デス・フロム・アバブ・セキバハラ #4

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……ドーモ、ナラクニンジャ=サン、イグゾーション……です!」理性を保ちながらかろうじて答える、バリキ状態イグゾーション。ここまでのセルフバリキを試みたことはない。解き放たれるのを待つ猛獣のように、抑えが効かない。その頭髪は微かな黄色が混じる完全な白髪へと変わり果てていた。 49

2011-11-20 00:40:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「イイイヤアアアアアーッ!!」」両者は残像を残さんばかりの速度でカラテを繰り出し合った。空気すらもぶすぶすと焦がす黒い炎がイグゾーションの脇腹をかすめ、指先から微かな光を放ち始めたイグゾーションのバリキチョップが空を切る!一撃絶命の力を秘めた暗黒カラテの応酬!応酬!応酬! 50

2011-11-20 00:44:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一体ニンジャスレイヤーに何が起こったのか!?ヘルボンチのストーンヘンジは偶然にも、太古の昔にニンジャに殺害されたダイミョやサムライやオクガタの怨念を、いわば大型パンチドテープ内蔵UNIXめいて蓄積していたのだ。それが何を意味するのか!?残念ながら今はまだ申し上げられない!! 51

2011-11-20 00:53:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その間にも、ニンジャスレイヤーとイグゾーションのカラテ攻防は続いている。ナムサン!その継続時間はいまや1分、3分……何と5分を超えたではないか!そして徐々に……ナラクの片眼が黒に変わってゆく(((ナラクよ、オヌシの正体は一体…)))(((黙れフジキド!時間が無いわ!))) 52

2011-11-20 01:02:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナラクが焦燥する。片腕の黒炎が燃え尽き始めた。(((マズダニンジャは強敵ぞ!万全の状態ならば難なくくびり殺しておろうが……フジキドよ!このうつけめが!精神が脆弱になりおったな!復讐の気概は何処へ行った!?このような心停止寸前の状態で、儂に肉体を明け渡しおって!!))) 53

2011-11-20 01:07:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

CRAAAAAAAAAAAASH!!破局へ向けて速度と破壊力を高めていったニンジャスレイヤーとイグゾーションのカラテは、ついにアイウチ・クロスカウンターめいた形で互いの顔面に叩き込まれた!ナムアミダブツ!両者ともに回転ワイヤーアクションめいて正反対方向へと弾き飛ばされる! 54

2011-11-20 01:12:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

数分後。ハカバから蘇ったかのように、がばりと上体を起こす一者。もう一者は仰向けに倒れたまま動かない。おお、ブッダよ、その秘密めいたアルカイック・スマイルをどちらに投げかけたというのか……? 55

2011-11-20 01:15:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ!」イグゾーションは左の眼窩を手で押さえながら、荒々しい息を吐いた。バリキの光は消え去っている。彼の顔の4分の1、頬骨から前髪にかけては黒い炎に焼かれ、目玉は爆ぜ、粘性の血が漏れていた。白いハンカチーフを胸元から取り出し、片目を隠すように縛る。 56

2011-11-20 01:22:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「我々はッ!我々はッ!……支配しなければならないッ!」バリキ・ジツの副作用か、昂揚したイグゾーションは立ち上がりながら叫んだ。厚手の上等なハンカチーフに血が滲み、40がらみの皺が刻まれた頬を血が伝った。彼はズンビーめいた足取りで、ニンジャスレイヤーへと向かってよろめき歩く。 57

2011-11-20 01:25:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャソウルに憑依されたからといって、その者が高貴な存在になるか?否!否!否!奴らは永遠に野蛮なままだ!下層ショーユ工場で働く労働者と本質は何ら変わらない!支配の使命を課せられたるはッ、我ら高貴なる家柄に生まれついた、ニンジャソウル憑依者のみッ!」イグゾーションは叫ぶ。 58

2011-11-20 01:28:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

イグゾーションはニンジャスレイヤーの横へと達し、なおも叫ぶ「我々貴族はッ!セキバハラ貴族の末裔はッ!何百年以上もキョートの支配階層に君臨してきたッ!今はメガコーポとしてッ!我々は君臨し続けねばならんッ!伝統も作法も知らぬ、蛮人の如き下層民どもを支配し続けねばならんのだッ!」 59

2011-11-20 01:32:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

イグゾーションはよろめきながら片足を持ち上げる。頭を踏み潰すカイシャクの構えだ。「…この傷は支配者の戦傷に相応しいッ!私は永遠に支配する!偉大なるショーグン・オーヴァーロードの末裔、ロード・オブ・ザイバツがお導きになる、栄光に満ちた千年王国!ニューワールドオダーの中でッ!」 60

2011-11-20 01:37:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BLAM!……ヘルボンチに一発の重い銃声が響き渡った。 61

2011-11-20 01:38:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何だこれは?」イグゾーションは空洞と化した己の胸を見てくり返した「……何だこれは?」。「……何がセキバハラ貴族だ……てめえらの時代は……数百年前に終わったんだよ、時代錯誤のイービル・スピリットめ……くそったれめ……」ガンドーは血唾を吐きながら立ち上がった。 62

2011-11-20 01:41:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BLAM!さらに一発。49マグナムが火を吹いた。 63

2011-11-20 01:45:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!」イグゾーションの右膝が吹き飛ばされた。彼はバリキ副作用のために痛みは感じない。屈辱感があげた絶叫だった。イグゾーションの体はよろめき、ゆっくりと崩落する古の五重塔めいて倒れ……丘を転げ下ちてゆく。キナコじみた砂が血に混じる。 64

2011-11-20 01:49:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

イグゾーションは砂まみれの手を見つめながら爆発四散した。「サヨナラ!」ショッギョ・ムッジョ……ザイバツ・グランドマスター最強の一人と目される男には相応しくない、泥臭い死に様であった。遥か遥か彼方のスピーカーから、ザリザリとサツバツ・ウェスタンの音楽が乾いた風に運ばれてきた。 65

2011-11-20 01:53:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガンドーは気絶したニンジャスレイヤーを担ぎ、ふらふらと丘を下る。そして運良く荒野に佇んでいたサイバー馬に跨ると、乾いた口笛を吹きながらその鞍に飛び乗った。「アジトの場所はサイバー馬の頭の中さ。ウミノ=サンを連れて、帰ろうぜ、アンダー・ガイオンへ。ホーム・スウィート・ホーム」 66

2011-11-20 01:58:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(「デス・フロム・アバブ・セキバハラ」 終わり)

2011-11-20 01:58:44