山田純嗣さん_写実について考察

昨夜の連ツイをまとめてみました。 作家さんのお許しがでたので公開しますね。
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Junji Yamada @JunjiYamada

先日NYの写実画家の画像を見て、日本で最近よく見る写実とはなんだか違うと思ったことからいろいろ考えをめぐらせていたのだけど、アメリカの写実はフォトリアリズムの流れから、一方日本の写実は、マドリッドリアリズムなど実物を見て写す流れから来ているものが多いからかなと。

2011-11-25 23:45:39
Junji Yamada @JunjiYamada

アメリカの写実はなぜフォトリアリズムが多いかと言えば、アメリカで美術が目立つようになった頃には、もうすでに写真があったからということが一つの理由だろう。良くも悪くもそれ以前の伝統はない/重んじないからなんだろう。

2011-11-25 23:47:29
Junji Yamada @JunjiYamada

あと、日本では、鎌倉時代くらいに似絵だとか、慶派をはじめとした仏や僧の彫像でかなりハイレベルな写実表現がなされてたけど、その後室町に入ると仏像彫刻は下火になって、慶派にしても形式的なものになってつまらなくなってる。これはどうしてかとぼんやり考えてた。

2011-11-25 23:50:41
Junji Yamada @JunjiYamada

西欧における写実表現はギリシャに起源があって、神々の姿を人の形で現してきた。その後キリスト教では偶像崇拝を禁止し、神を観念の存在とした。でもそれがルネサンスでやんわり一つに融合する。そのうち興味の対象は宗教から離れ、対象そのものを描くことに向かい、そこから絵画が自律していく。

2011-11-25 23:54:15
Junji Yamada @JunjiYamada

日本で写実が継続しなかった理由のひとつに、仏教では、仏そのものの姿をつくってきたことがあるのではと思う。ギリシャで神の姿は人の形で表されているこことと比較して思ったこと。つまり、仏教では仏そのものをつくったので最終的には人間のようにはならず、仏の形式に則ったものになるから。

2011-11-25 23:56:46
Junji Yamada @JunjiYamada

江戸の中〜後期頃になると、日本でも宗教から離れた写実表現があったけど、それは根付けや見世物小屋の生人形などといったもので、いずれも大衆文化から発生したもので、西欧のような流れはなさそう。

2011-11-26 00:04:32
Junji Yamada @JunjiYamada

ま、もともと、仏像を彫刻のように鑑賞すること自体が、西欧から持ち込まれた美術の概念。それまでは、仏像は仏像でしかなく、古”美術”ではなかった。

2011-11-26 00:07:12
Junji Yamada @JunjiYamada

「美術」という言葉が無い頃から、日本語には「写生」という言葉はあったらしいけど、それは「生き写し」という意味合いだった。そう聞くと西欧の美術的な写生ではなく、どこか見世物のにおいのする言葉に思える。

2011-11-26 00:09:47
Junji Yamada @JunjiYamada

同様に写真(フォトグラフィー)が輸入される前から「写真」という言葉もあったらしいけど、これは「こういうものがあったんだ」という「真実を写した(描いた)」という意味合いで使われたものらしい。それが転じて今の写真という言葉になったと。

2011-11-26 00:11:35
Junji Yamada @JunjiYamada

こんなことを調べているうちに、どんどん広がっていってしまってまとまらなくなってしまう。困ったもんだ。

2011-11-26 00:12:19
Junji Yamada @JunjiYamada

「写真」は真(まこと)を写したものという意味合いから生まれた言葉。「絵画」の「絵」は糸が会う、つまり織物から来ている色彩的な意味。「画」は「書」が変化して出来た文字。つまり、「色と線」というような意味合い。 漢字から意味を考えるとある側面が見えてきて面白い。

2011-11-26 09:43:22
Junji Yamada @JunjiYamada

「絵画」という言葉は、「美術」という言葉が作られた頃に作られた言葉。「美術」を「西洋ニテ…画学、像ヲ作ル術…」という意味として作った時に、「色と線で描いたもの」の総称として作られた言葉。 実は「写真」という言葉よりも「絵画」という言葉の方が歴史が浅い。

