内田樹先生による伊丹十三賞受賞記念講演まとめ

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内田樹 @levinassien

昨日の講演の主題は「境界線を守るもの」について、でした。境界線の向こう側から「人間たちの世界」に侵入してくるものは必ずしも「邪悪なもの」「忌まわしいもの」「破壊的なもの」という輪郭のはっきりした形象を持つわけではありません。

2011-11-30 11:57:39
内田樹 @levinassien

それはほとんどの場合、人間の側の「惰弱」「自己憐憫」「怠惰」「エゴイズム」「嫉妬」「羨望」「強欲」「攻撃性」といった「人間世界の弱い環」と結び付いて、そこにアマルガムを作って、そこから人間的秩序を腐らせてゆきます。

2011-11-30 12:01:31
内田樹 @levinassien

「境界線を守る」仕事は、ですから、人間たちの世界の「誇るべきもの」「美しいもの」「生成的なもの」を守り、それを汚し、損なおうとする「しけた悪意」を退けるというものになります。でも、それは僕たちが普段していると「おうちの掃除」と少しも変わるものではありません。

2011-11-30 12:06:36
内田樹 @levinassien

お掃除の要諦は「毎日やる」「ちょっとずつやる」「決して一気に完全に永遠に家を清浄なものにするという無謀な野心を持たない」「やってもやっても、朝起きるとやっぱり元の木阿弥でも、『家って、そういうものだよ』と涼しい顔でゴミを拾う」ということです。

2011-11-30 12:10:43
内田樹 @levinassien

かつて橋本治さんがうちの学生たちに「ほんとうのクリエーター」とはどういうものかについて、こう語ってくれたことがありました。「現場に入って、最初に床のゴミを拾う人」

2011-11-30 12:12:48