【痛快ファンタジー活劇 ご存知!エルフ三人娘~元祖va本家!?ポテサラ農場の決闘!!~】

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雀bot@スケブ募集中 @suzumeninja

「はい。コインほどの大きさのポテトを酢漬けにしたもので、食感と酸味のアクセントが素晴らしい。これこそ、硬いものも食べるヒューマンのポテサラ、すなわち、この町の本家ポテサラなのですよ!」 「なゆほど……」 ポテチは何か思うことがあるようだが、その発声はハカセの声にかき消された。

2023-04-22 22:51:16
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「うわー!やわらかくて、トロットしてる!」 ほとんどペースト状になったポテサラを食べて感動するハカセ。 「でもでも、野菜の味もするし、ハムの味もする!なんでなんで!?」 好奇心旺盛なクソバカエルフは、未知の味に抗えなかった。 pic.twitter.com/ErkjuOK9WS

2023-04-22 22:53:55
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「ヘヘッ!すべての食材を柔らかくなるまで蒸してマッシュするんでい!もちろんハムも、ほぐれるまで茹でて、茹で汁を出汁に混ぜ込んで無駄にしねえ!これこそが、顎の力が弱いポテサラエルフの、元祖ポテサラだってもんでい!てやんでい!」 元祖店主が威張るように解説する。

2023-04-22 22:57:01
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「それにそれに!なんだかいっぱい食べられちゃう!なんでなんで!?」 ハカセは元祖ポテサラをパクパク食べながら聞く。 「ヘヘッ!そりゃあおめえ、シワシワポテトのおかげってもんでい!」 「シワシワポテト……」 ポテチは聞いたことのないポテトに耳を傾ける。

2023-04-22 22:59:32
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「おうよ。小せえポテトをおな、塩漬けと天日干しの繰り返しでシワシワになるまで柔らかくする。それをすりつぶして混ぜてるんでい。すべてが柔らかいポテサラエルフの元祖ポテサラでい!」 「なゆほど……」 ポテチは何か思うことがあるようだが、その発声は店主たちの声にかき消された。

2023-04-22 23:02:50
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「それで、あんたはどっちが旨いと思うんでい?当然、ポテサラエルフさんなら、俺っちの元祖ポテサラの方が旨いよな!」 「なんのなんの!旅エルフの方ならば、ヒューマンの文化もわかっていただけるはずです。本家ポテサラを評価してくださるはず」 「んゆ……」

2023-04-22 23:05:07
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ポテチは二人の圧力に押されて、双方のポテサラを食べる。だが……。 「ポテチは、どっちのポテサラも、あんまり美味しくないゆ……」 「な、」 「な、」 「「なんだってー!?」」 pic.twitter.com/wvMVmGnLWX

2023-04-22 23:07:12
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二人の店主が驚愕する中、ポテチは両方のポテサラをすごい早さで食べ終え、席を立つ。 「ちょ、どこへ行くってんでい!?」 「どこって、畑だゆ」 「畑に行って、何をしようというのです?」

2023-04-22 23:09:29
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慌てる店主二人を尻目に、ポテチは町の外の畑に向かう。 「お、おい!ポテチ!」 ポテチを追いかけようとするメンマを、ハカセが止める。 「だいじょうぶ。ここはポテチに任せよ?」 「……ああ、ハカセがそう言うなら、そうするしかねえな」 メンマはニヤリと笑って答える。

2023-04-22 23:12:29
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クソバカエルフは知能が極めて高い。しかし、それゆえに、過程や前提をすっ飛ばした会話をする。その結果、ヒューマンとは意思疎通が難しく、明るすぎる正確も相まって、話が通じないクソバカなエルフというイメージを与えてしまったのがはるか昔。今でも種族名として残っているのだ。

2023-04-22 23:14:18
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しかし、ハカセと長く一緒に旅をしてきたメンマには、ハカセの言葉は頼もしい。詳細はよくわからないが、ハカセが大丈夫だと言ったなら、大抵のことは大丈夫なのだ(たまにひどい目にあったりもするが)。今回も、メンマはハカセの言葉を信じた。

