黄胆汁は赤いのか!?

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Madinat al-Salam @MadinatalSalam

なになに、最近は「黄胆汁」ではなく、「赤胆汁」という表現もあるの?

2023-01-29 22:15:01
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

『中世ヨーロッパ ファクトとフィクション』第9章「中世の医学は迷信にすぎなかった」を読んで、2点確認したいことが出来。「赤胆汁」と「自然に反する事物」の原語って何? 原著テキストが手許にないので、どなたか教えてくださいな。(え、アマゾンで買えって?)

2023-01-30 00:16:23
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@kodaigirisyano わざわざ検索していただき、ありがとうございます。 red bileではなく、reddish bileなのですね。ヒポクラテスの訳語などをみても、「黄胆汁」はあっても「赤胆汁」というのは見たことがなかったので、疑問に思った次第。原著者が何か史料に基づいて選んだ言葉なのでしょうが、果たしてそれは何か。

2023-01-30 00:38:23
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@kodaigirisyano ご指摘感謝します。騎士や軍事関係については何とも言えませんが、著者は西洋中世医学の専門家のようなので、この第9章の用語は根拠あってのことだと推察します。 黄胆汁の場合、「赤味がかった」ものがあるという記述に触れたこともありますので、「赤胆汁」としたくなったのかもしれませんが。

2023-01-30 00:50:52
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

@MadinatalSalam 黄胆汁に血液が混じったものが、「赤身がかって」見えるということでしょうかね?

2023-02-03 01:38:25
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 『イスラーム医学』第4章149頁あたりに「黄胆汁」の色として、自然本来の「黄胆汁」はなめらかで、色は真紅pure redとあるので、「黄」胆汁ですが、赤色が基本ということなのでしょう。そのあとの記述では黄色味がかった、卵黄に似た、灰色がかった緑、緑青色、の4種類が挙げられています。

2023-02-03 02:09:04
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 したがって、「黄胆汁」とはいっても、一概に黄色というわけではなさそうです。 ただ、各種の色があるのは良いとして、従来「黄胆汁」と、黄色を強調して呼ばれてきた体液を、赤色を強調して呼ぶのであれば、もう少し説明が必要な気がします。

2023-02-03 02:18:06
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 話題とした『中世ヨーロッパ:ファクトとフィクション』の文章はそこまで専門的なものではないので、ないものねだりではありますが、「赤胆汁」と呼ぶ方がより実態に即しているという説明が、原著者の研究や参照文献にあるかどうか、そのうち探してみようと思います。

2023-02-03 02:20:47
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

@MadinatalSalam 面白いことに、シッパーゲス『中世の医学』の邦訳でも、「赤胆汁」になってますね。

2023-02-03 02:34:03
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

@MadinatalSalam 有名な『土星とメランコリー』第1章の出だしに、胆汁の説明があるのですが、「黄胆汁(赤胆汁ともいう)」となってます。原著も邦訳も。この問題、これまでまったく気がつきませんでした!

2023-02-03 02:40:37
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 そちらは少し古い書籍ですね。1988年邦訳のようです。とすると、「赤胆汁」という訳語もありなのかもしれませんね。 しかし・・・、アラビア語では、黄色を意味する語根から派生したصفراويという語で表現されていますし、あまり「赤」を強調したくないのですが。

2023-02-03 02:40:48
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

@MadinatalSalam フナインのラテン語訳の Johannitius の小著の冒頭に四体液の説明があって、そこでは赤胆汁になってますね。英訳では reddish を使ってます。

2023-02-03 02:49:22
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 すみません、アラビア語で「黄胆汁」はالصفراء (al-ṣafrā’)で、先ほどのものはその形容詞形です。 黄色か赤色か、研究のネタになりそうな感じなのでしょうか。

2023-02-03 02:49:26
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 Cameron Gruner訳の『医学典範』では、色による区別を採用せず、「黄胆汁」の方はThe Bilious Humourとし、「黒胆汁」の方はThe Arabilious Humourと訳出されています。「黄胆汁」の方の揺れが大きいので、この呼び分けが妥当なように思います。

2023-02-03 02:54:23
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

@MadinatalSalam 僕は黄色だと思い込んでいたので、赤の可能性を考えてもみませんでした。フナインの Isagoge は西洋中世では教科書中の教科書ですから、赤を使う伝統があったのは当然なのでしょう。そこから大貫さんの訳書につながるのですね。

2023-02-03 03:19:32
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

@MadinatalSalam @kodaigirisyano ちなみに、こちらフナインの Isagoge によると、natural, non-natural, contra natural に3区分されたもののうち、3番目のものは、病気とその原因や帰結を指すようです。

2023-02-03 03:22:09
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 ありがとうございます。では、フナインの原本が「赤」としているのか、ラテン語訳に際して「赤」としたのか、原本にあたってみようと思います。

2023-02-03 03:22:53
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 @kodaigirisyano これもありがとうございます。語の意図するところは同じだったのですが、ウルマン(の英訳者)がextraを使っていたので、自然を超えるもの→「超自然的」と訳したのです。が、『中世ヨーロッパ』では「自然に反する事物」とされていたので、あれ間違えたかなと思った次第でして。

2023-02-03 03:29:15
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

@MadinatalSalam なるほど。きっと extra は extraordinary の意味なのかも。ノーマルではない、と。どちらにしても、フナインのラテン語訳に由来している気がします。アラビア語の原典でどうなっているか気になりますね。

2023-02-03 03:45:55
Madinat al-Salam @MadinatalSalam

@microcosmos001 今しがた中西さん経由で重要文献を得ましたので、いずれご報告を。

2023-02-03 04:03:47
Yuki Nakanishi @getoiletten

寝ておきたら超有益な「黄胆汁って赤いの?」スレが爆誕していた。勉強になる。 twitter.com/MadinatalSalam…

2023-02-03 07:16:03
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

プラトンは『ティマイオス』83Bで、胆汁が赤味をおびた色をとることもあるといってますね。

2023-02-03 09:12:27
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

さらに7世紀には成立していたとされる偽ガレノスの『体液について』は、黄胆汁を7種類に分類していて、赤味を帯びることもあるとしています。

2023-02-03 11:14:22
✨ ヒロ・ヒライ🐾 @ BHチャンネル @microcosmos001

黄胆汁が赤いという話をまとめると、ヒポクラテスやガレノスには見出せず、偽ガレノスの『体液について』で言及され、イスラム圏ではフナインの『問答集』で定着し、そのラテン語訳『イサゴーゲー』が医学の教科書になったので、ヨーロッパにも伝搬した感じです。

2023-02-03 21:41:44