雑誌掲載のみのSF短編紹介まとめ(随時更新)

雑誌に掲載されたのみで単行本に収録されていないSF短編の読了ツイートをまとめました。(随時更新)
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くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

イアン・ワトスン「ライフ・イン・ザ・グルーヴ」(SFM2004/11)読んだ。ジュークボックスの中で暮らす人々の話で、最後はレコード針が街を破壊して終わりという何とも奇想の炸裂したバカ話であった。

2022-07-31 09:12:23
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

不幸話を聞くと酔っ払う異星人が世界一の精神科医になるシマック「泣き上戸」(別冊奇想天外NO.3)、かなりいい。

2022-05-15 10:40:49
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

同誌掲載のトマス・N・スコーシャ「浴槽の中の爆弾」は突然パラノイア宇宙人が浴槽の中に爆弾(ポピュラーソングを歌う)を設置していく、かなりマッドな短編でこれもかなりおもしろい。最後、探偵が一応理詰めで解決するのも何とも訳がわからなくていい。ほとんどスラデック。

2022-05-15 12:02:26
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

ユーモアSF掘りの日々を再開したり。 ビショップ「はぐれトマト」はディックが巨大トマトになって(?)ぐるぐる宇宙を回る(??)イカれた話だし、ケーガン「数理飛行士」は数学の抽象的な空間を宇宙空間のように行き来するハッタリだけで乗り切るすごい話。

2022-05-28 00:24:00
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

韓松「我々は書き続けよう!」(上原かおり訳、SFマガジン2022年6月号)読んだ。最高ですね。 有史以来の高名な文学者は全員宇宙人だ!わたしが小説を書けないのは非宇宙人だからだ!……というほとんど悪ふざけみたいな発想から出発しながら、最後は文学の持つ根源的意味にも辿り着く怪作。読むべし。

2022-04-26 23:26:40
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

この物語によると、藤井太洋先生は宇宙人でイーロン・マスクも宇宙人の手先らしいです。何それ??

2022-04-26 23:28:31
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

韓松「セキュリティ・チェック」(SFM2017/2)読んだ。 中盤まではありふれたディストピアもの……と思わせておいて、終盤で驚天動地のどんでん返しと大風刺が出てきて妙な読後感。褒め殺し的ブラックジョークが光る!

2021-10-19 10:55:44
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

韓松「水棲人」(SFM2008/9)も読んだ。これは長編の一部(第1章)なんですね。ちょっとシェイプオブウォーターみたい。あと挿絵が思ってたのより数段きもちわるかった。

2021-10-19 11:19:53
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

ストルガツキー兄弟「友情についての物語」(SFマガジン1982年6月号/深見弾訳)読んだ。 風邪を引いて祖父と二人きり、大晦日の日に家に残った少年が、親友を救うために立ち塞がる数々の困難に立ち向かう。最強コンピュータを論理矛盾で倒すところとか含めて、ジュブナイルっぽい印象。 pic.twitter.com/mGBEgwGNzP

2023-01-27 15:58:26
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くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

ジェフリイ・フォード「アイスクリームの帝国」(SFマガジン2005年3月号、中野善夫訳)読んだ。これは名作ですね。伴名練「白萩家食卓眺望」の冒頭に引かれている共感覚ものの幻想SF 。

2022-11-08 23:25:49
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

聴覚や味覚が、視覚と結び付いた共感覚を持った主人公。禁じられていたコーヒー・アイスクリームを口にした時から、アンナという少女の幻覚を見はじめる。コーヒーの摂取のたびにアンナの姿を見られることに気づいた主人公は、フーガの作曲のために泊まり込んだ地でコーヒーを連続摂取しアンナと会う。

2022-11-08 23:28:03
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

幻覚の中で描かれたアンナの絵が、自分の作曲したフーガをもとにしたもの——アンナも共感覚者である——ことに気付き、自らは主ではなく従であることに気付く幻想的な結末は、ボルヘス「円環の廃墟」を思わせる素晴らしさ。これは雑誌を取り寄せて読むべし。

2022-11-08 23:30:00
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

アリクス・E・ハーロウ「魔女の逃亡ガイド――実際に役立つ扉ファンタジー集」(SFマガジン2021年8月号、原島文世訳)読んだ。 魔女である司書が、魔法でさりげなく借りる本を誘導することで、孤独な少年を間接的に支えていく物語。徐々におぼろげに分かっていく少年の苦悩の描き方と、→

