- rouillewrite
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…… 凪は少し間を置いて、おずおずと口を開く。 聞く体勢になっている太陽の顔をじっと見つめながら、あの夜のことを思い起こす。
2023-08-06 21:09:02「………、えっと、俺の友達が、お化けさんになってでてきた日の夜、……聖遙に"友達になりたい"って、話しかけた時……」
2023-08-06 21:10:34伸ばした自分の手に、伏せがちな瞳のままおずおずと手を繋いでくれた彼。 ……彼は今、どこにいるのだろうか。 ちゃんとご飯、食べてるかな。
2023-08-06 21:11:18「……俺は、自分の事、卯月の事、戦いで体も心もてんやわんやだったから気が付かなかったけど………………」
2023-08-06 21:13:38今になって思えば、彼は何かを背負い続けていたのかもしれない。 そう感じた、あの下向きな視線。
2023-08-06 21:14:10凪の言葉に、太陽は不思議そうに首を傾げる。 その問いかけに、凪は「………わかんない」と首を横に振りながら目を伏せた。
2023-08-06 21:16:48「…最初は、俺と友達になるの本当は嫌だったのかな、とか無理させたかな…って考えてたん、だけど…………。 …どっちかというと、こう…どこか後ろめたそう?だったというか……………」
2023-08-06 21:17:30そう言って、凪はうーんうーん、と首を捻りながら言葉を探しているようだった。「後ろめたそう?」と彼の言葉を反芻しながら、太陽も首を捻る。 のびーっと腕を伸ばしながら、少し上を向いて考えていると、「あ〜……」と思い出したように口を開いた。
2023-08-06 21:18:43「……それとは関係ないかもなんだけど、聖遥がいなくなる前、オレが変なこと聞いちゃったからかも。聖遥がいなくなったの」 「えっ。へ、変なことって…?」
2023-08-06 21:19:28「……、……ん。 んーん、やっぱいい!! 知らな〜い、って言われたし、オレの勘違いだったから気分悪くして拗ねちゃったかもなー、なんて!わはは!!」
2023-08-06 21:21:04凪の問いかけに、太陽はそう言葉を濁して笑い飛ばした。誤魔化すような、言い出しかけてやめたような。
2023-08-06 21:21:44「…………、 ………その変なこと聞いた時の聖遙、 ちゃんとひま兄の目を見て知らない、って言ってた?」
2023-08-06 21:23:06「……! ……や、見て、なかったけど。ずっと下向いてたし…オレに色々聞かれてやんなっちゃったのかと思って」
2023-08-06 21:23:16「本は読んでたけど……途中で閉じた…。別に変なこと言ってたとか、隠してるとかそういうんじゃなかったけど、オレのこと、あんま見なかった」 「………………俺も聖遙のコト、全部知ってるわけじゃないけど……」
2023-08-06 21:24:37凪が彼と話したのは数回、数える程しかない。彼の全てを知らないし、同じ1年生の火咲の方がよっぽど彼を知っているだろう。けれど、あの戦闘で皆々を叱責していた彼なら。
2023-08-06 21:25:46