すいこばなし【北方謙三水滸伝・楊令伝小噺集】2023年度まとめ

すいこばなし(北方水滸伝・楊令伝小噺集) @suikobanashi108

林冲「漫画家になる」 張藍「まあ」 林「最強を追い求める男を主役にするぞ」 張「絵を描いたことはありましたか？」 林「それは後でどうにでもなる」 張「そう…」 林「替天行道を上回るミリオンセラーになるからな、張藍」 張「はいはい」 林「…」 張「どうされました？」 林「筆の持ち方を忘れた」

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張「槍より軽いものを持ったことがありませんものね」 林「なんだと！」 張「蕭譲殿のお子さま書道教室に通われては？」 林「読み書きはできる！」 張「でも筆を持てないのでしょう？」 林「今思い出す！」 張「…」 林「！」 張「…」 林「折れてしまった…」 張「二重の意味で筆を折りましたね」

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張「これ以上我が家の筆を折られましたら私が困ります」 林「どうしたものか…」 張「湯隆殿に鉄の筆でも作ってもらったらどうです？」 林「それだ！」 林「作ってもらったぞ、張藍！」 張「まあ」 林「これなら握力を気にせず…」 ！！ 張「机が真っ二つですね」 林「…槍より軽いものは持てんのだ」

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林冲…魯達の禅杖より重くないとしっくりこなかったのだ… 張藍…私より重い筆ですね。 湯隆…筆を模した武器を依頼しにきたんだろ？

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劉唐「なぜ飯をこれしか食わんのですか、公孫勝殿！」 公孫勝「…」 楊雄(そこまで怒らなくても) 石秀(追剝の賊を返り討ちにする時よりも迫力がある) 劉「腹が減っては戦はできぬと言うではありませんか！」 公「…できる」 劉「できません！」 公「それが致死軍の戦だ、劉唐」 劉「限度があります！」

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公「腹を減らすのも致死軍の戦だ」 劉「腹を減らす戦は何を相手にした戦なのですか？」 公「…」 劉「…」 楊(確かにそうだ) 公「…空腹を相手とする戦だ」 劉「空の腹のどこに敵がいるのです？」 公「…」 石(詰めるな劉唐殿) 公「…空腹を感じる己が敵だ」 劉「己との戦よりも先に、敵との戦では？」

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公「…」 劉「我らも必要とあらば、空腹で敵と戦をすることを厭うつもりはありません」 楊「…」 劉「しかし、平時に不要なほど公孫勝殿が腹を空かせなくてよいと思うのです」 石「…」 公「…私は食事が嫌いなのだ」 劉「それは？」 公「…」 劉「…」 公「…理由は、話せない」 劉「…今はいいです」

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公孫勝…その日はあと一口だけ饅頭を食べた。 劉唐…いつか話してもらう日が来るのだろうか。 楊雄…いつも食べすぎてしまう自分にちょっと辟易。 石秀…肉屋の倅だったので、料理は下手ではない。

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宋江「第一回梁山泊つまらないものですが選手権を行う」 呉用「それは？」 宋「梁山泊の隊長ひいては将校ならば、得意先に贈り物をすることもあるだろう」 呉「どこへ？」 宋「そこで私宛ての歳暮を贈るシチュエーションを想定し、各々でつまらないものを用意してそのつまらなさを競うのだ」 呉「…」

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宋「一人目！」 林冲「…」 呉(早速優勝候補が) 林「つまらないものですが」 宋「拝見しよう」 呉「…」 宋「2Kgの高級秣！」 林「…」 宋「判定は！」 盧俊義「一日分の秣では少なすぎるな」 張藍「騎兵以外の方にはつまらない以前の品です」 瓊英「人ではなく馬への贈り物なのが林冲殿らしいですね」

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宋「二人目！」 公孫勝「…」 呉(また優勝候補が) 公「つまらぬものだが」 宋「拝見しよう」 公「…」 宋「聞く耳を持たぬものでないと聞こえない音がする笛！」 盧「これはなかなかにつまらんな」 張「聞こえるまで訓練するなんてうんざりしそうです」 瓊「私が吹けば張清様が飛んできそうですけど」

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宋江…三人目に全裸で出てきた史進を懲罰室へ連行させた。 呉用…公孫勝の笛の音が聞こえる気がする。 盧俊義…審査委員長。梁中書へ贈る品選びは実につまらなかった。 張藍…審査員。林冲のセンスをはなから信用してない。 瓊英…審査員。鄔梨の代わりに選ぶ贈物の安定感は梁山泊随一。

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林冲…百里は大喜びするのだが… 公孫勝…この笛を吹くと劉唐が一目散にやってくるのだが。

