エリザ氏によるフランス革命の流れ。当初イギリスは支持していたが王政打倒に至ると反対し始めた訳か

39
エリザ @elizabeth_munh

いんたーねっとRAFちゃんねる

エリザ @elizabeth_munh

1789年、フランスでバスティーユ要塞襲撃が起こり、フランス革命が始まる。 その時、我らがイギリスはライバル国で起こった革命騒ぎを一様に祝していた。 「フランスも遂に絶対王政の非合理さに目覚めたぞ!」 何せイギリスは革命に関しては先達で、清教徒革命・名誉革命で経験済み。 pic.twitter.com/cx7htX3g5D

2023-04-24 21:11:23
拡大
エリザ @elizabeth_munh

時の首相ピットもフランス革命に対して好意的な見方をした 「どう転ぶにせよ、絶対王政が復帰する事はあるまい。多少なりともフランスの民主化が進むならいい事だ」 イギリスの知識人達のほとんどはフランスにおける革命がかつての自国と同じく、国王から議会に権力がシフトするようになると推測した

2023-04-24 21:15:03
エリザ @elizabeth_munh

その過程で国民の権利の保護が為され、また自由主義が進むに違いない。いい事だ…… しかしフランス革命はイギリスにとって明後日の方向に進み出す。 政治的混迷から穏健右派が全員粛清され、貴族やブルジョワ層は片っ端から断頭台の露と消える。 それでも粛清は止まず、毎日誰かが処刑される。

2023-04-24 21:17:59
エリザ @elizabeth_munh

恐怖政治(テルール)の始まりだった。国王も王妃も処刑された。右派も左派も首を斬られた。 「行き過ぎだ、フランスにおける革命は暴徒の騒擾に過ぎない! 行き過ぎた平等思想が我が国に流入しては危険だぞ!」 ここに至ってイギリスはフランスの革命の行末を楽観視出来なくなる。 pic.twitter.com/R2kRvC91HJ

2023-04-24 21:20:32
拡大
エリザ @elizabeth_munh

しかし自由主義の観点からフランス革命の熱に当てられた人達も相当数いた。 「バカな! 自由・平等・友愛が危険思想だと!? 今こそフランスの革命派と同盟すべきだ!」 独立戦争でイギリスから離脱したアメリカに羨望の念を抱く一部知識人はフランス革命を擁護した。思想闘争が始まる。

2023-04-24 21:23:29
エリザ @elizabeth_munh

こうして始まったのがパンフレット戦争だった。革命擁護派と保守派は互いに政治パンフレットを印刷しては頒布し、紙面の上でフランス革命是か非かについて論争した。 「フランス革命はイギリス革命を模範とし、更に前進させた高邁な理想である!」 名誉革命100周年を記念して擁護派は宣言する。 pic.twitter.com/F04p43TqvY

2023-04-24 21:26:43
拡大
エリザ @elizabeth_munh

「誤謬もいいところだ、あの混乱と粛清の嵐が何で社会の前進なものか。伝統に背を向け、目新しい思想に飛びつくなど軽薄極まりない。世の中とは漸進的に改革が進むものだ!」 保守派も反撃する。 「粛清ならイギリスにもあった事だろう!」 「それは暴君クロムウェルの話だ!」

2023-04-24 21:28:57
エリザ @elizabeth_munh

「クロムウェルはやり方が手緩かった! 粛清は理想のための産みの苦しみに過ぎない!」 「無血革命の精神を忘れたか!」 パンフレット戦争はイギリスのありとあらゆる思想家や知識人を巻き込み、全面戦争の趣を呈した。 「フランス革命は女性のための革命です!」 女性知識人も参戦した。

2023-04-24 21:31:21
エリザ @elizabeth_munh

イギリスでおそらく初めてのフェミニズム的主張が為された。『女性の権利の擁護』はフランス革命で提示された人権の概念を女性の権利平等にまで拡大したもので、イギリスにおける女権擁護の古典となる。 反革命と革命支持の論争は紙面で収まらず、暴徒による襲撃にまで発展した。

