自称元InFactファクトチェック担当編集長による反ワクチン記事

救済認定があたかも被害認定であるかのような嘘、あたかも厚労省が情報隠蔽を図っているかのような嘘、どこにFactがある?
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節操のないツイート1号 @WideRangeThink

この記事の偏向っぷりが酷い。 archive.today/5BUpo 詳細の指摘は長くなるのでtogetterでまとめるが、フェイクを拡散する輩がファクトチェック担当編集長をやってたことには驚く。

2023-07-20 12:46:21

記事より

新型コロナワクチンの接種後死亡者の遺族が死亡一時金等を請求できる健康被害救済制度のもとで、厚生労働省の審査会が新たに15歳の男性を含む31人について、接種が原因で死亡したことを否定できないとして、救済認定をしていたことがわかった。6月26日、審査結果の資料を公表した。
これで、接種と死亡の因果関係が否定できないと認定された事案は計103件となった。死亡の被害認定が100件を超えたのは、新型コロナワクチンが初めて。

健康被害救済制度における死亡一時金等の認定は、「接種が原因で死亡したことを否定できないとして、救済認定」をするものであるが、「接種が原因で死亡したこと」を肯定するわけでもないので、「死亡の被害認定」ではない。

まとめ 救済認定≠被害認定→それは別制度【自己まとめ】【拡散希望】 因果関係が肯定も否定もできない場合は全件救済認定→目的の違う救済制度では厳密な因果関係で原因を特定する副反応検討部会の検討結果は覆せない 93488 pv 354
リンク www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp 接種後に起きた症状とワクチンとの因果関係の考え方について、副反応疑い報告制度と健康被害救済制度では、どうなっていますか。|Q&A|新型コロナワクチンQ&A|厚生労働省 副反応疑い報告制度では医学・薬学的観点から総合的に判断し、健康被害救済制度では厳密な医学的な因果関係を必要としない等、考え方に違いがあります。前者の制度で評価できないとされた事例でも、後者の制度で認定される場合があります。 1

これまでのところ主要メディアは報じていない。

「審査結果の資料を公表」が6月26日なら、「計103件」の数値は翌日時点では「主要メディアは報じていない」としてもおかしくはない。
しかし、この記事は、それに続く文章をみればわかる通り、6月26日に公表された数値だけではなく、それまでの救済認定結果まで「主要メディアは報じていない」と誤認させようと仕向けていることは明らかだろう。
もちろん、主要メディアは事あるごとに認定結果を公表している。

リンク NHKニュース 新型コロナワクチン 接種後死亡12人に一時金など支給へ 厚労省 | NHK 【NHK】新型コロナウイルスワクチンを接種したあとに亡くなった男女12人について、厚生労働省は接種が原因で死亡した可能性が否定でき… 2 users 207
リンク 産経ニュース コロナワクチン接種後死亡、1人救済認定 計4人に 厚生労働省の感染症・予防接種審査分科会は17日、新型コロナウイルスワクチンの接種後の死亡事例について、新たに1人の死亡一時金の請求を認めた。予防接種健康被害救… 8
リンク 読売新聞オンライン 新型コロナワクチン接種後に死亡、23~93歳の12人に一時金支給…計53人に 【読売新聞】 厚生労働省の専門家分科会は17日、新型コロナウイルスワクチンの接種後に死亡した23~93歳の男女12人について、死亡一時金などの請求を認めた。コロナワクチン接種後の死亡例の一時金などの支給は計53人となる。 139
リンク 毎日新聞 コロナワクチン接種後の死亡 2人に救済認定 厚労省分科会 | 毎日新聞 厚生労働省の感染症・予防接種審査分科会は9日、新型コロナウイルスワクチンの接種後の死亡事例について、新たに2人の死亡一時金の請求を認めた。予防接種健康被害救済制度で同ワクチン死亡事例が救済認定されたのは計3人となった。 10
リンク 朝日新聞デジタル コロナワクチン接種後に死亡、初の被害認定 死亡一時金など支払いへ:朝日新聞デジタル 新型コロナウイルスワクチンの接種による健康被害を審査する厚生労働省の専門家分科会は25日、接種後に死亡した91歳の女性について、死亡一時金の請求を認めた。コロナワクチン接種後の死亡例について救済を認… 520
リンク 東京新聞 TOKYO Web コロナワクチン接種後の健康被害、死亡事例で初の救済認定:東京新聞 TOKYO Web  厚生労働省の感染症・予防接種審査分科会は25日、新型コロナウイルスワクチン接種後に急性アレルギー反応などの健康被害を発症し死亡した... 1 user 44

政府は高齢者等に追加接種を呼びかけているが、厚労省は健康被害の情報開示には消極姿勢のままだ。
(中略)
コロナワクチン接種者の死亡一時金等の給付は2年間で100件を超えており、接種人口・接種回数の多さを考慮しても、異例の多さとみられる。

先ほども説明した通り、健康被害救済制度における死亡一時金等の認定は「死亡の被害認定」ではないし、「健康被害」の認定でもない。
本制度では、審議結果資料に毎回書かれている通り、「厳密な医学的な因果関係」を求めていない。
医学的な因果関係に基づいて「死亡の被害認定」をするのは後で紹介される「副反応疑い制度に基づきワクチンの安全性について検討する別の審議会」の方だが、こちらはα(因果関係が否定できない≠肯定できる)が1件あるのみで、他は全てβ(因果関係が認められない)とγ(因果関係が評価できない)である。

