【創作企画】第16夜 雨にも負けぬ蠍の火【リグレット・カレイドスコープ】

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【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

1日に玄米4合と 味噌と少しの野菜を食べ あらゆることを 自分を勘定に入れずに よく見聞ききしわかり

2023-06-18 21:06:45
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

そして忘れず 野原の松の林のかげの 小さな萱の小屋にいて 東に病気の子どもあれば 行って看病してやり

2023-06-18 21:07:06
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

西に疲れた母あれば 行ってその稲の束を負い 南に死にそうな人ひとあれば 行ってこわがらなくてもいいと言い 北に喧嘩や訴訟があれば つまらないからやめろと言い

2023-06-18 21:07:36
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

日照の時は涙をながし 寒さの夏はオロオロ歩き みんなにデクノボーと呼ばれ ほめられもせず 苦にもされず そういうものに わたしは なりたい

2023-06-18 21:08:13
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

先生に呼ばれた後太陽が親友の教室に戻ってくると、彼がクラスメイトに話しかけられていた。

2023-06-18 21:14:04
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

なにやら頼まれごとをされているようで、少し耳を傾けると、勉強を教えて欲しいとせがまれているようだ。期末試験前に彼に教えを乞うクラスメイトは多い。

2023-06-18 21:14:42
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

いつもなら少し間に入る程度だが、今回ばかりは連れて帰ろうと、太陽は彼らに向かっていった。 すっとその間に割って入り、笑いながら声をかける。

2023-06-18 21:15:50
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「わはは、ちょっとごめんな〜今イッチャンたいちょー悪いからまた今度にして!」 「…?タイヨウ?俺は別に」

2023-06-18 21:16:05
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

要求に対して笑顔で応えようとしていた市夏は首を傾げる。今日は早く帰りたいという気持ちはあれど、体調の悪さに自覚はない。 “それよりも”、困っているなら助けなきゃ。

2023-06-18 21:17:09
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「なんだよ、他クラスのお前がどうこう言う話じゃないだろ?」 「わははは!そーだけどさ!それに今日このあとどしゃーって雨強くなるから早く帰った方がいいぞ〜?ゴロゴロもするって!」

2023-06-18 21:18:07
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

突然間に入られて少し苛立ちの色を見せていたクラスメイト。しかしその太陽の言葉に、帰れなくなるのはまずいと思ったのか「わかったよ」と言って去っていった。 その背中を見送ったあと、太陽はゆっくりと市夏に顔を向ける。

2023-06-18 21:19:18
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「………イ〜ッチャン?」 「どうしたのタイヨウ?あ、タイヨウもどこか分からないところあるとか?休んでた分取り返さないとだもんね」

2023-06-18 21:19:49
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

どこか不機嫌な様子の太陽。 それを感じつつも、市夏は思い当たる要因を口に出したが、彼は首を横に振った。

2023-06-18 21:20:26
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

「んーん、べんきょーは明日でいい。イッチャン、帰ろ。雨強くなってきた」 「……。そう、だね。タイヨウが風邪ひいちゃう前に帰らなきゃ」

2023-06-18 21:21:06
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

その言葉に、市夏は改めて窓の外を見た。太陽は視界の端でバッグを持ち直して帰り支度をしている。 窓には雨がうちつけていて、まだ遠い。しかし確実に近づいてきている。小さな雷鳴から目をそらしつつ、バッグからレインウェアを取り出し手早く着込んだ。

2023-06-18 21:22:05
【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

市夏の言葉に頷いて、太陽はその様子のまま教室を後にする。 昇降口に着いた頃にはもう雷が鳴っていて、傘を差してもずぶ濡れになってしまうほど雨足は強まっていた。

2023-06-18 21:23:21
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