2022-08-12 20:06:42
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

「逃避」としての読書が与える力を描き出す構成がとてもよい。かなり面白かった。 2019年のヒューゴー賞ショートストーリー部門受賞作。

2022-08-12 20:06:42
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

メグ・エリスン「薬」確かによかったな。「最後の喫煙者」みたいで。 喫煙でも肥満でも何でもそうだけど、文化的な価値付け云々の前に、「健康」という統計学的事実ではその方が合理的……という価値判断を己が植え付けられてることを客観視させてくれるのでこういう話はいい。

2022-02-26 11:55:54
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

ジェフ・ライマン「ポル・ポトの美しい娘(ファンタジイ)」(SFマガジン 2007年8月号/古沢嘉通訳)読んだ。 カンボジアで瀟洒な暮らしを送るポルポトの娘。彼女のもとへ、ある時見知らぬ人々の写真がコピー機を通して送られてくる——それはポル・ポトの政策の犠牲となった人びとだった。→ pic.twitter.com/3v1kK1PZoP

2023-01-30 21:44:15
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くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

青年との恋愛を通して、父の贖罪を決断する主人公。成仏を願う彼女に、真の幸せは訪れるのか。親の罪と虐殺された人々への赦しという重いテーマを扱ったゴースト・ストーリー。

2023-01-30 21:44:16
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

スティーヴン・バクスター「ゼムリャー」(SFマガジン 1997年10月号/中村融訳)読んだ。 世界初の有人宇宙飛行を成功させたユーリ・ガガーリン。その数年後、彼はふたたび宇宙へ——今度は金星へと——旅立とうとしていた……。 ソ連時代の謎めいた宇宙開発の闇を絡めた一種の歴史改変SF。 pic.twitter.com/3n9xtVpZ6l

2023-01-31 12:48:28
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くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

アンディ・ダンカン「ポタワトミーの巨人」(SFマガジン 2002年3月号/古沢嘉通訳/世界幻想文学大賞短編部門受賞作)読んだ。 実在のボクシングヘビー級チャンピオンであるジェスは、奇術師フーディーニの舞台への参加を断り不評を買う。その後寿命を全うするも、気が付くとフーディーニの舞台→ pic.twitter.com/pnr95653Fv

2023-01-31 17:26:15
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くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

に客として座っていた数十年前の若かりし日に戻っている。今度こそ、壁抜けの誘いを受けるのか? 実在のボクサーや奇術師、その間のトラブルを用いつつ、あるべき人生のあり方をタイムループものの書き方で描いた佳品。歴史のモブと化した人物にスポットライトを当て、その細かなひだを丁寧に描く。

2023-01-31 17:26:16
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

ジェフリイ・フォード「イーリン・オク伝」(SFマガジン 2006年12月号/中野善夫訳)読んだ。 海水浴客の作った砂の城に暮らす妖精トウィルミシュ。潮の満ち引きの数時間のあいだしか存在しない城で繰り広げられるある一人妖精の物語を、少女が貝の中から拾った「伝記」の翻訳という形式で語ったもの。 pic.twitter.com/P1xwR6ZgR2

2023-02-01 12:33:17
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くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

形式と幻想の儚さ、美しさがマッチした逸品。 今作や「アイスクリームの帝国」も収録されるであろう、東京創元社から刊行予定のフォード第二短編集が楽しみ。

2023-02-01 12:33:18
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

ジョン・ケッセル「バッファロー」(SFマガジン 1993年1月号/古沢嘉通訳)読んだ。 20世紀初頭、肉体労働に従事していた移民である作者の父親と、ちょうど米国を訪問していたH・G・ウェルズが邂逅していれば……という趣向の短編。ウェルズの大ファンであった父は、直接本人にその熱を伝えるも、→ pic.twitter.com/PUwQBI0hbD

2023-02-01 20:55:47
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くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

越えがたい格差が両者の間に広がっていることが分かる展開はほろ苦い。 ウェルズを使ったある種の歴史改変ものといえば、リチャード・カウパー「ハートフォード手稿」(『ベータ2のバラッド』)なども思い出す。 1992年ローカス賞短編部門&スタージョン賞受賞作。

2023-02-01 20:55:48
くじらい🐳 Hisashi Kujirai @hanfpen

ヴァジム・シェフネル「沈黙のすみれ」(SFマガジン2007年6月号/合田直美訳)読んだ。 これは傑作。飛行機墜落未遂の影響で全く話せなくなってしまった女性——「沈黙のすみれ」——を妻に娶った男だったが、二度目の急降下のショックによって、元の状態に戻ってしまう。元、つまり病的な饒舌に……。 pic.twitter.com/9OpHTLbYkK

2023-02-02 13:24:53
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