スワローズ妄想劇場【3番 ショート兼探偵 川端慎吾】その1

スワローズ妄想劇場。川端選手が神宮外苑を舞台に謎解きに巻き込まれていくお話です。
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トゥ・レイン・スワロー @to_rain_swallow

スワローズ妄想劇場【3番 ショート兼探偵 川端慎吾】 #swamou #swallows ※このお話は実在の人物・団体・施設とは全く関係のないものです。あしからずどすからす。へでで。

2011-11-18 13:08:49
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

スワローズ妄想劇場【3番ショート兼探偵 川端慎吾】 「・・・だから、出るらしいんだよ。特に雨の日は。」畠山が何度も楽しそうに話しかけてくる。「冗談はやめて下さいよ。もう・・・」川端は打撃練習に行く支度をしながら、少しウンザリした顔をワザと出してそう返した。 #swamou

2011-11-18 13:11:55
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

試合後のクラブハウス。今日は先発の館山が好投したので21時前に試合が終わった。帰り支度をする選手、2階にある設備でウエイトトレーニングをする選手。色々だ。「いや、本当だって!特に雨の日は鎧を着た武士が草むらからヌーッと・・・」畠山は川端の表情を読まずそう続けた。 #swamou

2011-11-18 13:12:48
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

川端が何度目か分からないこの話をどう終わらせてもらおうか良い回答を考えていた所に「バッチ、準備出来たら行くぞ!」と、一緒に打撃練習する約束をしていた相川が声をかけてきた。「あ、分かりました。今行きます!」好機とばかりにバットを持って立ち上がった。 #swamou

2011-11-18 13:14:43
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

「打撃練習、一緒に行きますか?」川端が畠山に問いかけると、その問いを待っていたかのように「いや、家で奥さんが待ってるからな。」と、照れながらにこやかに手を振った。(なら、早く帰ればいいのに・・)と思いつつ相川と一緒に部屋を出る。 #swamou

2011-11-18 13:18:02
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

玄関に続く廊下で相川が苦笑交じりで「あいつの噂話好きにも困ったもんだな」と話してきたが、(一応?)先輩の事なので「うーん・・・、まあ、ノーコメントで。」と曖昧な笑顔で返す。玄関を出ると、クラブハウスの前には、まだ沢山のファンが残ってくれていた。 #swamou

2011-11-18 13:19:49
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

川端に気付いたファンがこちらに向かって手を振って「川端さーん!」「慎吾ー!」と声をかけてくれる。素直に嬉しいと感じる。いつも、一人ひとりにお礼を言いたいと思っているのだが、練習時間がなくなってしまう。片手を挙げて答えにかえる。「キャー」と女性ファンから声が上がる。 #swamou

2011-11-18 13:22:28
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

(僕なんて、ユニホーム脱げば誰も気づかない普通の人なんだけどな。あ、体格でスポーツ選手ってのはわかるかもしれないけど)と最近急に増えた声援に戸惑いつつ思った。用意してある自転車に跨り、カゴにバットを入れる。相川さんは・・・と見渡すと、携帯電話を閉じたところだった。 #swamou

2011-11-18 13:25:40
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

「すまん。急用が出来た。今日は帰るよ。」申し訳なさそうな表情を浮かべつつも口元が少し緩んでる相川に(浮いた話、かな?)と思いつつ「あ、大丈夫です。お疲れ様でした!」と言って自転車を漕ぎ出す。背後から、ファンの声援を掻き消す爆音を出してイムのフェラーリが出て行った。 #swamou

2011-11-23 11:35:17
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

家路に着くファンを追い越しながら室内練習場にやって来た。誰も居ない練習場に煌々とライトが燈っている。以前は試合後の練習はクラブハウスの中でウエイトトレーニング程度しか出来なかったが、最近やっと、この練習場が試合後23時まで使えるようになった。 #swamou

2011-11-18 13:29:14
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

周りを見渡して(どうやら今夜は俺一人らしい)と確認すると、黙々とマシンに向かって打ち込み始めた。チーム事情とはいえ今年途中から任された「3番」という重圧を撥ね退けようと、無心でバットを何度も振りぬく。それに合わせて汗が飛び散り、打球音が響き渡る。 #swamou

2011-11-18 13:31:21
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

・・・どのくらい打ち込んだのだろう。気が付くと背後に管理人が立っていた。「あのう・・・もう時間なんで・・・」「えっ?」壁に掛けられている時計を見ると23時を回っていた。管理人は帰宅できるギリギリまで待っていてくれたのだろう。「ごめんなさい!すぐに片付けます!」 #swamou

2011-11-18 13:32:51
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

川端はボールを集めてカゴに入れると急いで表に出た。「うわあ・・・予報じゃ言ってなかったのに・・・」外は猛烈な雨だった。傘など持ってきていない。(数時間前のスタンドには、あんなに傘が溢れてたのにな)と一瞬考えたが、傘など意味の無い位の降り方に、覚悟を決めて漕ぎ出した。#swamou

2011-11-18 13:34:20
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

誰も居なくなった外周道路を漕ぎ出してすぐ歩道脇の植え込みに何かが動いている様に見えた。(うん?)目に雨が入らないように手をかざして見る。人のようだ。(まさか、畠山さんの言ってた・・・武士の幽霊?)恐怖に脚がすくむ。と、その人影が倒れた。 #swamou

2011-11-18 13:35:31
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

倒れた拍子に合羽が脱げて頭の部分があらわになる。武士ではなく普通の老人だった。川端は反射的に駆け寄った。「おじいさん、大丈夫ですか!」と雨で冷え切った老人の手を取る。老人は川端の手を握り返してきた。川端は手の甲と老人の手のひらの間に何かの違和感を感じた。 #swamou

2011-11-18 13:38:39
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

折りたたまれた紙が挟まっていた。老人は懇願するように「お願い・・・探して・・・」と弱々しく言った。「この紙のことですかっ?」と川端が紙を手に取って見せると、老人は安心したように笑顔を浮かべて頷き、そして目を閉じた。 #swamou

2011-11-18 13:39:34
スワローズ妄想劇場 @swa_mou

驚いて川端が叫ぶ。「ちょっと!おじいさん!・・・誰か!誰かいませんか!」老人の体温がどんどん感じられなくなっていく川端にとって、ちょうど片付けの終わった室内練習場の管理人が通りかかるまでの時間が永遠のように感じられた。(続く) #swamou

2011-11-18 13:40:49