三国志こばなし集 2023年4月号

三国志こばなし集 @omikanboy3594

王「これを飲めばよいのでは？」 馬「もう試して、胃の中の物をしこたま吐いた私に言ったのか？」 王「…」 馬「しょうがない。焚き火を囲んで兵たちと星空を見ながら語り明かすとしよう」 王「そんな場合じゃねえんだよ」 馬「火をつけろ！」 王「！」 馬「!?」 王「そのまま敵陣に突っ込め、馬謖！」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

馬謖…謎の液体に塗れて全身火だるまになり、魏軍に単身の奇襲に成功。たまたま魏軍にため池があって事なきを得た。 王平…掘ったら色々出てくるんじゃないか、この山。

三国志こばなし集 @omikanboy3594

司馬懿「狼顧の相など二度としないぞ」 張春華「あなた、お話が」 司「…首を痛めているから、またにしろ」 張「…」 司「もうお前が子元と子上を巻き込んだハンガー・ストライキを企んだところで、二度と謝らんからな」 張「…その言葉、今すぐ訂正なさい」 司「老いぼれ女は引っ込んでろ」 張「…」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

司「首が痛くて寝れたものではない…」 陳羣「司馬懿殿、あなたご家庭でいったい何をやらかしたのですか？」 司「なんの話です？」 陳「宮殿にてあなたの妻とご子息二人がストライキを起こしていますよ！」 司「…またか」 陳「あそこです！」 司「?」 張「…」 司馬師「…」 司馬昭「…」 懿「…」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

陳「あなたが要求に応じない限り、飲まず食わずに加え、着ず眠らず帰らずを追加されたそうです！」 懿「ストライキのフルコースですなあ」 陳「どうして他人事でいられるのですか!?」 懿「めんどくさくて」 陳「」 曹丕「朕の家族も面倒だが、お前の家族もなかなかに面倒だな、司馬懿」 懿「ですよね」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

司馬懿…隙を見て息子たちに飯と水だけはあげといてください。 陳羣…私は何を見させられているのだろう… 曹丕…この反骨精神をもっと有効活用すればよいのにな。

三国志こばなし集 @omikanboy3594

張春華…司馬懿の鬼嫁。事あるごとに息子を巻き込んだストライキを企てる常習犯。 司馬師…今すぐ逃げ出したいが、母が怖すぎる。 司馬昭…裸である羞恥心は、極限の飢えや渇きや睡眠不足の上ではまるで機能しない事を思い知った。

三国志こばなし集 @omikanboy3594

司馬懿「…」 曹丕「狼顧の相で執務とは感心だな」 司「寝違えたんですよ…」 曹「それは」 司「首が柔らかすぎると、ここまで人間は寝違えられるんですね」 曹「うむ。人体の神秘を見るかのようだ」 司「整体師も前例がなさすぎて、手の施しようがないと言われてしまい…」 曹「難儀な首だな、仲達」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹「今狼顧の相をしたらどうなる？」 司「おそらく首が三百六十度回転した状態になるでしょうね」 曹「死ぬな」 司「死にます」 曹「いつもは右回りか？」 司「どちらでもいけますが、私の利き首は右です」 曹「利き手みたいな物言いだな」 司「伯達兄上だけは左利きだったんですけどね」 曹「首がな」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

司「侍医で身体に詳しい者はおりませぬか？」 曹「…」 司「陛下？」 曹「今思いついたのだが」 司「はい」 曹「お前の首のように回る素材があったとして」 司「…はあ」 曹「その素材を受ける穴を事前に用意しておけば」 司「…」 曹「その回る素材を穴に刺して物と物を固定させることはできぬかな」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹丕…典論がミリオンセラーになった次に書く典論2のネタとしてとっておくことにしよう。 司馬懿…なんかめちゃくちゃ痛む角度とまるで痛まない角度に規則性がなくてイライラしている。 司馬郎…司馬家の長男。温厚な人柄で多くの人に慕われた。実は彼も狼顧の相ができたらしい。

三国志こばなし集 @omikanboy3594

劉備「…」 使者「我が主の手紙、間違いなくお届けいたしました」 劉「礼を言うぜ。返事を書くからそれも届けてくれるかい？」 使「命に替えても」 劉「…ゆっくりお休みなさいな」 使「御礼申し上げます」 劉「…憲和」 簡雍「どした？」 劉「益徳と子龍を呼んできてくれ」 簡「…そりゃ構わねえが」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

張飛「どうしたんだ兄者」 趙雲「我らを共に呼ばれるとは」 劉「…懐かしい野郎から手紙が届いてな」 簡「へえ、誰からだい？」 趙「田豫からではないですか！」 張「なんだと！」 劉「…曹操の倅のお目付役で、烏丸と戦してたんだとよ」 趙「そうだったのですか…」 張「元気にしてたのか、あいつも」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

