【創作企画】第18夜 リグレット・カレイドスコープ【リグレット・カレイドスコープ】

【創作企画】リグレット・カレイドスコープ @Regret_kaleido

あれほどハッキリと物事を言える聖遥なら、そう答えるだろうと口にした。 その言葉を聞いて、太陽は視線を右往左往させた後、小さく口を開く。

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「…そう、だよな、でもさ、もしかしたら、」 言葉の続きは、彼が勢いよく立ち上がる音に掻き消される。

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「……オレのせいかも！！やっぱ聖遥探してくる！」

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そう言って慌ててその場から立ち去ろうとする太陽を、凪は「こら」と腕を掴み止めた。 その顔は心配で引き攣っているだけなのだが、傍から見れば地獄の底から這い出た鬼のような形相である。

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「………病み上がりの無茶……………駄目、絶対………」 「……ﾋｮ…………………………………」

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今まで見たことのない顔に、太陽も動きを止めて顔を引きつらせた。 掴まれた腕を振り払うことも出来ず、かといって反論することも出来ず、ひきつり笑顔のまま彼の視線から目を逸らす。

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「……お……大人しく寝ます……寝るからそんな怖い顔ｼﾅｲﾃﾞ……」 「よかっ…… え……？そ、そんな怖い顔してた………？」

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太陽の言葉にホッとしてすぐ顔が元に戻る。が、怯えた様子の彼を見て首を傾げ、凪は自分の顔をペタペタ触り出した。 不安げなその表情に、なんとかフォローをしようと思ったのか太陽は慌てて口を開く。

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「や！え！！！いや！！してない！！！ そんな地獄の底から這い上がってきた鬼みたいな顔してなかった！！！！！！！」 (してたんだな……)

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嘘がつけない彼らしい。凪は顔を下に下げて、どこからともなく取り出した狐面を被ると、小さな声で告げた。

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「ご、ごめんね……凄く怒ってるわけじゃなくて…。俺、緊張とか恐怖とか心配、…で顔に力が入って強ばると、さっきみたいな顔になることが、あって…」

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「わぁ！！ごめ、ごめんって！！大丈夫だからお面とって！！！ そうだよな！！凪がめちゃくちゃそんな怒ってるわけないもんな！！オレも目つき悪いからよく怒ってる？って言われるからすごーーーくわかるぞ！！」 「……」

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そう勢いよく肩をポンポンと叩かれ、おずおず……と狐面を外し、顔を覗かせた。気を遣わせたのが分かって、とても申し訳なさそうに眉をやの字に折り曲げているのが見える。

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「………驚かせてごめんね…。でも、どうしていきなり俺のせいかも、だなんて言い出したの………？ 何を、話したの……？」 クイクイ、と袖を引っ張り、問いかける。

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「教えて、ひま兄。…何も知らないまま、わからないまま、友達が、"また"消えちゃうのは、 …………………………こわい、よ…」 pic.twitter.com/3xBTpkZZ2X

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凪は、そう消え入るような声で絞り出した。袖を引っ張る手は僅かに震えている。

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「………………」 しばらく目を見開いていた太陽。 …少しして、袖を引く手小さな手ををそっと握り返し、申し訳なさそうに眉を下げた。

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「…ごめん、言えない。でも、凪が心配するような深刻なことじゃないって！！ホント！ …でももしオレのせいなら、聖遥のためにも、言えない」 「……？聖遙の為にも、ってどういう……？」

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「…………。………、そう………、いや、うん、俺こそごめん。我儘いって」 (やっぱり、俺じゃ何の力にもなれない、か)

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追求しようとして、やめた。決して諦めた訳では無いけれど、踏み込むには少し、自分には足りない何かがあるだろうと察したから。 凪は外していた狐面を、もう一度片手で深く被り直す。

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「………、でもひま兄のせい？だったと仮定した場合…聖遙は無事なの……？ それが、わからないことには、俺が心配してるような〜……って判断にはちょっと、できない…」 「少なくとも、死んじゃうようなことはないって！多分！！……ごめんなぁ、心配してくれてるのに、何も言えなくて」

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気にしないで、といいたいのか、凪はぶんぶん、と首を横に振る。 聖遙が彼に何かを誤魔化したのも、彼が自分に言えないのも、何かしらの理由があるのだ。………その、理由が単に巻き込みたくないから、だなんて理由だったら流石に怒るけど。

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「……その言葉信じるよ、ひま兄……。でも、うそついたら…針千本のますか、お尻ぺんぺんだからね…」 「わははは！針千本もおしりペンペンもいやだからな！！ せっかく来てもらったしそろそろ焔楽帰ってくるだろ〜から、3人でお菓子食べようぜ！」

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空彦の大切な人のお化けを倒して、翌日の夕方の事だった。 火咲は学校から帰宅後買い物に出ようと、私服姿で家から出る。