衣服標本家：長谷川氏による1901年エドワード朝に流行した女性のスーツ、エドワーディアンスーツの紹介。スカートの記述を追加

衣服標本家：長谷川 @rrr00129

女性×スーツの元祖【エドワーディアン スーツ】を紹介します 1901年エドワード朝 女性たちは新世紀の幕開けに、男顔負けのテーラードスーツを纏いました 歴史的にみても、女性がここまで本格的なスーツを着た流行は初めてです この魅力的なスーツの歴史と構造を、マニアックにお伝えします↓ pic.twitter.com/V4Wz2tBYWk

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19世紀末ごろから、女性の社会進出を後押しするように、ブルマー（写真1）やサイクリングスカート（写真2）などのカジュアルスタイルが流行します その潮流のなかで、シティの女性たちは「新たなドレスアップスタイル」として、本格的な男性テーラードスーツを取り入れたのです pic.twitter.com/duAQW7tJ51

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もちろん19世紀から女性のスーツスタイルは存在しています しかしそれは、アウトドアに限られていました その代表例が「乗馬服」です 乗馬服もエドワーディアンスーツも、同じスーツに見えますが【内部構造】が決定的に違うのです 洗練された仕立てが、シティ（都市）へとスーツを持ち込んだのです pic.twitter.com/tvOOmUsyp7

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では、エドワーディアンスーツの特筆すべき「内部構造や仕立て」とは、なんなのでしょうか？ 残念ながら、それは見た目にはほとんど現れません 美術館で見ても、イマイチ違いがわからないでしょう 構造の専門家として、衣服研究をしている私が、ここから徹底的にお伝えしますね pic.twitter.com/cglIpEw96U

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エドワーディアンスーツの代表的な仕立てが【フレンチ・シーム】です 「縫い目が、女性の胸を乗り越えた」 これは、婦人服の革命でした それ以前に、縫い目が女性の胸を乗り越えることはなかったんです（デザイン的な用途は省く） フレンチシームは、現代スーツまで受け継がれる意匠となっています

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この縫い目のなにが凄いか？ 【胸を頂点に、上下から造形を描ける】のです つまり、胸を美しく立体構築できます 現代では当たり前かもしれません しかし当時は、身頃の布を縦に分断することはタブーでした 布が再利用できないから です 19世紀初頭からの構造を探ればこの意味がよく分かるでしょう

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フレンチシームについて、当時の書籍を見てみましょう 1914年に発行された「レディーステーラードシステム」のなかでは、ご丁寧にオールドスタイルorニュースタイルという名称で紹介されます もちろんニューは、縫い目が胸を越えています オールドは、胸下のダーツ処理のみとなっていますね pic.twitter.com/fnHoJHvjxo

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「あごグセ＆ジグザグステッチ」も、エドワーディアンスーツの特徴のひとつです これらは、男性衣服を象徴とする隠しディテールでした しかし、彼女たちは見逃しません 衿を美しくロールするため、胸をより一層構築するために、手間を惜しまず仕立てたのです マニア度MAXの仕立てです pic.twitter.com/PIfvPBBKFr

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そして、エドワーディアンスーツをエドワーディアンスーツたらしめる内部構造が【キャンバス】です 触れば誰でもわかるんです 胸に異次元の構築がされています 例えば、この1910年のエドワスーツの内部には、写真1のキャンバス（土台となる芯地）が隠されていました この仕立ては19世紀の婦人服には決して見られません 完全なるメンズテーラーメイドの意匠なのです

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20世紀初頭の女性スーツの仕立て本を読んでいると、まるで男性スーツの本を読んでいるかのような錯覚に陥ります 専門的な写真になりますが、キャンバス（毛芯）にハ刺し、芯据え、テープ処理、カマ衿などが指示されるのです これが、流行スーツスタイルとして普通に紹介されているから驚きです pic.twitter.com/j6JprN1OUa

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エドワーディアンスーツを着た女性たちは、欧米諸国に見られました ぜひフレンチシームや胸の造形美に注目してご覧ください そして、１０月１８日から開催する【半・分解展 東京】でも、生で味わってください 各年代の婦人服が並ぶので、エドワーディアンスーツの異質さがよく分かるでしょう pic.twitter.com/oYY7uISgag

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今回、紹介しているエドワーディアンスーツは1910年アメリカ製です 生地はツイードになります 女性スーツといえば、1923年のシャネルスーツが有名ですが、それ以前に完成された女性スーツがあったのです エドワーディアンスーツを、よりカジュアルに落とし込んだのがシャネルスーツといえるでしょう

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男性的な仕立てのエドワーディアンスーツですが、女性的なデザインにも注目です ふんわりとした「パフ・スリーブ」や、特徴的な「飾りボタン」などは、エドワーディアンスーツを愉しむうえでのポイントです このデザインのバランス感覚が絶妙でたまらないんですよね pic.twitter.com/YtU8Sodt6Q

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最後は、エドワーディアンの有名な広告を紹介して終わります ヴィクトリア朝からエドワード朝への、シルエットの変化です ニュースタイルのエドワーディアンは「Ｓ字シルエット」と呼ばれました エドワーディアンスーツも、正にこの美しいシルエットを描きました pic.twitter.com/s2ySMrI0Q2

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昨日紹介した２０世紀初頭の【エドワーディアンスーツ】ですが、スカートもかわいいんです パーツを細かく分断し、身体にフィットさせる設計は、正にエドワーディアンスーツならではです この設計も、前時代19世紀ヴィクトリア朝ではありえない手法だったんですよ なぜならスカートは、

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「リメイク」を前提に、設計されていたからです つまり着物と同じで、反物のままでつくられているんです タックやギャザーを用いて、四角い生地を身体にフィットさせるんですね だから、ヴィクトリア朝のスカートは、解けば布として再利用ができました 写真のスカートは、どちらも四角なんですよ

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ヴィクトリア朝中期のスカートを引っくり返してみましょう 茶色のドレスは、生地端を見るとすべて耳が通っています 緑色のドレスは、斜めに縫われていますが、縫い代は切らずに反物のまま残していますね つまり、どちらもスカートを解けば完全な布に戻せるのです これは至極当たり前の設計でした pic.twitter.com/27th7ufEVn

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来週には【半・分解展 東京】の入場チケットを、販売開始します 東京展は１０月１８日から３１日まで 大阪展は１１月２６日から１２月２日まで 18世紀から20世紀までの西洋服装史を、存分に味わえる夢の空間を表現します 私が情熱だけで集めた、至高のコレクションをお愉しみください🔥 pic.twitter.com/aRC9UCFrz5

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