死ぬのがこわくなくなる話 第55話

memeJekyll@SHINE @memeJekyll

このアカウントはSHINEの外側の皆さんに、我々の哲学を伝えるという目的において最も適切な場所の一つです。内側の人々、つまりSHINE会員からの要請もありましたので、真摯なる書き込みを続けます。

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@kozysan 昨日渡辺氏から提示された質問に回答します。　

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まず、こう考えていただきたい。SHINEが進めていることは、みなさんが既に自分自身で、体内で行っていることと同じだと。

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あなたは死ぬのがこわいと言います。では、皮膚のかゆいところを掻きむしることはどうですか。その瞬間、何万という皮膚細胞が死んでいるということを知っているはずです。

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皮膚だけではなく、体の構成要素は絶えず大量に死に続けています。全身の細胞は3ヶ月程度でほぼ全て、入れ替わっています。3ヶ月前のあなたと現在のあなたは、物質的には、全く違うものなのです。

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もちろん人間の体の中には、物質として何十年も入れ替わらずに残っている部分があります。骨や歯です。しかしそれらは既に生命活動を止めた組織です。

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川は流れ続けますが、その水は前に見た水とは違います。それと同じです。人間の体は動的平衡の状態にあります。皆さんが自分だと思っている自分とは、川です。その実体は、流れ続け移り変わり続ける水なのです。あなたは、直前のあなたとは、既に別人です。

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しかし、記憶なら。あなたはそう言うかもしれません。記憶は同じものを、そのまま持ち続けている、と。それで自分はずっと同じ自分なんだ、と。はたしてそれは正しいでしょうか?

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コメントを拝読する限り、多くの方々は不老不死に対してこんなイメージを望んでいます。

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まず、肉体は、そのままではなく、変わりたい。年寄りなら、いったん、若返りたい。つまりよぼよぼになっていつまでも生き続けるのではなく、ベストコンディションにして、以降それを保ちたい。そうですね?

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それだけではなく、みなさんは記憶にもこだわります。記憶がなくなったら、それはもう自分ではない、と。だから今自分が持っている記憶を新しい体に、脳に、コピーしたい。

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しかし、その方法が不可能だということは、少しだけ理論的に考えれば、わかるはずです。あなたが何千年、何万年、いや無限に生きられるとしても、そこで増え続ける記憶を無限にセーブすることはできないからです。

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記憶のセーブはハードウェアとしての脳において行われています。脳の大きさを無限に大きくしていくことはできません。

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結局、新しい記憶を得るためには古い記憶を捨てる作業が必要になるということになります。それで自分が自分でなくなるとしたら、不老不死は、不可能です。

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実際のところ、人間は日々、記憶の大半を失いながら、生きているのです。あなた方は、秒単位で大量の情報を失っています。過去の記憶は、相当に欠けている。それだけでなく、年月を経るに連れて変化もしています。

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重要なのは、記憶も、オリジナルではないということです。

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失わず保持していると思っている記憶、あなたの中に残っている思い出も、実は本物ではありません。

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人から人へ伝わった情報と同じように、あなたの中の細胞間ですでにコピーされ伝達されたものがほとんどなのです。

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脳の細部を長期にわたって観察すると、効率的に形状を最適化させ続けている様子がわかります。ニューロンが延び繋がりあるいは切断され電気信号のパターンが変わり続けています。

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脳細胞は比較的長く生き続けますが、単体としての新陳代謝は絶え間なく行われています。ニューロンの構成分子は約1ヶ月で入れ替わります。それに伴って電位状態も変化しています。

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それでも昔の記憶がすっぽり消えないのは、脳の中で、情報のやりとりが絶えず行われているからです。

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ある記憶が最初にインプットされた脳細胞集団をAとします。その情報はすぐに整理され分類されながら別の脳細胞集団BやCやDにコピーされます。それは、またすぐにEやFやGにコピーされ……

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そうこうしている間にAは死んでいます。あるいは状態を変化させ最初の記憶を担わなくなっています。しかし、その仕事はすでにBやCあるいはF、あるいはまた次の集団で代行しています。記憶が消えたことにはならないのです。

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記憶は古い細胞から新しい細胞へと、何度も受け継がれたものです。オリジナルではない。その過程で削除や改変が施されていることは間違いありません。

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今のあなたは、少し前のあなたから、情報をパスしてもらっただけの存在なのです。