黄胆汁は赤いのか!?

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Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 ヒライさんの参照されたラテン語訳のテキストはどなたの校訂ないし編集ものなのでしょうか。 昨日、中西さん経由で矢口直英さんの博士論文のPDFを得まして、それを読んでおりましたが、矢口さんの使用されたラテン語訳ではどうやら「赤胆汁」は出てきていないようです。

2023-02-03 23:36:15
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 彼の博論の付録にフナインのテキストのアラビア語とラテン語の異同箇所の比較があるのですが、もしラテン語で「赤胆汁」となっていれば確実に指摘されていそうなのですが、そうなっていませんでした。矢口さんが見落とすということはあまり考えられません。とすると、

2023-02-03 23:38:33
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 ラテン語版にもヴァリエーションがあるという見通しが立ちます。 アラビア語原文の方は、矢口さんの訳文を見ても、私の手元の写本をみても、積極的に「赤胆汁」と訳出できる根拠は見当たりません。もちろん、フナインの原テキストにもヴァリエーションがある可能性はありますが。

2023-02-03 23:41:31
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 ということで、現状では、一部のラテン語版において「黄胆汁」のところが「赤胆汁」になっていて、その系統の果てに『中世ヨーロッパ ファクトとフィクション』の著者の文章がある、という結論になりそうです。

2023-02-03 23:43:04
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 ついでながら、ウルマンが採用している四体液説の文章はマジュースィー(ハリー・アッバス)のものなのですが、それとフナインの文章を比べると、マジュースィーのものの方が詳しく書かれています。

2023-02-03 23:45:44
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 また両者の違いとして、フナインは自然な黄胆汁は肝臓で生成されるとしているのに対し、マジュースィーは胆嚢としている点が挙げられます。マジュースィーは質の劣る黄胆汁2種の生成が肝臓で為されるとしておりました。

2023-02-03 23:48:21
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 どちらもヒッポクラテスの系譜に連なる医学者なのでしょうが、この違いはどこで生じたのでしょうか。これ以上は私の手に負えないのですが、黄胆汁一つとっても、まだまだ考察の余地はありそうです。

2023-02-03 23:50:26
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

@MadinatalSalam 僕が見たラテン語訳は、Articella と呼ばれる医学教科書集のリヨン(1515年)版に収録されている Isagoge です。これをもとにした英語の抄訳も存在します。画像では、colera rubea と2回ほど言及されています。短い研究ノートなどに、まとめると良いのではないでしょうか?面白いですよ。 pic.twitter.com/HhjNLdonxC

2023-02-04 00:44:02
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Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 矢口さんの使用テキストは以下2点です。 Gregor Maurach, “Johannicius Isagoge ad Techne Galieni,” Sudhoffs Archiv 62 (1978), 148-174. Diego Gracia & José-Luis Vidal, “La <<Isagoge de Ioannitius>>: Introducción, edición, traducción y notas,” Asclepio 26/27 (1974/75), 267-382.

2023-02-04 01:00:34
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 ご教示、感謝します。 まとめられるほどの力量があるあるかどうか分かりませんが、せっかく抱いた疑問ですので、もう少し調べてみようと思います。

2023-02-04 01:02:32
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

@MadinatalSalam 前者では、やっぱり「赤胆汁」 colera rubea ですね。後者は、オンラインでは見つけられてません。

2023-02-04 01:29:48
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 お、そうですか。矢口さんは異同を対照表にしているのですが、四体液の部分は特に違いの比較をしていませんでした。別の箇所ではアラビア語版もラテン語版も「黄胆汁」としているのが一点ありました。原語が記載されていないので、元の言葉がなんであるかは分かりませんでした。

2023-02-04 01:35:29
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

@MadinatalSalam これまでのところ、ラテン語訳 Isagoge での異読は確認できないです。つねに rubea です。むしろ第1章の問16、19、23で、谷口さんが「黄胆汁」とした理由の方が知りたい気もします。アラビア語原典では、赤系の単語でしたよね?

2023-02-04 01:47:14
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 アラビア語では一貫して「黄色」を意味する単語で示されます。ただし、色の説明になると、一番自然な形の「黄胆汁」は赤色とされます。

2023-02-04 01:51:14
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

@MadinatalSalam なるほど。一般名称のためのアラビア語が「黄」なのですね(細かい説明では赤になる)。それがラテン語訳 Isagoge では、一般名称からして「赤」になるわけですね。面白いです。

2023-02-04 01:54:57
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 ラテン語訳者は、「黄胆汁」の最も正常な状態の色「赤色」をもって、その体液の名称にしたということになりますね。

2023-02-04 02:00:26
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

@MadinatalSalam そういうことなのでしょうね。ギリシア語の偽ガレノス『体液について』では、一般名称は「黄」であり、細かい分類ではじめて「赤」にも言及されます。Isagoge の重要度のせいで、ラテンの伝統では「黄」と「赤」があるわけですね。

2023-02-04 02:02:24
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

もともと黄胆汁の「黄」(xanthós) という形容詞には、赤味がかった黄色、黄金色という意味もあるようですね。

2023-02-04 10:01:05