- rouillewrite
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「あはは、嫌われちゃったのかと思ってました。 …なんて」 「きら…っ!……嫌いとか、ないよ」
2022-12-04 21:24:51春馬の言葉に思わず大声を出しそうになって、焔楽は慌てて口を噤む。立ち上がりそうになった腰をそっと椅子に戻し、優しい声音で言葉を続ける親友の言葉に耳を傾けた。
2022-12-04 21:25:51「これからは、無理そうな時は無理そうってちゃんと言ってくださいね。…今の焔楽くんには、支えてくれる人が沢山いますから」 「……うん、そーする。隠し事しても、春馬とか先輩にはバレちゃうんだろーし」
2022-12-04 21:28:32敵わないよなあ、と苦笑する声も、嬉しさが滲み出ていた。 その様子にほっとしたのか、春馬は目を伏せて口元を緩める。 「それが聞けてちょっと安心しました」と、安堵したように口にする。
2022-12-04 21:30:21すると教室にめいっぱい入ってきていた陽の光が、雲に隠れたのか少しだけ斜めに入り、春馬の顔を暗く映した。
2022-12-04 21:32:27「僕たち…これからも親友、ですよね」 pic.twitter.com/SjPMQHcv1A
2022-12-04 21:33:24湿った空気が入り込んで、白いカーテンを揺らす。どこか不安そうに、確かめるように春馬はそう呟くと、焔楽に微笑みながら向き直った。
2022-12-04 21:35:16「焔楽くん、隠し事してるのわかりやすいですから…相談事とか 人に話すだけで楽になることもあるし、…僕で良ければ、いつでも頼ってくださいね」
2022-12-04 21:36:03「っ、当たり前だろーが。ってか、それ俺が言うセリフじゃない?あんだけシュータイ晒してさ……ま、俺は誰が何と言おーと、春馬と親友はやめないけど」
2022-12-04 21:36:10不安げに呟く春馬に少し口を尖らせながら、焔楽はそう答えた。 そして親友の柔い声音にゆっくり首を縦に振ると、のんびりとした、どこか自嘲気味の笑みを浮かべて彼は笑う。
2022-12-04 21:38:08「……ほらぁ。俺、割と完璧に隠せてると思ってたのに、春馬とか先輩にはすぐバレんだもんな… ありがとな、ホント」
2022-12-04 21:39:10最後の焔楽の言葉に、春馬は微笑んで返した。「ほら食べよう」と少し照れ隠しのようにも思える親友の言葉に頷いて、箸を取る。
2022-12-04 21:40:20あの夢がいつ来るか分からずにしろ、今日はよく眠れそうだ。 春馬はそう安堵し少しだけ目を閉じる。
2022-12-04 21:41:04太陽が目を覚まさなくなったことで、焔楽が学校に来なくなった。 それを聞いた空彦、春馬、市夏、彩透、凪は神薙家にお見舞いにやって来ていた。 後から涼李や遥人も一緒に来ると言うので、中で待ちあわせることにして空彦がインターフォンを鳴らす。
2022-12-04 21:46:55横開きになっている扉の向こうから姿を現した焔楽は私服姿で、どこかぼんやりした様子だった。 ほんのり危うい笑いを零し、「入って」と焔楽に言われるがままに5人は奥へと通される。
2022-12-04 21:49:24太陽が寝泊まりする際はいつも使っている部屋があるというので、彼が行くままについて行くと、丁寧に整頓された布団の上に太陽が眠っていた。
2022-12-04 21:50:43一番最初に市夏が部屋に入る。 ゆっくりとした足取りで親友に近づき、少し布団からはみ出ている手をそっと握りしめると、いつも通りの温かさが伝わってきた。今見ている光景では、本当にただ眠っているだけのように見えるのだ。
2022-12-04 21:53:34