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宋江「梁山泊かわいい寝顔選手権！」 盧俊義「おう」 宋「出場選手の寝顔を魯達がレポートするぞ！」 盧「誰が出てくるか」 魯達「まずはこいつだ」 林冲「ZZZ」 魯「ご協力痛みいる、張藍殿」 張藍「こればかりは私の特権です」 林「ZZZ」 宋「寝てればかわいいのだが」 盧「戦の時とのギャップよ」

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魯「次は」 王英「本当にやるのかよ」 魯「是非もない」 王「絶対に気づかれるなよ」 魯「王進殿でもない限り気づかれんさ」 扈三娘「ZZZ」 魯「これは…」 王「かわいいだろう？」 扈「…」 宋「おお…」 盧「言葉にするのは野暮だ」 王「とっとと帰れ、魯達」 扈「王英殿」 王「!?」 魯「撤収！」

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宋「寝ているのに瞳孔までガン開きな公孫勝には驚いた」 盧「寝顔に関しては林冲の完勝だ」 魯「次は」 宋「文治省か？」 呉用「ZZZ」 魯「卓に伏せて死んでいるかのようだ」 呉「…今年の…兵站計画が」 魯「夢の中でも仕事してるぞ」 宋「健気な…」 盧「誰のせいだと思われているのだ、宋江殿」

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宋江…李逵の寝顔のかわいさを盧俊義に熱弁した。 盧俊義…燕青の寝顔のかわいさで宋江に反論した。 魯達…百八人の寝顔を見たのではとの噂が。 林冲…寝てればかわいい。 張藍…起きたらアレですけどね。 王英…ボコボコにされた。 扈三娘…三ヶ月王英と会わないことにした。 呉用…げっそりしてた。

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班光「遊撃隊のより確かな名簿を作るため、各々でバストアップ写真を用意すること…」 史進「どうした班光。コンプレックス解消のため、胸にシリコンでも入れに行くつもりか？」 班「なにを言っているのですか！」 史「所詮人工物の紛い物だ。胸の小ささを受け入れ、無理に大きくするのは止めておけ」

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班「写真の話です！」 史「…だから胸の小ささを気にしているのだろう？」 班「そうじゃなくて！」 史「お前は胸にシリコンを入れたグラビアアイドルがどのような末路を辿るか知らないのか？」 葉敬「俺らにゃ一発で分かりますよね」 鄭応「胸だけデカくしたら身体のバランスを損なうぞ」 班「違う！」

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史「頑固な小僧だと思っていたが、これほどとは」 班「話を聞け！」 楊令「どうした？」 史「遊撃隊の一大事だぞ、楊令殿」 楊「なに!?」 史「皆で反対しているのに、班光が胸にシリコンを入れると言って聞かないのだ」 班「違う！」 楊「班光」 班「…」 楊「胸が小さくてもいいではないか」 班「!?」

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史進…さすが頭領の器だ。 班光…思わぬところに着地したが、楊令の魅力をもろに浴びてしまった。 鄭応…馬のような女は入れすぎてえらいことなってるよな。 葉敬…史進殿の尻といい勝負だ。 楊令…近隣の悪徳な美容外科を厳しく摘発するよう蘇端に指示を出した。

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史進「班光」 班光「なんですか」 史「お前が自分の胸の小ささを悩み苦しんでいることはよく分かった」 班「違うと言っているでしょう！」 史「しかし、胸にシリコンを仕込んだり、ヒアルロン酸を注入するのは違うと思うのだ」 班「なぜ私の話を頑なに聞いてくれないのですか！」 史「いいから来い！」

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班「何をするつもりだ！」 史「我ら遊撃隊は人為的な豊胸を断固許さない」 鄭応「俺たちは、シリコンを揉むために妓楼に行くわけじゃないことを分かってくれないか」 葉敬「仮に小さいとしても、それはそれで希少価値を生み出すことも可能だからな」 班「貴様らいい加減にしろ！」 史「聞け！班光！」

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班「…」 史「人為的ではなくとも、胸を大きくする方法はある」 鄭「方臘の喫菜事魔の教えだが、お前のために俺たちはあえて禁を破る所存だ」 葉「すなわち、豊胸手術ならぬ豊胸呪術！」 班「いい加減ぶっ殺しますよ？」 史「いかん！班光がシリコンの悪魔に囚われている！」 鄭「速やかに始めよう！」

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史進…牛の乳をためた器に班光を鎮めるのだ！ 鄭応…マジで方臘の経典にそんな項目があったのか？ 葉敬…あるわけねえだろ。 班光…三日間牛乳風呂の中に封じ込められていた。