わたしたちに今求められているもの

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小野宗幸 @so_ko_

わたしたちには今求められているものが二つある。ひとつは「今」に即座に対応すること。もうひとつは本質的に対応すること。

2011-08-21 21:28:07
小野宗幸 @so_ko_

例えば放射能汚染への対応、それによる被害への賠償は即座に行われなければいけない。しかし、本質的になぜこのような事態を生んでしまったのかについてを知り得なければ、そして二度と再出しないようにすることに取り組まなければ、結局この現実を繰り返すことへ荷担することになりかねない。

2011-08-21 21:28:55
小野宗幸 @so_ko_

わたしたちは一人でも多くのこども達をこの現実から守らなければいけない。命や健康を守るの同じく、現実社会への絶望を与えてはならない。

2011-08-21 21:30:39
小野宗幸 @so_ko_

わたしたちは知ることができる。理解することができる。わたしたちの目の前に広がる現実がどんなに広大でも、どんなに複雑でも、わたしたちは知ることによってそれを克服することができる。わたしたちの精神は、わたしたちのありえかたによって、いかようにも豊かになり、広げることができる。

2011-08-21 21:34:30
小野宗幸 @so_ko_

多くの人たちが311で変わったという。変わらなければいけないという。首相もまた、「第二の戦後」という。ならば、「第一の戦後」とは何だったのか。「敗戦」したあとのこの国はどうだったのか。それをわたしたちはどこまで知っていて、311以後の今に向き合おうとしているのか。

2011-08-21 21:36:15
小野宗幸 @so_ko_

あの時にこの国はどのように変わったのか。はっきりと違うことは、いま「進駐軍」はやってきていない(しかしわたしたちはどこか潜在的にそれを望んでいる!)ことと、全国各地が焼け野原になっていないことと、300万人以上の犠牲者を生んでいないこと。植民地を占領していないこと。

2011-08-21 21:38:03
小野宗幸 @so_ko_

同じ事は、わたしたちの手元に「政治」がないこと。メディアが大なる者に押さえられていること。状況の中で自分の生活の維持にきゅうきゅうとせざるをえないこと。「自分たち」という囲いのなかで、完結し、拡張して、「社会」なるものを結果的に生む出すことしかできないこと。

2011-08-21 21:39:01
小野宗幸 @so_ko_

「家族」も「仕事」も、その枠のなかで利己的に守り、それに基づいて「現実的」に生きるしかないこと。つまり、「自分」から立ち上げて現実や社会を構成することができていないこと。わたしたちは圧倒的に、「巻き込まれ」て、「被られる」存在であることをどこかで了承し、享受している。

2011-08-21 21:40:52
小野宗幸 @so_ko_

わたしは、今のこの現状のなかで、「こどもたち」の「これから」にどのようなサジェスチョンができるのかを考えた時に、二つの方向しか思い浮かばない。一つは、「愚か」に巻き込まれないようにとことん「優秀」となり、その立場を得られるようにすること。

2011-08-21 21:43:56
小野宗幸 @so_ko_

もう一つは、「運命共同体」の一員として、いかなることがあろうとも、その状況に殉じることに「幸せ」や「達成」を感じられるようにすること。「上昇志向」か「心中」。いまの日本の「現実」の中で、意識的に「こどもたち」を「どうしたいか」と考えるのであれば、そうならざるをえないのではないか。

2011-08-21 21:46:14
小野宗幸 @so_ko_

そしてその両方にいけない「こどもたち」は、ただ「現実」を享受し、(どこか選択の余地のない)与えられた状況の中で、粛粛と、もしくは刹那的・享楽的・自己完結的に生きる他はない。なんかあったらあったで「仕方がない」のだから。親も、そのまた親も、そして周りも、そうやって生きてきたとして。

2011-08-21 21:47:22
小野宗幸 @so_ko_

そのような「既定の路線」は、悲劇的な出来事が起こるとこの国ではより「既定」であるが故に強固になる。それを維持し支えるための仕組みも「既定」であるが故に完備されている。わたしたちは籠の鳥よろしくその「既定」に追従することで、この現実の成員としての立場を確保することとなる。

2011-08-21 21:48:36
小野宗幸 @so_ko_

「既定」に逆らう者の為の侮蔑や無視や憎悪や迫害や放逐をするツールもまた豊富にある。まったくおかしな話だが、わたしたちはわたしたち自身を不自由にし、盲目にし、手足を縛り、何をも生み出さないことにする回路を、生活の隅々にまで生き渡らせていることを自覚し、それを容認している。