2023-04-22 23:15:47
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「さあさあ、それではハカセ様は我々の宿へ。古来より伝わるポテサラエルフの元祖ポテサラについて、語り合いましょう。」 「メンマの姉貴はこっちの宿に来てくてってもんでぃ!歯ごたえのあるヒューマン向けの本家ポテサラをもっと食ってもらわねねとな!」

2023-04-22 23:18:52
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「おいおい!宿は別かよ!」 「ポテチ、また明日ねー」 慌てるメンマに対して、ハカセは呑気だ。二人はそれぞれ、道を挟んで向かい合った宿屋へと連れ去られていった。

2023-04-22 23:20:43
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時刻は夜。 「こんなことに巻き込んでしまい、申し訳ございません……」 ハカセの泊まる部屋に、元祖ポテサラ屋跡取りの男が挨拶に来ていた。 「いいよいいよ。気にしない、気にしない」 ハカセはニコニコしている。

2023-04-22 23:22:46
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「はあ……。ですが、仲間の二人とは離れ離れに」 「それはね、だいじょーぶ!だって、明日になれば、また会えるもん!それに、メンマは強いし」 ハカセは自信に満ちた声で答える。 「はは、確かに、そのとおりですね。メンマさんは、あの巨大なイノシシを一撃で倒したくらいですから」

2023-04-22 23:25:45
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「え?そっちもイノシシだったの?」 ハカセは男に問う。 「はい。もしかして、あの娘の方にも大きなイノシシが……」 「そうそう。ってことは……なるほど」 ハカセのクソバカエルフ超速演算頭脳が、一つの回答を導き出した。

2023-04-22 23:28:17
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「明日は頑張らないといけないから、おやすみー!」 ハカセはベッドに転がり込むように眠った。 「お、おやすみなさいませ……」 いきなりの入眠に驚きつつも、男は部屋を後にした。 pic.twitter.com/n8xO2EVo1h

2023-04-22 23:31:14
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一方その頃、メンマも同じように、本家ポテサラ屋の跡継ぎ女と会話をしていた。 「このようなことに巻き込んでしまい、申し訳ございません」 「なあに、良いってことよ。どうせ明日は三人揃って大仕事だ。今夜はゆっくり休ませてもらうぜ」 メンマは明日のことを考えて横になる。

2023-04-22 23:35:14
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「明日、ですか?」 「ああ、アタイは難しいことはわからないけど、ハカセはいつもどおりニコニコしてるし、ポテチもいつもどおりポテトのことばっかり考えてる。だったら、アタイもいつも通りのことを考えれば良いってことさ」 メンマはニヤリと笑って答える。

2023-04-22 23:36:42
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「いつも通り、ですか……」 「ああ、あんたもいつも通り考えてみたらどうだ?アイツと結婚したいって、いつもお互いに思ってるなら、堂々と言っちまえよ」 メンマの竹を割ったようなストレートなアドバイス。だが、それが逆に、両家の争いに巻き込まれてがんじがらめになっていた心にひびいいた。

2023-04-22 23:41:16
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「ほんじゃ、アタイは寝るぜ。明日は忙しくなりそうだからな」 そう言うとメンマは目を閉じて即座に眠った。 「……はい、おやすみなさいませ」 女はお辞儀をして、部屋を後にした。 pic.twitter.com/IfNo8TbyJL

2023-04-22 23:42:57
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一方その頃、ポテチは畑を一通り調べて、一つの確信を得ながら寝ようとしていた。 (間違いないゆ。この畑、魔力の淀みがあゆ……) 魔力の淀み、すなわちモンスターである。その姿は見えなくとも、ポテチは気配を感じ取っていた。

2023-04-22 23:45:19
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(今日は突かれたかや、ここで寝ゆ) ポテチは畑の柔らかい土にズブズブと埋まり、スヤスヤと眠りにつく。ポテサラエルフは土に埋まって寝ることで、大地と魔力の循環を行い、休息するのだ。 pic.twitter.com/BmkWJhEbS2

2023-04-22 23:47:07
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