつつ、春馬もいつも通りの笑顔を向ける。前の席の人はいつも隣のクラスへ行ってしまうので、椅子だけを向かい合わせにして食べるのが習慣になっていた。

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端に寄せた筆記用具を慌てて机の中にしまい込み、彼の弁当を置くスペースを確保すると「ん、ありがと」と些かほっとしたような言葉が返ってくる。 自分も彼も弁当を包んでいる布を開いた時、親友───焔楽が笑いながら話しかけてきた。

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「今日の古文、予習すんのすっかり忘れてきちゃって……授業受けながら必死でやったから腕めっちゃ痛ぇ」

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弁当を広げ、右手首をぶんぶんと振りながら言う彼。努めていつも通りにしているのだろう、とそれに苦笑いで返す。

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「ふふ、あの先生は授業進度が早いから、予習し忘れると話に追いつけないんですよね」

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僕もよく板書が間に合わなくて…と呟きながら、そういえばと春馬は先日のことを思い出す。

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「そうだ、焔楽くんは…昨日の戦闘から、その…調子は、大丈夫ですか？この前の昼から、あまり元気そうじゃなかったから…」

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その言葉に、ご飯を入れようと開けていた大口をゆっくり閉ざすのが視界に入る。「……ん、」と、少し気まずそうに考え込みながら彼は箸を置いた。

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「………うん。それなんだけどさ、」

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そう口にすると、焔楽は真っ直ぐに春馬を見つめる。 そして、深く頭を下げ真剣な面持ちで口を開いた。

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「……ごめん、春馬。大丈夫じゃないの、気づいてくれてたのに避けちゃって。…今も、大丈夫ではないと思うけど、だいぶ落ち着いてる」