劉「憲和と益徳は覚えてるか？」 簡「なにを？」 劉「俺の家の前にあった桑の木さ」 張「あのでけえ桑か！」 劉「今じゃ天子の桑って呼ばれてるんだとよ！」 趙「なぜです？」 劉「俺がガキの頃の戯言がいつの間にかそうなっちまったらしい」 簡「…俺らの故郷だ」 張「今じゃ思い出しもしなかったぜ」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

劉備…俺らにも故郷ってのがあったんだよな。 簡雍…今はどうなってるかねえ… 張飛…ガキの頃から今まで走りっぱなしだったもんな、俺たち。 趙雲…私たちも返事に一筆したためさせてください。 田豫…後日劉備たちの返事が無事に届いて胸がいっぱいに。

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹操「荀彧よ」 荀彧「なんです？」 曹「私と初めて出会った時に、お前を子房に例えたがな」 荀「畏れ多いですが」 曹「荀攸も張良に似ているところがあるよな」 荀「公達も？」 曹「董卓暗殺未遂はさながら始皇帝暗殺未遂の様ではないか」 荀「そう言われると、そうですな」 曹「他にいないものかな」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

荀「夏侯惇殿たちは、夏侯嬰のご子孫ですよね」 曹「そういえばそうだったな、あいつら」 荀「許褚殿も樊噲と例えられていましたし」 曹「私の祖父は曹参の末裔だ」 荀「なかなかに揃ってますな」 曹「蕭何はおらぬか？」 荀「鍾繇が才を発揮できれば恐らく」 曹「韓信は悩みどころだ」 荀「保留です」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹「戯志才は陳平みたいな奴だったな」 荀「郭嘉も近いものがありますね」 曹「すると私は劉邦なのか？」 荀「ご自覚があられるのですか？」 曹「…そうでもないと思うが」 夏侯惇「なんの話だ？」 曹「私は劉邦に似てると思うか？」 夏「スケベで無節操なところはそっくりだと思うがな」 曹「元譲！」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹操…主君を見る目のない貴様の目玉を抉り出してやろうか！ 夏侯惇…その時は目玉を食ってやるさ。 荀彧…仲が良い君臣なのは何よりです。

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹叡「満寵が耄碌して酒浸りになっているそうだ」 蔣済「あいつも年寄りの飲兵衛ですからなあ」 曹「王凌が満寵を罷免しろと上奏してきた」 司馬懿「満寵殿と王凌殿の間で問題があるのですか？」 蔣「お互い我が強いから、仲が良いとは考えにくいですな」 曹「どう思う、郭謀？」 郭謀「そうですな…」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

郭「満寵殿は呉に恐れられていますから、上奏通りに罷免するよりも、満寵殿を召還して陛下からご質問されては？」 曹「それが良いな。満寵を召還せよ」 満寵「満伯寧。只今参りました」 曹「おう、満寵。健勝そうではないか」 満「…此度私が召還された理由はなんでしょうか」 曹「まず飲もう、満寵」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

満「…合肥を王凌だけに任せるのが心配でならないのですが」 曹「お前の問いは、この酒を飲み干してから受け付けるが、どうかな？」 満「…」 曹「…」 満「ありがたく頂戴しましょう」 曹「？」 満「！！」 曹「満寵!?」 蔣「伊達に飲兵衛やってねえなあ、満寵殿」 満「いかがですか？」 曹「見事！」

三国志こばなし集 @omikanboy3594

曹叡…頼む！これからも合肥の前線を守り抜いてくれないか、満寵。 満寵…王凌としっくりこない挙句に讒言されて都に召還された上、自分がいない間に王凌がボロ負けしててゲンナリ。 蔣済…私もかつて合肥を守った者として、満寵殿を疎かにしてほしくないのですよ。 司馬懿…彼は私とは違う人種だな…

三国志こばなし集 @omikanboy3594

郭謀…満寵の噂は私にすら聞こえているのですから、現地ではもっとすごいのでしょうね。 王凌…満寵と馬が合わず、スタンドプレーで呉の降将の口車に乗ったらボロ負けする大惨事。

三国志こばなし集 @omikanboy3594

孫慮「行け！鴨！」 陸遜「若君。もう辞めの時間です」 孫「…あと一回だけ鶏と闘わせてはならぬか？」 陸「今日で闘鴨は辞めにしましょう」 孫「そんな！」 陸「若君の兄上が皇太子になられたのです」 孫「…」 陸「そうなった暁には、若君は兄上を助ける家臣として力を尽し、仕えねばならぬのです」