黒木玄氏による、「ガチャの問題」は、二項分布への理解

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黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 よく知っている高校生に ガチャの問題:正の確率pで欲しいキャラAが出るガチャを、合成の都合によりキャラAがちょうどk体出るまで回すとき、そのガチャをn回まわすことになる確率は? という問題を最近出したことがある。 ガチャの確率計算は「予算」が絡むので実生活で非常に重要(笑) twitter.com/dannchu/status…

2023-09-07 18:10:21
清水 団 Dan Shimizu @dannchu

担当の学年の実力テストが終わりました。#確率 の問題を出題しました。みなさんにも解いてもらいたいです。 pic.twitter.com/cNPGacnDLJ

2023-09-07 16:56:34
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 ガチャをn回まわしたときAが出る回数kの確率分布は二項分布と呼ばれている。 ガチャをAがちょうどk回出るまでにまわす回数nの確率分布は負の二項分布と呼ばれている。 nとkの立場が交換されている。 続く

2023-09-07 18:27:06
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 というわけで、Aがちょうどk体出るまでの回数n∈{k,k+1,k+2,…}の確率分布は「負の二項分布」と呼ばれています。 試行回数n=k+mではなく、失敗回数mの分布とみなすことによって、負の二項分布は kが整数とは限らない正の実数αの場合に一般化される。続く

2023-09-07 18:27:07
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 二項分布はPoisson分布の離散時間版とみなされる。 負の二項分布はガンマ分布の離散時間版とみなされます。 この対応は、二項分布、負の二項分布、Poisson分布、ガンマ分布の理解に役に立ちます。 詳しい説明については私のツイログの検索を参照。

2023-09-07 18:27:09
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 確率pで1に確率1-pで0になる独立な確率変数達X₁,…,Xₙについて、それらの和K=X₁+⋯+Xₙは二項分布に従います。 これを使えば、二項分布の期待値と分散がそれぞれpとp(1-p)のn倍になることが自明になります。

2023-09-07 18:32:46
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 値が 確率pであたりが出て確率1-pではずれが出るルーレットをあたりが出るまでにまわす回数 になる独立同分布な確率変数達Y₁,…,Yₖの和N=Y₁+⋯+Yₖは負の二項分布に従う。 これを使えばkが正の整数の場合の負の二項分布の期待値と分散を易しく計算できる。

2023-09-07 18:37:28
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#統計 二項分布も負の二項分布も独立同分布な確率変数の和が従う分布なので、中心極限定理によって正規分布で近似される。

2023-09-07 18:41:04
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#統計 二項分布や負の二項分布には中心極限定理が効いていて正規分布近似が成立している。 それらの連続時間極限(Bernoulli試行の時間間隔をゼロに近づける極限)であるPoisson分布やガンマ分布にも中心極限定理が効いていて正規分布近似が成立している。

2023-09-07 18:45:07
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

Bernoulli試行、二項分布、負の二項分布、Poisson分布、ガンマ分布はばらばらに理解するべき事柄ではなく、全部まとめて理解してしまうとお得。 理解してしまえば統計モデリングでそれらを自在に使えて当然の状態になれる。

2023-09-07 18:47:36
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#統計 ルーレットのBernoulli試行をn回もしくはあたりがk回出るまでに行うことを複数のルーレットで行うとき,ルーレットに個体差があってあたりの出る確率pが確率分布している場合も重要。続く

2023-09-07 18:51:06
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数ら その場合にpの分布をベータ分布とすれば、二項分布と負の二項分布はそれぞれベータ二項分布とベータ負の二項分布に拡張される。 ベータ分布はあるスケール極限でガンマ分布に収束する。この意味でベータ分布はガンマ分布の一般化だともみなされます。続く

2023-09-07 18:54:13
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 ベータ二項分布とベータ負の二項分布の連続時間極限として、期待値がガンマ分布に従う場合のPoisson分布(これも負の二項分布になる)とベータプライム分布(第2種ベータ分布)が得られます。 このようにして、Poisson分布とガンマ分布より1段階拡張された分布族が応用し易い直観と共に得られます。

2023-09-07 19:00:08
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 ベータプライム分布はスケール変換の違いを除けばF分布に等しいです。 正規分布に付随するχ²分布、t分布、F分布については、正規分布とガンマ分布の関係とガンマ分布とベータプライム分布の関係に分解すると理解し易いです。

2023-09-07 19:01:57
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 高校生が出されている問題を見ると、単に特殊なことを雑多に中途半端にしかやっていないように見える。 それだと、何が大事なのか分かりにくく、心にも残らないと思います。 「基本である○○をおさえておくだけで想像もできなかった所まで行けてしまう」のような経験が何もないと苦しい。 twitter.com/genkuroki/stat…

2023-09-07 21:23:21
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 高校の段階ではそう遠くまでは行けないとしても、自分では想像もできなかった所まで自力で行けるようになる考え方がある、と認識することは可能だと思います。 そういう経験をさせてあげることが、指導者・アドバイザーの役目だと思います。 そのためには自分で遠くに行ってみた経験が必要。

2023-09-07 21:26:53
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 Bernoulli試行が始まる前にあたりの出る確率pがベータ分布に従ってランダムに決まる場合から得られるベータ二項分布は、取り出した玉と同じ色の玉を2個戻すポリアの壺と同じ確率分布を与えます。 ポリアの壺は受験数学でもよくネタにされますが、消費の仕方が中途半端で先に繋がらない。

2023-09-07 21:36:41
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 数学ネタについて、受験数学界での伝統的な消費の仕方をしてしまうと、本質が見えない「単にマルをもらえる答案作成」っぽい話になってしまい、そのネタの背後にどのような数学的考え方が隠れているかを何も見せてくれない格好になりがち。 もっときちんと数学の話題にして欲しい感じ。

2023-09-07 21:39:45
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 そのよく知っている高校生は 最後のn回目はAが出ているので、p n-1回目までにAがk-1体出ていてA以外が(n-1)-(k-1)=n-k体出ているので、pᵏ⁻¹(1-p)ⁿ⁻ᵏ n-1個中k-1個のAが出る場所の組み合わせの数はₙ₋₁Cₖ₋₁ 全部かけると ₙ₋₁Cₖ₋₁ pᵏ(1-p)ⁿ⁻ᵏ として正解。 twitter.com/genkuroki/stat…

2023-09-07 21:55:15
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 最初から、一般の負の二項分布が出て来る問題をやったわけではなく、k=1,2,3でnが小さい場合を前もってやっている。 その前もってやっている部分を丁寧に理解していれば一般の場合は易しくできてしまう。 特殊で具体的な場合を__先に繋がるように丁寧にやる__ことが数学を理解するための極意。

2023-09-07 21:58:51
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

二項分布や負の二項分布まで行けるなら、ポアソン分布やガンマ分布からベータプライム分布などの話の理解は単に解析学についてある程度知っているかどうかだけの問題になる。 そこもクリアできれば統計モデリングに結構使える感じで確率分布達の世界に関する理解が得られる。

2023-09-07 22:02:59
清水 団 Dan Shimizu @dannchu

@genkuroki そのうち,教科書の例題も「ガチャ」になるかもしれませんね。

2023-09-07 21:51:04