児童福祉施設内での暴力に対する「安全委員会」方式についてのとりあえずのまとめ

児童福祉施設内での暴力問題というと、施設職員から入所児童に対する暴力がまずは問題として表面化した。 しかし、近年、児童間の暴力、児童から職員への暴力も問題であることが言われ始めている。この問題についてこの10年ほど臨床心理士とし関わってきた九州大学教授の田嶌誠一先生が提唱する「安全委員会」方式については、著書「現実に介入しつつ心に関わる」「児童福祉施設における暴力問題の理解と対応」に詳しい。 以下のまとめは、そこで述べられた内容をネット上でどう紹介するのか、とりあえずの大雑把な備忘録に過ぎず、未だ言葉足らずで説明不足ですが、まとめてみました。これに関しては拙ブログの、 続きを読む
10
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

そろそろ、田嶌先生の児童施設内暴力についての「安全委員会」方式について私なりに解説しないと、他のことをネット上で前に進めたがっていない私が自分の中にいるようだ。かなりエネルギー食いそうだけど。

2011-11-19 14:54:30
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

児童養護施設への入所は、現在60%以上が、保護者からの深刻な虐待から引き離すために、児童相談所を経て入所が決まった児童である。しかし、入所した先が「施設内虐待」が吹き荒れる安全だはない場所であれば、その子にはもう逃場がない。こういう現象を欧米では「二重犠牲者化」と呼ぶ。

2011-11-19 15:52:59
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

最近、被虐待児が今度は虐待の加害者側に回る現象が注目されている。そうした被虐待児には「愛着」体験が欠けており、「育ち直し」をセラピー的に体験することが大事と言われる。しかし、施設内という生活空間での暴力の被害児童がそのまま「施設内ネグレクト」されたままていいということにはならない

2011-11-19 16:00:22
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

施設内での虐待というと、職員から入所児童への暴力がまずは問題視されてきた。勿論あってはならないことだが、「懲戒権の濫用」を戒めることは、「懲戒権の適切な運用」とは全然別のこと。それを活用する上での「安全弁」にあるシステムが、田嶌先生が提唱した「安全委員会」方式であるとも言える。

2011-11-19 16:07:50
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

児童福祉施設に入所している児童における児童間暴力というのは、通常に職員の目が届く範囲の空間の背後で、陰湿かつ巧妙な形で、被害児童が今度は数年後は加害者になるという形で連鎖し受け継がれている可能性が高いというのが田嶌先生の基本的スタンス。

2011-11-19 16:14:02
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

施設内暴力というのは、通常の寮生活やスポーツ部、軍隊など、どのような閉鎖的な空間でも、あたかもストレス解消のように自然発生するものであり、個々の加害者の「生育歴」にとらわれ過ぎるより、まずは加害児童の暴力をやめさせ、被害児童に安全な空間と信頼してもらえる状況を作ることを優先すべき

2011-11-19 16:20:08
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

安全委員会は、施設職員(ベテランと若い人双方を含む方がいい)、施設長、理事、児童相談所の幹部職員、配置された臨床心理士などで構成されるが、委員長は外部から招聘される方が望ましいという。月一度、問題児と被害に遭いやすい児童2,3名ずつについての簡単な事例検討会を催す。(続)

2011-11-19 16:24:50
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

(続)その一方で、月に一度、入所児童全員に個人面接を行い、「暴力をふるわれていないか」「暴力を観たことはないか」「暴力があると伝聞したことはないか」 等を聴取する。

2011-11-19 16:33:28
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

暴力には、単に口頭で注意するだけではなく、「はっきりと止め」、「暴力を振るわずに口で言え」「キレそうになったらその場を離れろ」「暴力を振るう代わりになる活動はないかを一緒に考える」などを繰り返し徹底する。加害児童ですらそういう形を取るしかない点では「被害者」であるという視点も重要

2011-11-19 16:43:40
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

まずは施設内での「肉体的」暴力をなくすことを優先し、言葉でのいじめは当面は後回しにするというラインを作っている点も特徴的。そもそも施設内で「身体的に」安全が保証されていること。そもそも安眠すらできないでいる状態が継続している入所児童も多い。

2011-11-19 16:47:28
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

「適切に叱ることと愛着(アタッチメント)の形成は決して対立するものではない」。表面的な対応は、むしろ「正当な罪悪感」を育む機会を奪う事になる。「暴力を止めたもらいたかった」「ひとりでは止められなかった」と後になって語る児童たち。「気持ちの受容」と「行為の許容」は似て非なるもの。

2011-11-19 16:53:22
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

施設内で暴力事件が起こったら「緊急安全委員会」を開催。児童への対応には4つのレヴェルがある。1.厳重注意 2.別室移動 3.恕堂相談所への一時保護 4.退所。退所というのは脅しで使ってはならないが、最悪の場合にどういう処置がなされるかを知らされていることはむしろ入所児童の権利の筈

2011-11-19 17:00:03
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

暴力常習犯の児童が、例えば一ヶ月暴力を振るわずに過ごせたら、表彰等を行いきちんと職員一同「よってたかって褒める」。その子に何らかの長所があればそれをどうしたら伸ばせるかを一緒に考え、例えばその子がテストで良い点をとったとかスポーツで活躍したなどもみんなの前で褒める。

2011-11-19 17:04:36
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

強い年長児童の能力が収まってくると、それまでおとなしくしていた年少組が伸び伸びと「はじける」現象が起こる。場合によっては年長者の方に粗暴な振る舞いをとったり暴力を振るうなどいう逆転現象も生じる、そうした中で年長組は我慢を重ねていることがある。こうした現象にも目を行き届かせす必要。

2011-11-19 17:09:01
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

・・・・などと、敢えて本を丁寧に読み返すのではなく、思い出す範囲で、田嶌先生提唱の、児童福祉施設内暴力への「安全委員会方式」についてツイートしてます。備忘録的であり、改めて整理したり読み返してまとめたものをブログに上げなおす予定です。とりあえず一区切り。

2011-11-19 17:13:04
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

田嶌先生の児童施設内暴力についての本を読んでいて感じるのは、戦後の社会における教育や人間関係で欠けていた何かを思い出させてくれる点。私は復古主義的ユートピアニズム大嫌いでゆとり教育の弊害などと安易にいいだすのも嫌い。強権的な管理主義教育も今更復活して意味ないと思うし、(続)

2011-11-19 17:27:41
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

(続)「地域共同体の再生」などというのもお題目的絵空事だと思う。しかし、ひとりひとりのことを思いやった上で、叱るところは叱り、ほめるところはほめるという当たり前のことが、いろんな次元で、集団や組織に欠落しているのは確かと思う。そういうの、「自己責任」の名の下の「ネグレクト」かと。

2011-11-19 17:32:31
阿世賀浩一郎@若き臨床家のために @kasega1960

今ふうの「やさしい」社会(土井 隆義線性的な意味での「友達地獄」社会)は、互いの空気を細やかに読み合っているけれども、実は個人としては「相互ネグレクト」が当たり前になっている社会ではないか?

2011-11-19 17:41:52