梅木賢一郎著「カミの現象学」についてのまとめ

図書館で読んだ本の考察ツイート・およびそれにかかわるまとめ。はじめてまとめるのでおかしいところはご了承くださいまし。
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難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

ところで、お風呂から上がりましたー。幻想研究の朋友の皆様、唯今です。

2011-11-18 00:07:01
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

まず、①「たべる」穴から。これは人間が「穴」を開けるときには最も基本的だろう。何せ、「食」の穴なのだから。たとえばいただきます、という挨拶からがそうだ。食べ物を食べることで、外部のなにものかと交通する。つまり、自分をつなぎとめてくれる世界と結びつくわけである(日本人って偉大だ)。

2011-11-18 00:10:22
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

映画「ハンニバル」のレクター博士は、狂って人肉、ヒトの脳をたべ、犬やブタに食べさせる。筆者は、曰く、その姿は「たべる」ことができなくなったことの表れだそうだ。現代社会は、「たべる」ことができず、ただ食べるだけの世界である。

2011-11-18 00:12:01
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

ただ食べるだけの世界。食べる物との世界の結びつきを得られない世界。その中で、ハンニバルは「たべる」。くるって食べる。それは、今と言う事物的な世界の中で、いびつになった「穴」のありようを描いてる、と筆者は話す。

2011-11-18 00:13:18
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

@orientalized まさしくその点です。現状、ことに私が研究している東方、ボカロといった界隈は、徐々に大きな歴史と物語を形成しつつある。しかし、それとともに問題へとも高速で突き進んでいる。だから、これからもどうすべきか、なのです。全然大げさではありません。

2011-11-18 00:17:58
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

これは、彼が「たべ」ることで世界と己のつながりを確認していたあかしである。食べることで、彼は、そのお料理の世界、つまり家族との団らんとかを、そのつながりを思い出していた。謂わば、人生最後の、真実の、「ごちそうさま」なのである。

2011-11-18 00:19:43
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

さて、ここで筆者はさらにジョルジュ・バタイユという哲学者の言を引用し、考察する。バタイユ曰く。「肉体に運命づけられたものが、他の肉体を犠牲にするという、このあまりに直接的な肉の現実」

2011-11-18 00:21:25
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

生きているものが、たがいにさらされている。つまり、たべる・たべられるが、表裏一体。このことを彼は「内奥性(intimité)」「内在性(immanence)」と言う。内奥性、内在性を持つ生物たちは「世界に丁度水があるかのように存在して」いる。

2011-11-18 00:23:56
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

で、そのなかで、生き物たちは、そんな「食うか食われるか」の世界に、尊厳(Dignité)を持つ。しかし、人間だけが、その「内奥性」の外に出てしまった。つまり、内奥に孕む動物性、直接性を廃し、他のモノたちを、ただの事物(choses)にしてしまった。

2011-11-18 00:28:48
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

バタイユ「動物を一つの事物として定義することは、人間にとって、一つの基本的な前提となった。動物は人間の同類としての尊厳を失ったのであり、人間は、自らのうちに動物性を認めるや、それを欠陥と見做すようになるのである。」

2011-11-18 00:30:26
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

そこでバタイユは、宗教での「供犠」に着目する。それは、事物になってしまった世界から、家畜や草木を、またその人間たちをもとの世界に取り戻すための作業である。

2011-11-18 00:31:34
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

供犠(sacrificé)とは:生産的・計画的秩序の世界から、不経済で「気まぐれ」な「消尽」(Consumasion)へ回帰させること。つまり、事物のかかわりを殺し、内奥性の世界に「再び生かす」事なのだ。おっと、「消尽(蕩尽ともいう)」はバタイユの代表的な考え方だぞ。

2011-11-18 00:33:58
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

(これ、魔女さんたちにとってはらしい概念なんじゃなかろうか シャカイの事物になってしまいそこから脱しようとして穢れた結果の世界にいる。しかし、その世界の中では、ずっと自由だし、己の世界の無秩序な蕩尽を行う。これぞ「食べる」と言わんばかりに少女を食う。)

2011-11-18 00:35:17
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

生と死の苦悩に充ちた二律背反を、あるひとつの転倒によって解消する。町田周鳳はこれを「ゾーエー的生命感覚」と言う。ゾーエーはギリシア語で、生と死を超えた無限の生。テンションの高揚したところである。

2011-11-18 00:37:52
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

その観点から行くと、あの「ハイヌウェレ型神話」もまた納得がいく。そのタイプの神話では、女神の糞便などを食べたり、體を食べたりして殺すが、それはむしろ女神を生かしている。女神の体のものを「たべ」、自然を取り込み、対話していた。

2011-11-18 00:41:38
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

まぁつまるところ、「いただきますごちそうさま」の穴なんだよね。食べ物に感謝する。対話する気持ちで、じっくり食べる。そういえばよくあるドラマのワンシーンで、淋しそうな屋台で涙流しながら食べる男がいたりするよね。あれも、きっと「食べる」なんだろうなぁ。

2011-11-18 00:44:26
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

あとは、久々に遠くから、戦争から帰ってきて。ソレで家族の御結びとか食べたシーン、みたいなのとか。あ、ほかにも!「千と千尋の神隠し」の千尋が、ハクの与えたおにぎりを涙を流しながら食べてるシーン。なにか思い出したそうに、嬉しそうに食べてたよね。

2011-11-18 00:45:44
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

ああいうのが、たぶん先生のいう「たべる」「穴」だ。

2011-11-18 00:46:01
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

つぎに、②「まみれる」穴だ。遠藤周作は、キリスト教がどうも受け入れられなかった。というのも、汎神論的な感覚が捨てきれなかったとか。「ヨーロッパ人たちの信仰は意識的で理性的で、そして理性や意識で抑えきれぬものを受け付けません」

2011-11-18 00:47:43
七峰来駕💉💉 @NO_NAME01

@L_O_Nihilum まどマギでマミさんがマミっちゃってまどかが涙目でお父さんの朝ごはん食べるシーンとかですか?

2011-11-18 00:49:51
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

まぁ遠藤の言い分もちょっとバイアスあれど、凄くわかる。つまり、向こうでは「心だけで祈れ、肉は邪魔ものだ」みたいな、どこぞ修道女的な発想で宗教をやるから(コレがまた、梅木先生が「いのる」を特別視して避ける理由だったり)。まぁ、その精神重視な発想自体、身体だと僕は思うんだけど後述。

2011-11-18 00:50:15
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

@NO_NAME01 ソレですね。「生きてると……パパのご飯が、こんなにおいしい…」つまり、彼女は目前で事物ではなく食うか食われるかの世界で「食べ」られるマミを経験し、そしてまた「食べる」が自分と家族をつないでた根拠だと知った。すごく重要なシーンですね、そういう意味でも。

2011-11-18 00:52:36
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

ああ、やっぱりフリーにこうして理解し合いながら語るのは楽しい

2011-11-18 00:52:55
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

でその彼が言う「汎神論的感覚」が「まみれる」だ。お百度参りの石切さん、これは物部氏の祖の子供であるウマシマジノミコトを祀っているんだけど、参拝者が毎年訪れる。腫れ物に良いらしいんだが、やりかたは、「お百度を数えながら石切さんを踏む」。

2011-11-18 00:55:43
難題の預言者、悉若無@いりやらさんどるあはれなり @L_O_Nihilum

このとき、お百度参りで石切さんに「まみれている」。マミ…ってはないですよ、たぶん。これは人類学者フレーザーに言わせれば「感染呪術」。もう、この表現の地点でフレーザーも「まみれ」であるというような表現してれぅ。

2011-11-18 00:57:53