スワローズ妄想劇場【３番 ショート兼探偵 川端慎吾】その２

トゥ・レイン・スワロー @to_rain_swallow

スワローズ妄想劇場【3番 ショート兼探偵 川端慎吾】その2 #swamou #swallows ※このお話は実在の人物・団体・施設とは全く関係のないものです。あしからずどすからす。へでで。

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

スワローズ妄想劇場【３番ショート兼探偵 川端慎吾】その２ ・・・程なく到着した救急車によって老人は信濃町駅前の慶応病院に運ばれた。行きがかり上、川端も救急車に同乗して病院に運ばれた。「極度の疲労と肺炎です。意識不明の状態が続いています。」 #swamou

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

医師の言葉に動揺したが、医師ではない自分にはどうすることも出来ない。川端は後を頼み病院を出た。「大変でしたね。」病院の玄関で、球団マネージャーの河端龍が迎えに来ていた。「あ、龍さん。どうしたんですか？」「そりゃあ、練習に出た選手が行方不明になれば・・ね。」 #swamou

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

11時を過ぎても戻ってこず、クラブハウスが閉められないと管理の女性から苦情が来て探していたところ、この件を知って川端の車と荷物を持って迎えに来たのだ。「すみません。連絡せずに・・」川端は時計を見ると1時になろうとしていた。「気にしないで下さい。で、相手の容態は？」 #swamou

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

川端はその言葉に「意識不明だそうです。」と表情を曇らせた。「そうですか。でも引きずらないで下さいね。切り替えて野球に集中してくださいよ！」そう言うと待機させていたタクシーに乗り込み河端は帰っていった。自分の車に乗り寮の自室へと帰り着いた川端は、練習着を脱ぎ始めた。 #swamou

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

「あれ？」ポケットに何か入っている。取り出してみると折りたたまれた紙であった。広げてみるとスコアブックであった。いや、正確にはそのコピーだった。しかし、コピーからでも印刷された原紙の端の破れ具合や書込んである文字から相当古いものであると予想できた。 #swamou

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

「１９４３年？」日付を見て川端が思わず声を上げた。不意に（お願い・・・探して・・・）と老人の言葉が頭の中で甦る。（これを・・・どうしろっていうんだ？）スコアブックを見直してみる。チームの名前は両軍とも空欄。何処のチームだか分からない。 #swamou

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

それに本来であれば自チームと相手チームで2枚一組である筈なのに1枚しかない。内容は何の変哲も無い野球のスコア。と、見慣れない記号に気づく。（なんだこれ？）丸の中に小さく縦に棒2つ。11とも読めるが「マル１１」にしては11が小さすぎる。 #swamou

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

前の打者で3アウトになっているので打撃結果を書き込んだものではないらしい。現にこの「マル11」を書き込んである隣、つまり次の回にホームランを打っている。（数字だとしたら打点とか、通算本塁打数かなあ・・・でも書き方からして１１ではない気がする・・・） #swamou

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

しばらく考えていたが分からない。川端かその紙をバックにしまい、とりあえず寝る事にした。明日はデーゲームだ。そして翌朝、眠い目をこすりながらクラブハウスに辿り着いた川端は、事の顛末を聞いたチームメイトから根掘り葉掘り聞かれ、その度に１から説明していた。 #swamou

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

そのせいだろうか、どうしてもスコアブックの事が頭から離れない。（探してって事は何か意味のあることが書いてあるんだろうか。スコアブックに？確かにあの「マル１１」だけは野球には関係ない記号っぽいけど・・・）「アウト。」不意に声をかけられ我に返る。 #swamou

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

「えっ？」と声を上げ振り返る。「三振。判定が微妙とは思わないが？」そう審判が告げる。打席の中で考え事をしてど真ん中を見逃してしまったらしい。ベンチに戻る川端には伊勢コーチの視線がとても痛かった。その日の川端の成績は散々なものだった。 #swamou

スワローズ妄想劇場 @swa_mou

（あのおじいさんは、何を探していたんだろう・・・）このままでは埒があかない。（今夜病院に行けば家族の人が来ていて何か分かるかもしれない。それに、事情が分かれば家族の人に探してもらえば良いじゃないか。）そう考えた川端は、試合後、病院に向かうことにした。（続く） #swamou