- marumarumoheji
- 5197
- 18
- 0
- 0
刑法上の業務妨害よりも一段階下がるものとして「悪戯」という概念があります(軽犯罪法1条31号)。業務妨害をしたが、威力や偽計とまでは言えなかったようなケースです
2023-04-05 11:15:51モナリザの展示場内でこれに向けてスプレー塗料を噴出させた行為(台東簡裁昭和49年10月25日) 外国物産展場から国旗を引き下ろした行為(長崎簡裁昭和33年12月3日) 地下歩道内の非常ベルを押した行為(旭川簡裁昭和50年7月2日) などが、威力/偽計業務妨害ではなく「悪戯」で処罰されています
2023-04-05 11:18:26近年(といってもここ数十年ですが)、「業務妨害の拡大」という現象が言われていまして、かつて軽犯罪法違反で処罰されていた程度のものが刑法上の威力/偽計業務妨害に問われるケースが増えています。はっきりと厳罰化傾向にある
2023-04-05 11:20:37立法時の議論はこれ kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100… 「刑法上の僞計と申しますと、相當複雜巧妙な方法を指すのでありますが、本號の手段はいたずらでもやはり一種の技巧を用いる場合もございますけれども、遥かに僞計よりは單純素朴なものを指しておる趣旨であります。…
2023-04-05 11:38:42これは複雜巧妙になりますと、或いは僞計となり、或いは威力となる場合がございますが、さような場合になりますと、刑法の二百三十四條の適用を受けることになつて參ります…從いまして例を申しますれば、極く經い行僞でありまして、舞臺に出ようとするところの役者の背中に貼紙などをするとか…
2023-04-05 11:38:42或いは講演者の前に「こしよう」を振掛けまして、くしやみをさせるような、その程度のいたずらを豫想いたしまして、そのことによつてその人の業務の執行が相當阻害される、かような場合を考えまして、本號の規定を設けた次第であります」
2023-04-05 11:38:42ちなみに、列車の制動機を面白半分に回して運行を妨げたケースについて、「行為自体重大な結果を招来する虞あるときでもそれだけで常に刑法第二百三十三条の罪を構成するとはかぎらない」として、軽犯罪法違反に留まるとした裁判例があります(大阪高判昭和29年11月12日)。今なら確実に刑法犯でしょう
2023-04-05 11:45:57「威力」とは犯人の威勢、人数及び四囲の状勢よりみて、被害者の自由意思を制圧するに足る犯人側の勢力と解するを相当とするものであり、且つ右勢力は客観的にみて被害者の自由意思を制圧するに足るものであればよい(最判昭和28年1月30日)
2023-04-06 09:47:10事案としては、労働者が集団で会社になだれ込み工場長と「交渉」を求めたというもの(建造物侵入と威力業務妨害で起訴)。高裁では工場長が諦めて任意に交渉に応じている点を取り上げて「威力」を否定、最高裁で逆転有罪
2023-04-06 10:09:14井田良『講義刑法学・各論』では、「偽計も威力も、ともに拡張解釈されており、手段の限定としての機能を大幅に失っている」(初版181頁)と明記されてますね
2023-04-06 10:40:39