【TS】山月記の李徴はTSケモ娘という話をする者達

果して一匹の虎娘が叢の中から躍り出た。虎娘は、あわや袁傪に躍りかかるかと見えたが、たちまち身を飜ひるがえして、元の叢に隠れた。 叢の中から人間の声で「あぶないところだった」と繰返し呟くのが聞えた。その声に袁傪は聞き覚えがあった。 彼は咄嗟に思いあたって、叫んだ。「その声は、我が友、李徴子ではないか?」 叢の中からは、暫く返辞が無かった。喘ぎ声かと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。
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