イアン・マクドナルド「ファン・ゴッホによる<苦痛の王>の未完の肖像」(SFM1990/11)、これは久しぶりに大傑作。 未来世界で人びとの苦痛と法を司る〈苦痛の王〉の手により、苦痛や狂気から解放された画家ゴッホ。彼に感じられるのは色彩のみとなり……。 pic.twitter.com/9AJ5IrfS9G
2021-10-22 09:53:35ゴッホの数々の奇行や作品の裏に隠された真実を描く芸術SF。〈苦痛の王〉周りの描写や、色彩しか感じられなくなったゴッホ視点での世界の見え方の描き方がすさまじい。
2021-10-22 09:53:35マイクル・ビショップ「ジョージア州クズ・ヴァレー、ユキオ・ミシマ文化協会」(SFM1990/4)読んだ。 テキサス州の片田舎で、突如三島由紀夫大ブームが巻き起こる。街には半裸のミシマポスターが溢れ、子供たちはケンドーに励み、大人たちはセップクの儀に臨む。 pic.twitter.com/KSgwNW3MWx
2021-11-01 11:54:00アルヴィン・グリーンバーグ「ホルヘ・ルイス・ボルヘスによる『フランツ・カフカ』」(ナイトランド・クォータリー vol.24/垂野創一郎訳)読んだ。 ボルヘスが残した読めない文字で記された一編の物語。インディオのある部族の方言で記されたというそのコピーは、好事家の間で複写され増殖していく。 pic.twitter.com/ykGRJTSOBY
2023-01-29 17:48:28そこに見られるあるシンボルが、全世界に、誰にも気づかれることなく浸透していく。そしてとうとう、フランツ・カフカ「変身」冒頭に登場する「虫」の概念をも上書きしてしまう……。 フィクションが現実を塗り替える逆説性、そして「カフカとその先駆者たち」の顕現とも言える世界の変容。
2023-01-29 17:48:29パット・マーフィー「無脊椎動物の愛と性」(SFマガジン1992年1月号/金子浩訳)読んだ。 放射線に包まれ、終わろうとしている世界。女性科学者は、最後に工業用ロボットのつがいを作り、死の間際にその交接を観察する。ロボットたちが交わす「愛」と並行して語られる、語り手の孤独と後悔が瑞々しい。 pic.twitter.com/LhXBzk6ZRz
2023-01-28 22:06:07工業用ロボットに空き缶で装飾を施していくところとか、最後に生まれる生命のヴィジョンとか、細かい意匠に惹き込まれる点多し。終末SF、あるいは生物学SFとして心に留めておきたい一作。
2023-01-28 23:14:26パット・マーフィー「ロマンティック・ラヴ撲滅記」(へるめす1991年5月号/小谷真理訳)読んだ。 恋愛の熱情は「RLSウィルス」なる病原体の感染によるものだということが判明した近未来から、過去(20世紀)の社会とウィルス発見までの研究経緯を振り返るレポート形式の短編。→ pic.twitter.com/13r3gECIuT
2023-01-28 19:43:05チャック・パラニューク「はらわた——聖ガット・フリー語る」(ミステリマガジン2005年6月号/柳下毅一郎訳)読んだ。 特殊なマスターベーションにふける青少年たち。ある者はロウを尿道に入れ、膀胱で固まってしまい手術を受ける。そしてある者はプールのポンプに尻を吸われ……→ pic.twitter.com/7BPkGzr3l7
2023-01-28 17:54:37デーモン・ナイト「バベル2」(SFM1983/3)読んだ。 妖怪に謎の術を掛けられてしまい、世界は言語の構造を失ってしまう。滅裂な言葉しか話せなくなった人々は混乱の極みに達していくが……。 主人公の最後の選択(=話し言葉は滅裂なまま、書き言葉だけもとに戻す)で得られた静寂が皮肉。
2022-07-31 10:30:06ジョージ・アレック・エフィンジャー「標的はベルリン! -空軍フォードア・ハードトップの役割-」(SFM1990/4)読んだ。 七〇年代の原油危機を受け、主力軍備を航空機から自動車へと転換する各国軍。
2022-07-31 09:22:00その結果まきおこる、トヨタ"零戦"による特攻やキャデラックによる原爆投下など、「車」によるもう一つのWWⅡが描かれる。真面目なテーマを扱っているようで、絵面が異様でふざけているようにしか見えない怪作。
2022-07-31 09:22:01ポール・ディ・フィリポ「フラクタル・ペイズリー」 (SFM1995/ 5)読んだ。 偶然轢いてしまった未来人が持っていた便利デバイスを使ってあれこれするドタバタ。とりたてて言うこともないがほっこりした短編。
2022-07-31 12:21:48フラン・オブライエン「機関車になった男」は題名通り男が機関車になる話なのだが、こんな昔の話をSF雑誌に訳載したのはすごいことだと思う(初出は〈別冊奇想天外〉の〈SFファンタジイ大全集〉)。
2022-07-30 19:40:17ヴァンス・アーンダール「死闘、ディズニーランド」(SFマガジン1988/8)読んだ。 奇病のため冷凍保存状態で未来に飛ばされた女子プロレスラーが、ミュータントミッキーマウスだらけと化した未来のディズニーランドで女サイボーグと戦う訳の分からんグルーブ感のある話。かなり変。 pic.twitter.com/GbZilzQdQa
2022-08-04 22:16:38たなみただしって後の殊能将之先生でしょ?(『現代SF1500 乱闘編』より) pic.twitter.com/YmraYFGyH2
2022-08-04 22:22:25パメラ・サージェント「ダニーの火星旅行」 (SFM1994/ 1)読んだ。 アメリカ副大統領(当時)ダンフォース・クエールは選挙戦略上持ち上がった急遽の火星着陸に宇宙飛行士として参加することになる。だが道中で同行の飛行士は疫病で死に絶え、帰路の手段も絶え……。
2022-07-31 12:25:58実在の政治家をいじりまくってると考えるとかなり面白いが、いかんせん日本の読者には馴染みのない人物なので分かりにくい感は否めず。頭の中で知ってる政治家に変換するといいな。
2022-07-31 12:31:53地球に戻って権力を手にしたあと悠々と楽しもうとしていたゴルフを、火星の荒野でひとり楽しむラストシーンが印象的。一番すごいのは、主人公が当時の実在する人物そのままだということ。 1993年のネビュラ&ローカス賞受賞作。
2022-07-31 12:25:59