にも関わらず、健康被害救済制度において「異例の多さ」で死亡一時金等が認定されているなら、それは積極的に人道的な救済を行なっていることを示している。
実際に否認は殆どなく、否認理由も医療費・医療手当の1件を除くと救済基準より軽症か因果関係を否定する論拠がある場合だけ。
持病が悪化したと思われるような事例も多数認定されている。
障害(または障害児養育)年金だけ否認割合が極端に高いが、全て「政令に定められる障害の状態に相当しない」であって、因果関係判断で否認された事例はない。

よって、「異例の多さ」で死亡一時金等が認定することについては、厚生労働省が救済範囲を可能な限り広げていることを意味する。
「因果関係がないのに救済するのは予算の無駄遣い」と主張する人は、こうした広い認定を批判するかもしれない。
しかし、それ以外の人は、誰も救済範囲を広げていることを批判しないだろう。
だから、厚生労働省には、健康被害救済制度における死亡一時金等の認定の「情報開示には消極姿勢」になる理由が全くない。

だが、ワクチン種類別の健康被害認定件数のページには、なぜかコロナワクチンの認定件数だけ掲載されていない(厚労省サイト)。

厚労省が一般国民向けに作ったQ&Aサイトも、健康被害救済制度の説明は設けられているが、コロナワクチンの健康被害審査状況に関するページにはたどりつけないように作られている。

確かに、健康被害救済制度の説明と審議結果が直接リンクされないなど、非常に不親切な造りであることは否めない。
しかし、健康被害救済制度の審議結果は、ネットで容易に検索して見つけることができる。

隠しているわけでも何でもなく、ただ利用者の便に全く配慮していないだけである。
それは、健康被害救済制度だけでも、厚労省だけでもない。
政府系サイトの多くが同様に利用者の便に全く配慮されていないが、それと何ら変わらない。

健康被害の審査を担当しているのは「疾病・障害認定審査会」。

先ほども説明した通り、「疾病・障害認定審査会」が担当しているのは「健康被害の審査」ではなく救済認定の審査である。

厚労省は、審査会の資料で健康被害の認定総数を公表しているが、このうち死亡一時金・葬祭料の給付件数については公表していない(下の写真)。
コロナワクチンに関する過去の審査結果資料(43回分、3400件超)を手作業で集計すれば、死亡一時金等の認定件数を把握することは可能だ。

これも先ほどと同じで、利用者の便に全く配慮していないだけである。

だが、厚労省の担当者は、筆者の事実確認の求めに対し「過去の資料を集計すればわかるが、資料に記載したこと以外は公表できない」として、現時点で103件であることを否定も肯定もしなかった。

「厚労省の担当者」とはどの部署のどういう立場の人間か。
それを書かないのは非常にアンフェアである。

基本的に役所の現場窓口は、取り扱っている制度の内容への問い合わせに回答する窓口でしかない。
広報担当責任者以外は、あらかじめ決められた範囲の自身が担当する業務の情報以外について回答することは認められていない。
間違った回答が一人歩きしたり、個人情報や知的財産等の機密を流出させては問題になるので、広報担当責任者にのみそうした回答を認めている。
だから、適切な広報担当責任者以外に質問しても、回答が得られないのは当たり前である。
「過去の資料を集計すればわかる」ことであっても広報担当責任者以外は答えられないのである。
そうしたことを無視し、「厚労省の担当者」と曖昧な表記で、あたかも、厚労省が情報を隠蔽しているかのような印象を与えるなら、悪質な偏向記事であろう。

このように公表資料などをみても健康被害の審査状況は不明な点が多いが、副反応疑い制度に基づきワクチンの安全性について検討する別の審議会にも、情報が全く共有されていないことがわかった。厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)の担当課への筆者の取材で確認した。
同部会の委員には副反応疑い制度と健康被害救済制度の違いについて説明したことはあるが、救済制度の審査情報について提供したことはないという。同審議会では最近、独自に「接種後健康状況調査」を委託事業として開始したが、ここでも「疾病・障害認定審査会」の審査情報は全く参照されていないようだ。縦割り行政の弊害の一つと言える。

独立した「別の審議」に「情報が全く共有されていないこと」の何が「縦割り行政の弊害」なのかサッパリ意味不明である。
「副反応疑い制度に基づきワクチンの安全性について検討する別の審議会」は、厳密な医学的な因果関係を審査する組織である。
厳密な医学的な因果関係を審査するのに、救済等の人道的な理由での審査結果は必要としない。
むしろ、救済等の人道的な理由で、厳密な医学的な因果関係が歪められてはならない。
「『疾病・障害認定審査会』の審査情報」を考慮する必要はないばかりか、考慮すべきではないのだから、「全く参照されていない」のは当たり前である。
筆者は「副反応疑い制度と健康被害救済制度の違い」について言及しながら、その違いを意図的に無視して、前者の判断に後者の判断を反映すべきかのように言うが、その理由は全く説明されていない。
そして、ここで説明した通り、その違いを考慮すれば、前者の判断に後者の判断を反映してはならない。

筆者について

慶應義塾大学総合政策学部卒業後、産経新聞記者を経て、2008年、弁護士登録。2012年、一般社団法人日本報道検証機構を設立し、マスコミ誤報検証・報道被害救済サイトGoHooを運営(〜2019年)。2017年6月、ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)発起人。2019年10月〜2021年2月までインファクト(InFact)のファクトチェック担当編集長。2018年4月、共著『ファクトチェックとは何か』を出版(尾崎行雄記念財団ブックオブイヤー受賞)。現在、FIJ事務局長、日本公共利益研究所主任研究員、早稲田大学次世代ジャーナリズム・メディア研究所招聘研究員。

この記事のような偏向記事を書く者が以前にファクトチェック担当編集長をやっていたとは驚きである。