2011-08-21 21:50:16
小野宗幸 @so_ko_

つまり、わたしたちの最大の抑圧者は「わたしたち」であり、もって「結果的」な社会を構成し、「現実」を生み出している。その「既定の路線」の結果から生み出される悲劇は、十二分にわたしたちの感情を揺さぶるが、それで終わる。

2011-08-21 21:51:46
小野宗幸 @so_ko_

同情の感情は煽られ、スローガンは轟くも、わたしたちの「既定の路線」の変化は許されない。「わたしたち自身」が許さない。わたしたちはそうやって、数多の悲劇を経験し、目撃しながら、今に至っている。

2011-08-21 21:53:20
小野宗幸 @so_ko_

いま、わたしたちはかかる現実への対応を求められている。命や生活や尊厳が奪われていることに対して、「それを我が事として受け止めているわたしたち」は、即座に対応するべきことと、本質的に対応することが求められている。そしてわたしたちは強固で網の目のように広がる「既定の現実」の中にいる。

2011-08-21 21:55:42
小野宗幸 @so_ko_

「既定の現実」を支えているのは他でもない「わたしたち」である中で、あるが故に、わたしたちは現実社会のこれからを生きることが絶望ではないとすることを「こどもたち」に渡すことができる為には何を知り、理解し、もって克服するたることができるのか。既定に基づく二つの選択肢は厳然と存在する。

2011-08-21 21:57:22
小野宗幸 @so_ko_

戦後の代表的な政治学者である丸山真男(1914年ー1996年)は、敗戦翌年に発表した「人間と政治」で次のように述べている。

2011-08-21 21:59:14
小野宗幸 @so_ko_

『政治の本質的な契機は人間の人間に対する統制を組織化することである。統制といい、組織化といい、いずれも人間を「現実に」動かすことであり、人間の外部的に実現された行為を媒介としてはじめて政治が成り立つ。従って政治は否応なく人間存在のメカニズムを全体的に知悉していなければならぬ』

2011-08-21 22:00:39
小野宗幸 @so_ko_

わたしたちは往々にして即時的に対応することばかりに気を取られ、政治の「機能」にばかり目がいって、政治がどうしたら成り立つのかということを見過ごしてはいないだろうか。わたしたちはどこまでも自らの精神に依ってでしか現実を生み出すことはできない。

2011-08-21 22:02:30
小野宗幸 @so_ko_

『政治は否応なく人間存在のメカニズムを全体的に知悉していなければならぬ』…「知悉(ちしつ)」とは「知りつくすこと。詳しく知ること」(広辞苑)。戦前戦中の軍国ファシズムを経験した当事35歳の政治学者は、これから開かれる時代、政治に向けてそのように述した。

2011-08-21 22:04:46
小野宗幸 @so_ko_

丸山真男はこうも述べている。昭和35年の講演会を元に起こされた『現代における態度決定』の一文で、『もし政治活動を政治家や議員のように直接政治を「目的」とする人間、あるいは政党のように直接政治を「目的」とする団体だけに限ったら、その瞬間からデモクラシーというものは死んでしまいます』

2011-08-21 22:06:25
小野宗幸 @so_ko_

『政治行動というものの考え方を、なにか普通人の手のとどかない雲の上の特殊なサークルで、風変わりな人間によって行われる仕事と考えないで、また私たちの平凡な日常生活を断念してまったく別の世界にとびこむことのように考えないで、

2011-08-21 22:08:21
小野宗幸 @so_ko_

私たちのごく平凡な毎日毎日の仕事のなかに「ほんの」一部であっても「持続的に」座を占める仕事として、ごく平凡な小さな社会的義務の履行の一部として考える習慣――それがどんな壮大なイデオロギー、どんな形式的に整備された制度にもまして、デモクラシーの本当の基礎です』

2011-08-21 22:09:42
小野宗幸 @so_ko_

いわゆる「70年安保」の渦中で述べられた41年前のこの言葉が、果たしてどれだけの人たちによってどのように実行されたのか、若しくはなされなかったのかはわからないが、現在のわたしたちがそのような形で「デモクラシーの本当の基礎」を営めているかは言を待たない。

2011-08-21 22:11:20