ナイト・エニグマティック・ナイト #4
「逃げ切れる!」何の根拠も無く言うレイジ。「スッゾコラー!」上から迫るモヒカンの怒声!「デーモン!KILLしなかったせい!あと少しだったのに!あと…少し…」ヨモギは、フードが脱げ露になったレイジのうなじに目を奪われた。LAN端子。刹那、烈しいサイバー的衝動が彼女を支配する。 47
2011-10-27 00:35:14ペケロッパ・カルトの教義は、いにしえのデバイスを発掘崇拝し、いずれは世界を1bitへと退行させることを究極目標とする。カルティストにとって肉体はただの箱であり、改造もサイバネ手術も陵辱も彼らの精神を汚し貶めることはないのだ。問題は、そこにヨモギの妄想癖が加わったことにある。 48
2011-10-27 00:41:44「ハァーッ!ハァーッ!」ヨモギはレイジの首筋に薫るフェロモンでケミカルな陶酔に陥った「ね!レイジ=サン!し、知ってる!?」「喋るな、舌噛むぞ!」駆けるレイジ。迫るチェーンソー!ヨモギのLANウィッグを数本切断!「ニューロンが焼き切れると、す、すごく、気持ち良いんだって…!」 49
2011-10-27 00:47:11ヨモギの手が、何度もこの瞬間を待ちわび練習した手が、自らのLANケーブルの先端を掴む。もう片方の手が素早くレイジの強化シリコン端子カバーを外し、金色の金具の中へと……LAN直結!流入する無数の緑文字!「ペケロッパ!ペケロッパ!ペケロ!ペケ!」がくがくと震えるヨモギ! 50
2011-10-27 00:52:33「アバーッ!」絶叫するレイジ!その時、電子的な奇跡が起こった!電極を刺されたカエルめいて、レイジの脚に驚異的筋運動が発生したのだ!チェーンソーをかわすように、高く!速く!跳躍!階段を蹴り、手すりを蹴ってさらに高く跳ぶ!「ブッダが助けるぞ」と書かれたカンバンをも蹴って、高く! 51
2011-10-27 00:59:50……いや、駄目だ!それは高すぎる!実際5階付近の高さまで、重金属酸性雨降りしきる闇の中をレイジは跳躍してしまったのだ!ガイオンの空を浮遊する2人!全てがスローモーションに!パン!ヨモギの攻撃で物理ファイアウォールが破られる!露出端子へと重金属酸性雨が流れ込む! 52
2011-10-27 01:04:55一瞬、2人の意識は8畳の茶室にジャンプした。学生服のまま正座して向かい合う2人。「俺のハイクの、何処が好きなんだ」とレイジ。「暗くて……」ヨモギが恍惚としたまま言う「狂ってるところ」。レイジは無言になった。「それより見て」とヨモギ「相性ばっちり。私、指先、0と1になって…」 53
2011-10-27 01:10:40レイジの意識だけが、ぱっとガイオンの空に戻った。肩を抱いていたヨモギの手がほどけ、安らかで嬉しそうな表情のまま落下を始める。レイジもむろん落下する。背負鞄から金やノートが散らばった。(((ブッダがある男をジゴクから助け出すため、切れやすい蜘蛛の糸を垂らした。 ナンデ?))) 54
2011-10-27 01:14:05「ARRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRGH!」おお、ナムサン!ナムサン!ナムアミダブツ!レイジは空中でもがきながら、ガイオンの重力へと落下していった……! 55
2011-10-27 01:16:35(第2部「キョート殺伐都市」より 「ナイト・エニグマティック・ナイト」#4終わり #5へ続く)
2011-10-27 01:17:29(本日は#5まで連載予定でしたが、ツイッター上のコトダマ空間に激しいノイズが発生したため、ここで終了とさせていただきます)
2011-10-27 01:20:00