2023-04-24 21:34:15
エリザ @elizabeth_munh

ピット首相は反革命に舵を切り、革命派のパンフレットを発禁にする言論弾圧に成功。イギリスの革命派で特に筋金入りの人達はフランスへと亡命する。 しかし1793年、フランス革命は革命の対外輸出を開始し、ヨーロッパ中に宣戦布告。フランス革命戦争が始まる。

2023-04-24 21:36:43
エリザ @elizabeth_munh

流石にここまで来ると革命支持を訴えるイギリス人はいなくなり、パンフレット戦争は自然消滅する。ピットは革命思想の浸透を警戒して国内の急進派をマークし、反フランスプロパガンダを打ち出した。 こうしてイギリスは革命フランスで国内を固める事に成功し、英仏戦争の最終ラウンドが始まる。

2023-04-24 21:41:38
エリザ @elizabeth_munh

ところで、何故フランスにおける革命はイギリスと同じ道を辿らなかったのか? 両者の違いは軍隊にある。英仏共に革命を推し進めるにあたって軍隊が大きな役割を果たした。イギリスでもクロムウェル率いる鉄騎隊と新模範軍(ニューモデルアーミー)が王軍撃破に活躍している。

2023-04-24 21:43:21
エリザ @elizabeth_munh

しかし海によって外国と隔てられたイギリスでは、陸軍はたちまち政治勢力化し、議会を脅かす存在となった。クロムウェルの死後、議会は軍隊を始末にかかる。 対してフランスでは革命を成功させても、今度は地続きの国からの侵略に対抗するため、陸軍は絶対に必要であり、議会は軍隊と妥協を強いられる

2023-04-24 21:45:33
エリザ @elizabeth_munh

イギリスにおける革命は徹頭徹尾ブルジョワ層の革命として始まり、そして終わったのに対して、フランス革命はブルジョワと無産市民の同盟と言う形で進行した事に違いがあった。 イギリスはフランスに勝利するも、結局、思想の浸透を抑える事は出来ない。

2023-04-24 21:48:56
エリザ @elizabeth_munh

兵士と言う形であれ、労働者と言う形であれ、より多くの国民を国家のために動員せねばならない限り、無産市民をも政治に取り込んだフランス革命の精神は何度でも蘇る。 パンフレット戦争はイギリスの思想や、社会に影響をもたらす、いわば思想の前哨戦となった。 pic.twitter.com/9ozo4VrVSP

2023-04-24 21:51:59
拡大
Magic User @tom41mzh

@elizabeth_munh 英国から見たフランス革命といえば紅はこべという小説を思い出します。英国貴族が急進革命派を出し抜いて穏健派貴族たちの亡命させるお話です。

2023-04-25 11:58:51
Bashフリーク @bash_freak

@elizabeth_munh 「女性の権利の擁護」の著者の娘がメアリー・シェリーですね。フランケンシュタインの産みの親。

2023-04-24 23:46:43
たぬきたけのこ@結婚しましたぁぁ!! @ban0416

@elizabeth_munh なるほど… たしかにフランスは国民軍で近隣を圧倒するもんなぁ。 twitter.com/elizabeth_munh…

2023-04-24 22:39:24
ミズグチ @johnman44jp

@elizabeth_munh フランスの一回燃えると乾季の野火みたいに関係ない所まで大炎上するのはお国柄なんですね 歴史に詳しい人にとってはまた仏燃えてるなって感じなんでしょうか?

2023-04-24 22:07:46
ムラカミ農園 @paUxT6DCdS2RPkL

@elizabeth_munh フランス革命の飛び火を恐れて全ヨーロッパの権力者がフランスを攻めていたと思っていたので、最初は好意的な議員もいたのは意外でした。

2023-04-24 22:42:19
魂三郎 @tamasaburou1982

@elizabeth_munh 「当機はまもなくパリに到着いたします……。ロンドン-パリ間の時差は一時間、『デモクラシーの時差』の方は百年となっております」

2023-04-25 07:24:39