2011-11-26 10:10:39
佐藤晃子 @akisato_

@JunjiYamada おはようございます。アメリカの写実はフォトリアリズムというお話、なるほどなあと思いました。写生といえば、今、円山応挙について考えているんですが、あの時代の写生って、生写、正写、真写と3種類あるらしいんですよ。意外と細かくて。

2011-11-26 09:50:30
Junji Yamada @JunjiYamada

@akisato_ そうそう、木下直之さんの本でちょっとその辺りの言葉が出てました。その「正写し」って四条派や洋風画の人たちが使ってた言葉ですよね。円山派もやはり西洋画からの影響がありますよね。江戸の日本絵画の写実は、やはり西洋画が入ってきてからなんですよね。

2011-11-26 09:59:48
佐藤晃子 @akisato_

@JunjiYamada 本を引っぱり出してきました。生人形の上に正写しがついたんですね。なるほどー。生写はものを直に見て描くことですけど、私は正写と真写が面白いと思って。正写は生写を見て清書することなので、結局、完成画を描くときは手控えを見てたんだなと。

2011-11-26 10:12:38
佐藤晃子 @akisato_

@JunjiYamada あと真写は龍とか幽霊とか見えないものをそれっぽく描くことで、応挙は龍の足のミイラ(おそらく爬虫類)とか鯉の鱗とかを組み合わせて龍を描いてますよね。西洋美術でこういう見えないものでも、何が何でも見えるもので代用する発想ってあったんでしょうかね。気になります

2011-11-26 10:16:45
Junji Yamada @JunjiYamada

.@akisato_ 「真写」はつまり、ないものをあたかも真(まこと)のように写したものということなんですね。僕「写真」の語源の理解を若干間違ってました。ノンフィクションの事だと思ってましたが、ノンフィクションに見せたものという事だったんですね。

2011-11-26 10:23:33
Junji Yamada @JunjiYamada

@j_akibae ありがとうございます。小金沢智さん(stskgnzw)や、佐藤晃子さん(akisato_)がいろいろと興味深いリプを下さっているので、そちらも加えたいのですが。すみません、やり方わからなくて。。。

2011-11-26 10:29:57
佐藤晃子 @akisato_

@JunjiYamada 私の書き方がダメでした。真写は本当にそこにいるようにリアルに描くって感じなんだと思います。だから龍だけじゃなくて、景色も「真景図」っていいますよね。今ここで見えているように描く景色って感じなんじゃないでしょうか。

2011-11-26 10:30:02
Junji Yamada @JunjiYamada

.@akisato_ ああ、そうでしたか。なんとなくわかりました。「真写」は目の前に真の事があるかのような、といった事でしょうか。ヴァーチャルリアルみたいな感じでしょうかね。

2011-11-26 10:35:52
Junji Yamada @JunjiYamada

@akisato_ 「写真」は記録的な意味が強いのではと想像しています。こういう事があったと伝えるような。どうなんでしょう。小金沢智(@stskgnzw)さんのリプによると江戸の絵画の落款に「写真」とあるものがあるとか、それがどういう作品か気になります。。

2011-11-26 10:40:14
佐藤晃子 @akisato_

@JunjiYamada 勉強途中ですみません。調べましたら「真写」は博物学からきた言葉だそうです。実際に存在している物体の真実の姿を写したという意味が正確なところみたいです。見えないものをそれっぽく描くというのは、誤りですね。すみません。

2011-11-26 10:46:01
Junji Yamada @JunjiYamada

そうでしたか。この周辺いろいろ言葉があって難しいですね。QT @akisato_: 調べましたら「真写」は博物学からきた言葉だそうです。実際に存在している物体の真実の姿を写したという意味が正確なところみたいです。見えないものをそれっぽく描くというのは、誤りですね。すみません。

2011-11-26 10:48:00